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月野岬

好きなゲーム等の文章中心の二次創作置き場です。現在三国恋戦記中心。

「仮想夢想」 参加アンソロジーのサンプルUPです

2011-10-16 17:59:19 | お知らせ
<アンソロの参加作品サンプルUP>
「仮想夢想」 公瑾×花 全年齢向け パラレルアンソロジーに参加させていただく作品のサンプルをUPします。
全年齢なのできわどくはありません。たぶん(笑)
タイトルは『斎姫 幻想婚』です。
なお、ブログにUPするにあたり、見やすいように体裁を変えてます。
また当然パラレルなので、苦手な方はお気を付けください。(自己責任でお願いします)
では、続きからどうぞ。



『斎姫 幻想婚』

日嗣の帝のおわす都は、今日も何事もなく賑わい、華やいでいる。
その大路から一本東側に入った通りは東一路と呼ばれ権門勢家、つまり威勢を誇る少数の大貴族たちの広大な邸が並んでいた。
その中でも本日特に賑やかなのは、椿の名と家紋を持つ椿筆頭家だった。
表門には大きな篝火が焚かれ、灯籠が幾つも灯されている。邸内からは、風雅な楽の音が外へと流れていた。
今宵は右府という高い位にある椿の当主主催による管弦の宴が催されていたのだ。
盛大な宴で、主だった大貴族が多く招かれていた。
が、その宴の賑わいを遠くに聞きながら、ため息を吐くのはこの椿の当主の二の姫花だった。
胸元で切り替える淡い乳白色の下衣、白と緋色の胸高に結ばれた重ね帯、濃い紅色の染めも鮮やかな中衣、その上に透ける刺繍が可憐な上衣、更に紗の淡い表衣とほぼ貴族の姫としての完全礼装をさせられてげんなりと扇を揺らした。
「どうやって逃げ出そう」

***********

手灯籠が動き周り、俄かに邸の方が騒がしくなったのを感じる。
「うそ。もうばれちゃったの?」
花は長い衣装の裾を持つと、足早になって裏庭に近い場所へ抜けようとしたが、そこにも灯りが揺れているのが見える。
仕方なく人気のない場所に足を向ければ、茉莉花の絡まる東屋から琵琶の音が一つだけ夜のしんとした空気を震わせて響き渡った。
「琵琶……」
花の小さな呟きに呼応するように、爪弾くような音色が零れ落ちる。曲にもなってないのに、花はその澄んで哀切な音色に呼ばれるように歩を進めた。
月光が明るい東屋の下、その人は胡坐をかいた膝の上に琵琶をのせて、撥で軽く絃を鳴らしている。
灰銀色に輝く髪、伏せられた影を落とすような長い睫毛、藍色の装束と鈍色の帯、重ねは鮮やかな紫苑で、風雅で趣味のよい装いだった。
気配を感じていないのか、視線が花の方を向くことはない。
「いらっしゃったか?」
「まだです」
「殿様はお怒りだ」
切れ切れにそんな声が耳に入り、花は思わず身を竦めた。
「こちらへいらっしゃい。逃げているのでしょう?」
不意に響きの良い深く冷涼な声がかけられた。
「え?」
「匿って差し上げますよ」
面が上げられ、花はその雅な貴族の装束の男の白皙の美貌に驚いた。
青灰色の涼やかな双眸、繊細で秀麗な美貌は完璧で女性的と言っていいほどなのに、その雰囲気は静かながらに強く男性として確立されている。
「でも……」
「早くなさらないと拙いのではありませんか?」
言う傍から、庭を近付いてくる複数の気配を感じて花は足早に東屋に近付いた。
「私の背中にお隠れなさい」
「すいません」
それ以外言いようがなくて、花は外套の胸元を握りしめて男の背に隠れた。



<後書き>
冒頭と公瑾と花ちゃんの出会いの部分です。
えっと、まあ三国志ではない、でもどこにもない、でもかつてあったようなどこかの世界でのお話。
元斎姫の花ちゃんと貴公子公瑾さんの恋物語。
皆さんに楽しんでいただければ嬉しいです。

