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晴れた日こそ映画を観る

24歳会社員による映画感想ブログ。出かけたと思ったら映画館というインドア派です。

ハードキャンディ(エレン・ペイジ特集)

2012年08月28日 20時16分40秒 | 映画(特集)
ローラーガールズダイアリーの感想を書き上げた直後、「やっぱりエレンペイジにハズレはねぇぜ!キャハハ!!」とか思いながら鑑賞した「ハードキャンディ」なんだが、どうしたことか全く面白くなかった。。。。
それどころか不愉快なだけで、最近観た中ではぶっちぎりにつまんなかったぜ、、キャハハ・・・

2006年公開ということでエレンペイジ主演作品にしては割と古いもので、彼女自身子役というか、14歳の中学生役で出演。
強烈なのはそのあらすじで、簡単に言えば女子中学生が出会い系サイトで出会った男を拷問にかける話なんですわ
それも出会い系サイトで少女をひっかけるステレオタイプ的な変態ではなく、別にエロい要求をしてきたりだとか部屋に連れ込もうとしてきたりとかは一切しない男で、会おうって誘ったのも家に行きたいって言ったのも少女の方。
そんな中途半端な変態が男としては観てるだけで泣きたくなるような目に遭わされるのである!

とはいえ後半になると、オッサンは真性ロリコンであり少女を殺した悪人であるという真実が明かされ、エレンペイジと出会ったのも偶然ではなく最初から懲らしめようとしていたことが明らかになるのだが、それが全然納得いかない!
エレンペイジはなんでそれを知ってるのか!?殺された女のなんなのか!?そもそもほんとは何者なのか!?
いろいろと腑に落ちないから動機もなく拷問をする悪趣味な映像としか受け取れなかった。

「やりすぎな報復」をやるのであればそれこそ「スーパー!」みたいに思いっきりコメディにして「報復してる側が行き過ぎてて笑うしかないww」みたいなテイストにしてくれればいいのだが、ハードキャンディの場合は少なくとも笑わせる感じではないし、かといって真剣な意味が特に感じられるわけでもなく、これといった面白みが全然感じられない非常に退屈な映画だった。

ローラーガールズダイアリー(エレン・ペイジ特集)

2012年08月25日 19時26分59秒 | 映画(特集)
今年五月に注目の若手特集ってことで「JUNO」の感想を書いたエレン・ペイジですが、「インセプション」にしても「スーパー!」にしても普通に面白いっていうレベルをひとつ越えた次元の作品で、エレン・ペイジの出ている作品はひょっとして宝の山なのではないかとの疑惑が浮上したため今日2本まとめて観てみようと思う。

ということで観てみた「ローラーガールズダイアリー」はドリュー・バリモアの初監督作品で、ローラーゲームというスポーツをする女たちの話。

このローラーゲームというのはローラースケートを履いて2チームに分かれリングで走り回るスポーツなんだが、スケートの優雅でかわいらしいイメージとは裏腹に、激しくぶつかり合う格闘技的で野蛮な部分のある競技。
オリンピックシーズンの今柔道とかレスリングで活躍する女子選手もカッコイイっていう風潮はあるけど、「あまり激しいスポーツを女の子がやるのはいかがなものかね」っていうイメージもやっぱりあって、特に親としては絶対して欲しくないって反対するケースも当然多いと思う。

この映画の中でもローラーゲームをやってることが親にばれてやめることになるシーンがある。
このシーンでは無理やり辞めさせられるような形になってたけど、「いい大学に入ったり結婚したりするのに不利になるわよ!」っていう親の言い分は一理あるはずだし、親友にケンカで言われた「アンタスケートなんかやってて何になるのよ!」っていうのも言い返す言葉がなくて、やればやるほど失うものがあるっていうデメリットを彼女自身感じて悩んでいるんだろうなと思った。

チャレンジ精神欠落症候群のおれがもし同じ立場だったらお母さんの言う通りミスコンに出ていい大学に入ってエリートと結婚できればそれでめちゃくちゃ十分じゃないかと思うんだろうけど、彼女はそれでもローラーゲームをやる!
夢中になれるものを見つけた人が紆余曲折を経てそこで活躍してイケメンのカレシもできてリア充するありふれた青春映画であり、ベタな感じなんだけどこれが非常に楽しめた。

というのは、上げて落してもう一度上げるっていう教科書的な構成をちゃんとやりきってるからだと思う。
屈強な選手の中で小柄なブリス(エレンペイジ)が活躍する気分の良いところから急に親友を失い、スケートもできなくなり、親ともケンカして家出して、カレシもツアー先で浮気してるっぽいという不幸の雪崩がドドドドッと押し寄せる!
そこからクライマックスに向かっていい感じになっていくという絶対楽しめる構成なんですな。

それに加えてローラーゲームの試合のシーンはそれ自体エキサイティングだったし、忍び込んだプールで繰り広げられる水中のラブシーンも素敵だったし、チームの強い女たちとそのコーチの練習やらミーティングのシーンがコミカルだし、活躍してブリスの写真がポスターになったときのわかりやすい「みんなに認められた感」の気分の良さとか、一個一個のシーンが楽しかったと思う。

それと、いい意味での女性監督っぽさがある映画だとも思った。
31歳でローラーゲームを始めて36歳の今トップ選手として活躍している選手の若いブリスへの嫉妬を描いてみたり、旅先で浮気してたっぽいカレシにキスしてからひっぱたくシーンなんて男にはそうそう理解できない複雑な乙女心って感じでした。
あと、あれほど女同士がぶつかり合う題材なのに暴力とかエロとかはなしでさわやかに描いてるのも女性っぽいといえばそうかもしれん。

