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晴れた日こそ映画を観る

24歳会社員による映画感想ブログ。出かけたと思ったら映画館というインドア派です。

リリィシュシュのすべて(岩井俊二監督特集)

2012年09月20日 03時48分41秒 | 映画(特集)
「ヴァンパイア」の公開を記念して、シネマライズで岩井俊二監督映画をいろいろと再上映していたので前々から気になっていた「リリィシュシュのすべて」を観てきた。

ネットの口コミを核心に触れないように恐る恐る読み漁った感じによると、十代独特の胸がキリキリと痛むような感じがするリアル系青春映画って感じで、つい最近観てめちゃ素晴らしかった「桐島、部活やめるってよ」を岩井テイストで描いた感じかなーなんて期待して鑑賞。
結論から言えば、個人的にはちょっとイマイチだった。。。
「桐島~」との比較で言えば、登場人物全員がリアルで「学校そのもの」を描き切ってる上にどの登場人物にも感情移入できる「桐島」に対して今作は「こんなやついるか…?」ってほど登場人物の気持ちが理解できないというか、あまり共感できなかった。
忍成修吾と市原隼人は中学入学当初はとても仲が良かったけど夏休み明けから忍成が不良になり荒れちゃって市原隼人にも強烈ないじめをするようになるっていう話なんだが、その変化する様にリアリティを感じないんだよな。。。

たしかにちょっとしたきっかけで人が変わることはよくあって、リア充だった友達が急に暗くなってひこもりになり音信不通になったこともあるし、いじめられっこタイプだった子がいじめる側にシフトチェンジするなんてのもまあよくある話。
「顔は歳とったら変わるから性格重視!」みたいなことを言う人もいるけど実は性格の方がすぐに変わるよね?と思う。

だから温厚で優秀でいじめられっこだった忍成が急に不良になるってこと自体は結構リアルだと思うし、それをもともと仲が良かった市原隼人の視点で描くってなるとめちゃくちゃ面白くなりそうなのに、十代のその繊細な心情の変化をあまり上手には描けてなかったと思う。

忍成が変化する夏休みに何があったかというと、オヤジ狩りした不良から盗んだ金で沖縄に行って豪遊するんですな。
そこで忍成はダツに刺されて死にかけたり、海で溺れて死にかけたり、謎の旅人大沢たかおが死ぬのを目の当たりにしたりと散々な目に遭うものの、沖縄編のウェイトとしては明らかにめっちゃ楽しそうな豪遊シーンの方が大きめで、良いことだけじゃなかったけどそれなりに楽んだように見えたけど??といった感じ。
(それとも死にかけた時に人工呼吸という形でファーストキスを市川実和子に奪われたことで失望したのだろうか!?)
少なくとも引き金になるほどのことは起きていないように思えるまま忍成は沖縄の海に札束をバラ撒いちゃうほど気が狂っちまったのである。
次のシーンで2学期が始まったらもうクラスメイトのDQNに攻撃的なキャラになっており、そいつをドブで泳がせるっていうマニアックでハードないじめシーンに突入しちゃうんだからもう付いていけないぜ。

忍成の斡旋で売春をやってた蒼井優が最後に自殺するっていうのも唐突。
いきなり変化を起こすことで十代の不安定さ的なものを表現したいのかもしれないし、蒼井優や忍成本人にも説明できないような機微ってやつなんだろうけど、「説明できないけどなんかわかる!」って気持ちにさせて欲しかったなあ。
あと忍成に続いて蒼井優もお金を捨てるんだが、万札を捨てるシーンってなんか嘘くさくて役のリアリティをなくすし、ありがちで面白くない!

ついでに言うと、これは完全に自分が悪いんだがリリィシュシュファンサイトの掲示板の文字がウワーって流れるのをちゃんと読むのはきつい!!
きついからちゃんと読んでなかったら意外と重要なことが出てくるのをまんまと見逃しちまった。
その結果フィリア・青猫についてもよくわからんままになっちゃったんだから、ひょっとしたらちゃんと読んでれば後半は結構楽しめたのかもなー。自業自得。
なのでこれから初めて観る人はここをちゃんと読むように気合を入れて臨むのがオススメです。

なんか文句ばっかり書いちゃったけどテーマとか話自体はすごく面白いなあと思うし、映像もいちいち綺麗だからそれなりに楽しめた。
それがマイナスに感じたというか、嫌なシーンなんだからこんな綺麗なんじゃなくてもっと嫌な感じで撮ってよって思うとこもあったけど。

ということで、ぱっと見好きな感じだからこそ却って物足りない印象が強く残る作品だった。

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