新企画第1弾♪

2011-10-10 20:37:57 | お知らせ
<お知らせです>
珍しくオフラインでの企画をお知らせします。
今回、「skimsky」のシキさん、「まんぼうの日記帳」の久賀まさ子さん、ここの管理人「月野岬」のみさきで合同企画をすることになりました。
企画名は『美周郎偽娘譚』で、偽娘をテーマにそれぞれが個人誌(コピー本)を作ろうというものです。
えっとテーマの意味は……要となるので一応内緒ですが、まあ字から推して知るべし(笑)

企画概要としては(簡単に)

発行は10/10ラブコレで、まさ子さんのSPでお求めいただきます。
本の傾向としては公瑾×花です。
各自1冊で3冊出るわけですが、3冊同時購入していただいた方にはおまけ本がつきます。
3冊セットの事前通販(発送はイベント後)は、シキさんの所でお取り扱いいただけることになってます。
なおR18指定の本を含むため、18歳以下(高校生も含む)にはセット本のお求めは出来ません。
個別通販は、各自が担当することになってます。
おまけ本は事前セット通販のお求めの方と、イベント購入者で先着順となります。

それから9月1日からシキさんのサイトで部数のアンケートを実施いたします。
アンケートは終了いたしました。ご協力ありがとうございました。

実は初めての個人誌なので、相当にどきどきしてます。
まあ個人的に私得な企画ですが、皆様にもお楽しみいただけたら嬉しいです。

あと、おまけですがこれもちょっと趣向を凝らしてます。
各自の話の後日談というか関連話を、他の書き手の方が書くという形式です。
また本編とは違った風味になると思うので、私自身もとっても楽しみです^^

ページ数、価格は後日、お知らせいたします。
またサンプルも後日UPさせていただきます。

ではでは、疑問や質問などありましたら、拍手やコメントからご質問ください。

<追記アンケートの件>
部数のアンケートが始まっております。
ご検討していただける方は、是非アンケートにご協力いただければ助かります。
アンケートは『ここ』からどうぞ。

お陰様でアンケート終了しました。ご協力ありがとうございました。
<サンプルできました>
本のタイトルは『舞姫艶舞』です。(本のタイトルからどうぞ)
サンプルをUPするとき、どこを抜粋するべきだろうといつも悩みます(笑)

<事前通販の件>
>(事前通販終了いたしました)
『美周郎偽娘譚企画』の事前通販が、「skimsky」のシキさんのところで始まりました。
えっと期間が決まっておりますので、お見逃しのないようにお願いいたします。
事前通販予約は、3冊セット販売だけです。
ご購入をお考えの方は こちら からどうぞよろしくお願いします。

事前通販は終了いたしました。
たくさんのお申し込み、本当にありがとうございました。




新しいブログについて^^

2011-09-27 21:34:35 | お知らせ
<お知らせ>
こんばんは。えっと、新しいブログについて何件かお問い合わせをいただきました。
やっぱり探すの難しかったですか?
もったいぶってるわけじゃないんですが、読む方を選ぶお話となりそうなのでこういう対応になってます(苦笑)
向こうのブログのはじめにを読まれて、読んでくださいね。(お願いいたします)
ヒントということなので、こちらのサイト名+地下室で、検索エンジンを幾つか試してみてください。
一応やってみたら、私は見事2個目の検索エンジンでヒットしました~簡単だぁ。
検索よけってやっぱり気休めだと納得です。
ではでは、向こうも全然OKな方は、お気に召していただければ嬉しいです。

地下室オープン(笑)

2011-09-26 23:09:04 | お知らせ
<地下室のお知らせ>
昨日の記事でお知らせした新ブログにお話1個UPしました。
学園パラレルの孟徳×花です。
興味のある方は探してみてくださいww
前に記したように、特殊かなと思ってまだここからリンクつなぐ勇気はありません(小心者なので)
ちなみに最初からR指定でごめんなさい。

「恋するしっぽは正直者 りた~んず」のサンプルUPです

2011-09-23 20:39:04 | お知らせ
<参加の本のサンプルUP>
「恋するしっぽは正直者 りた~んず」R18に参加させていただく作品のサンプルをUPします。
えっと、R18部分は抜粋してませんが、年齢に満たない方、高校生以下の方はお気を付けください。
タイトルは『美周郎の若紫』です。(センスないタイトルだな)
なお、ブログにUPするにあたり、見やすいように体裁を変えてます。
また獣耳やしっぽ等が出てくるパラレルなので、苦手な方はお気を付けください。(自己責任でお願いします)
では、続きからどうぞ。




