ものずき烏の無味乾燥?文

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植草甚一:(ブック・ランド)

2005-05-22 | 書籍 の 紹介

植草甚一『こんなコラムばかり新聞や雑誌に書いていた』
植草甚一『ミステリの原稿は夜中に徹夜で書こう』



 ファンの心理というのは、不思議なものである。ミステリは読まないのに(その昔、ホームズ物でないコナン・ドイルは文庫で読んだ記憶がある)、植草甚一が書いた本となると読んでしまう。内容は、既にきれいさっぱり消えている。しかし、植草甚一の文体?のようなものは、いつまでも残っている。本のタイトルから、それらしき文体が垣間見えるではないか。
こんなコラムばかり新聞や雑誌に書いていた』
                               植草甚一 晶文社  1974/05/30
『ミステリの原稿は夜中に徹夜で書こう』
                               植草甚一 早川書房 1978/11/15

 この2冊、ほとんどが海外小説の紹介コラムである。植草甚一が映画評論を行っていたので、ミステリの読書は、ヒッチコックの延長で考えれば頷ける。
 その中で、「中間小説研究」と題して東京新聞に連載(1971/9~1973/12)ものが興味深い。当時の読者であったわたしが、純文学嗜好であったため、たぶん読み飛ばしたと思うのだが、日本の小説家が発表した作品を、すさまじい速度で次々に読破する。たぶん読んだ小説は、通過するだけだろう、このスピード感が読書の楽しみだと自認する植草甚一であるが、仕事であるから疲労も見え隠れする。通過するといっても、わたしと違い、なにかしらのエッセンスは残っているようである。それが、植草甚一の好奇心となるのだろう。
 ファンというのは、その対象の人物の守備範囲が広ければ広いほど、未知の分野に興味をもつチャンスが得られるということのようである。

2005/05/22 ものずき烏
(参考)
2005-06-02 植草甚一:(自叙伝)
2005-05-21 植草甚一:(コミック・ワールド)


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