【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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会社に税金が還付されるケース(所定の手続が必要)

2020-10-13 18:01:00 | 起業(会社設立など)と経営
会社に税金が還付されるケースにはいくつかがありますが、そのすべてが会社のほうから書面で所定の手続をしなければなりません。そして、ケースによっては手続が大変面倒で還付を受けるまで長期を要するものもあります。

しかし、還付額によっては会社の危機を救うこともありますので、依然としてコロナ禍が続く中、「挑戦」するに値します。

◆中間申告分の還付

法人税や消費税などでは、一定の条件に該当すれば年度途中で「中間申告」とその納税が必要となります。税額が確定するのはあくまでも年度終了後の「確定申告」ですので、中間申告による税額はいわば「前払い」であり、確定申告での確定した税額から差し引くことができます。

中間申告の税額>確定申告の税額

このような状態になることもあります。そうであれば、確定申告では納付ではなく還付となります。この還付を受けるには確定申告書に所定の事項を記載して提出しなければなりません。

◆欠損金の繰戻し還付(法人税および地方法人税)

欠損金の繰戻し還付とは、ある年度に欠損金(赤字)が生じた場合に、その欠損金(赤字)を前年度に繰り戻して、前年度に納付している法人税と地方法人税の還付を受けることができる制度です。

ある年度に欠損金(赤字)が生じた場合、その欠損金(赤字)を「翌年度以降に繰越して」翌年度以降の所得(利益、黒字)から差し引くことはよく知られています。繰戻し還付はその「逆」です。

この繰戻し還付を受けるには、「前年度から青色申告をしている」「当年度の申告書を期限内に提出する」「確定申告書と同時に『欠損金の繰戻しによる還付請求書』を提出する」ことが必要です。

◆利子・配当からの源泉分の還付

会社が受け取る預金の利子、株式や出資金の配当からは所得税が源泉徴収されています。この源泉徴収されている所得税は、法人税から差し引くことができますが、法人税がゼロの場合には源泉徴収された所得税が還付されます。

この還付を受けるには、所定の事項を記載して法人税の申告書を提出しなければなりません(低金利下、還付額はわずかですか)。

◆源泉所得税を誤って過大に納付していた

源泉所得税を誤って過大に納付していることは案外多いです。原因は、給与台帳や帳簿などから納付書に記載する税額を集計する際の計算や転記ミスです。このような場合も所定の手続をすれば過大納付分の還付を受けられます。

源泉所得税の過大納付を見つけるには、「預り金勘定」をチェックすることです。預り金勘定がマイナスになっている場合には過大納付をしている可能性があります。

◆更正の請求による還付

更正の請求とは、申告書に記載した税額の計算が間違って過大になっていた場合に、税金を減額するように請求することです。更正の請求ができるのは、税額の計算が「法律の規定に従っていなかった」「計算誤りがあった」場合に限られます。

◆粉飾決算(仮装経理)をしていた

粉飾決算とは事実関係とは異なる処理をして利益を過大に計上することをいいます。金融機関は一定水準の利益を計上していなければ融資をしてくれないことから、つい粉飾決算をしてしまうのです。

粉飾決算をしていた場合、過去の粉飾額を進行中の事業年度で前期損益修正損(特別損失)として経理処理しなければなりません。しかし、この費用(前期損益修正損)は税務署に所定の手続をしてその内容と金額が認められるまで、法人税の申告においては損金(費用)としては扱われません(税金は減りません)。

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税金が還付されるケースは次の2つに分類できます。

〇納付した税金が「事後的な理由」で過大になった
〇納付した税金が「当初から」過大であった

前者は申告作業をしている段階で容易に気がつきますが、後者については粉飾決算を除いてそう簡単には気がつきません。申告の前段階である記帳で事実関係を正確に記録(把握)するとともに、税法に熟知していなければ防ぐことができないのです。大変なことです。

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