『美周郎の若紫』

籠の中には、本当に小さな赤子がいた。
言うように奥方に似たのだろう、真っ白な長い兎の耳、小さな手、小さな桃色の爪、まだ細い柔らかな薄茶色の髪が少し生えているだけで実に頼りない存在だ。
公瑾の血筋周一族は、例え別の獣形の配偶者を得ようと周家の狼の外見の血筋が濃く表れるのが特徴だった。
だからこの赤子は、非常に周の血族では稀な存在だ。
「お子様が自分に似ているなんて、羨ましいわ。お名前は何と名づけられたのですか?」
公瑾の母親が、羨ましそうに訊く。
子供が自分の外見を継いで生まれてくれば、当然誇らしく嬉しいものだ。
公瑾の母親は猫の耳と尻尾を持ってはいたが、公瑾を含め生んだ三人の子供は皆狼の耳と尻尾を持っていた。
「ありきたりですが、花のような娘に育つように花と名付けました」
「花ちゃん。可愛らしいお名前ですわね」
「ありがとうございます」
そうして一しきり赤子について話した後、大人たちの話題と関心は自然と他のことに移って行った。
が、公瑾は普段と違って大人たちの話題に関心をもたず、静かに眠るおとなしい赤子を飽くことなく見つめていた。
すうすうと小さな寝息が聞こえ、実に心地よさそうにまどろんでいる。
時折何かを夢見ているのか、小さな口元がむにゅむにゅと動いた。
元来、公瑾は小さなものや可愛いもの、小動物もことさら愛でる趣味はなかったが、なぜかこの赤子の傍からは離れ難かった。
だから花と名付けられた赤子がまだ眠ったままに何もない空中に手をさし伸ばすのを見て、自分の手を差し出したのは反射的な行動だった。
公瑾の指を小さな手がぎゅっと握りしめてきた。
それは思っていたよりもずっと強い力で、公瑾はその瞬間奇妙な感覚を味わった。
笑うような、さんざめくような、ひらひらきらきらしたものが、身の内にすっと入り込んできたのだ。
「花……?」
なぜだか、先ほど聞いたばかりの赤子の名前が口をついて出た。

*****

「花」
呼びかけられ、花は少しだけ気後れした表情をみせた。
「兄様」
「違うでしょう」
すぐに指摘されて、花は思わず小さく舌を出す。
「だって、まだ慣れないんです。何しろ十七年間兄様だったんですから」
生まれてからずっと花は公瑾のことを兄様と呼んできた。
親戚の本家のずっと年上の少年は、もう物心ついた時からそれしか呼びようがなかったからだ。
が、この前の花の十七歳の誕生日の日、公瑾から今から兄様ではなく公瑾と名前を呼びなさいと花は厳命されていた。
ちゃんと言わなければ、お仕置きですよと言われているので素直に従うしかない。
「呼び直してください」
「公瑾さん」
「はい、よくできましたね。では行きましょうか?」
「あの……今日はどちらにですか?」
「私の邸ですよ。そろそろ辛いのではありませんか?」
その何気なく言われた言葉に、花ははいと申し訳なさそうに頷いた。
公瑾はそんな花の様子に、ひっそりと笑む。
そして二人がいつものように訪れたのは、周家の邸の離れのような趣で建てられた公瑾の住まう棟だった。
広大な敷地を持つ周家の本邸では、各棟は外回廊で繋がってはいるがそれぞれの棟は個人の独立した造りになっている。
公瑾の棟もそうした建物で、彼の趣味の良さを色濃く反映したすっきりとした、でも優美で瀟洒な拵えの内装になっていた。
「花、お茶でも持ってこさせましょうか?」
「いえ。あとでいただきます」
「では、どうぞお好きな場所へ」
そして荷物を置いた花は、ふかふかの毛足の長い柔らかな敷物の上に座り込むと、公瑾が来るまで手持無沙汰に視線を彷徨わせ、敷物の毛を弄る。
するとカタリと音がして、扉が開いて一匹の大きな灰銀色の狼が現れた。



<後書き?^^>
と、こんな感じですがいかがでしょうか?
何しろ獣耳としっぽですからね、色々萌えますよwww
R18な部分はどうだろう?
少し頑張った気がしますが、やっぱりいつもの私レベルな気がします^^;