あえて不満を言えば、ローラーゲームで活躍し始めるまでの前半が結構退屈だった。
冒頭がミスコンのスピーチ審査にブリスが髪を青く染めてきちゃってお母さんがプンプンしちゃう結構退屈なシーンで、正直「あれれ、この映画微妙かもな…」とか思っちゃいました。
バイト先に知り合いが来て子豚の早食いチャレンジするシーンとかもいらなかったと思う。
バイト先がブタ料理屋で変な衣装着てるっていうのは好きだったけども。

というわけで、どちらかというとスポーツものは苦手なのに非常に楽しめました。
エレン・ペイジの役柄としてはこれまでの個性的な役と比べるとかなり普通の人というか、常識的な役でおとなしくしてた印象。
これを観た後に「スーパー!」のボルティーで演じたキ●ガイの演技を見るとまた面白そうだな。

超面白かった変な映画3本(「ダンボ」、「ロボット」、「私が、生きる肌」)

2012年07月11日 23時56分18秒 | 映画(特集)
発想がぶっ飛んだ映画ってほんとに面白い。
最近観た映画3作はどれもちょっと変わった傑作だった。

①ダンボ
ディズニーキャラとして有名なダンボだけど、この映画がなかなかすごかった。
一番すごかったのが、ダンボが水と間違えて酒を飲んで酔っちゃって幻覚を見るシーン。
自分の鼻をラッパ代わりに吹く象がいっぱい出てきたと思ったらそいつらが次々に予想だにしない行動をとる狂気の名シーン。
その場面について、ウィキペディアでダンボのページを観てみるとキャラクター紹介のところピンクのゾウってのが紹介されていた。
「ピンクのゾウ:お酒を飲んでしまい、酔っ払ってしまったダンボの夢に出てきた、謎のゾウ。様々なことをしていた。」
様々なこととしか言えないぐらいなら何も書くなよ!と言いたいところだがそれもそのはずで、もはや言葉では表現できない謎のゾウが最高に面白かった!
同じ人間が思いついたとは思えない不思議な動きをいくつもいくつも繰り広げるまさに発想の泉。

そんなずば抜けたシーンに加えてダンボをかわいがるお母さんの心のこもった動きやら、ダンボをいじめるメスのゾウ達の醸し出す女グループのいやらしさやら、ねずみのティモシーのいい奴感やらどこをとっても面白くって、文句のつけどころのない超傑作だった。
一時間そこそこと短い手軽さも魅力。何度も観たい。
最近集中力が低下しているせいか、短い映画の方が無駄がなくて面白く感じるな。


②ロボット<完全版>
「短い映画の方が無駄がなくて面白い」なんて言ったばかりだけどこの作品は約3時間と長い。
しかもその大半は意味不明なダンスシーンで、見ようによっては完全に無駄!
実際に完全版じゃないほうのバージョンでは無駄とみなされ大幅にカットされているというね。

ケンカ中キスでいきなり仲直りしたと思ったら急に砂漠の中のオアシス的な気持ちのいいロケーションに移り、「キミはハチミツの中のワサビ~♪」とかなんとか歌って踊り出す意味はわからんがとにかく楽しい演出の連続。
ダンスシーンは当然何かを表現しているんだろうが、そういうことは特に深く考えずに「フンッ」って鼻で笑いながら観てるだけですごく心地良かった。
「ワケわからんが面白い」っていうキャッチコピーは全くその通りで素晴らしいと思う。

ロボットのチッティが魅力的なせいか、ロボットが人間を裏切るとか人間に恋をするとか話としてはベタっちゃベタなのに結構共感して入り込んでしまった。
サナを好きだーっていうダンスシーンも素敵だったし、それなのにフラれちゃうシーンはやるせなかったし、斧で壊されるシーンなんて人間側からしたらしょうがないけどチッティに共感しちゃってるから悔しくて悔しくて。。。
とにかく夢中にさせられました。

そこから悪のチップを入れられて大暴れするようになってからはまた違った良さが出てきて、普段アクションシーンとかがそこまで好きなわけではないけどこの映画のは面白かったな。
大量のチッティが固まって蛇になって攻撃してくるとか、ふざけてるのに怖過ぎ。
迫力とくだらなさが融合してて最高だった。

ダンスシーン、アクションシーンは特に映像がめっちゃくちゃ綺麗で銀座シネパトスの小さいスクリーンとはいえ映画館で観れて本当に良かった。
タイタニックみたいにいつかIMAX3Dで復活上映してくれたら絶対見に行きたい。


③私が、生きる肌
ダンボ・ロボットの愉快なテイストは明らかに違う雰囲気の、静かに狂った映画。

人工皮膚により作り出したきれいな女を何やらオッサンが監視しているところから始まり、その女は何なのかオッサンはどういうつもりなのかってことが徐々に明らかになるストーリー。

ちょいと思いっきりネタバレしちゃいます。
1.オッサンには美人な奥さんがいたのだが、奥さんは義理の弟と駆け落ち。その道中事故に遭って車ごと大炎上!全身にヤケドを負ってしまう。
2.オッサンの必死の看病もあり一命を取り留めたものの、ある日鏡に映った自分の醜い姿に幻滅して奥さんはそのまま飛び降り自殺!
3.オッサンの1人娘はその自殺を目撃してショックを受ける。メンヘラ化。
4.メンヘラ娘はパーティで出会っていい感じになった男とセクロスしようとするもメンヘラの発作で急に喚き出し気絶。男はびっくりして逃げる。その後娘自殺。
5.オッサン「娘が死んだのはレイプされたせいだ!」→レイプ魔(ほんとはやってないけどそういうことになってしまう)を捕獲!
6.自宅に監禁し、人口皮膚や膣形成手術を駆使してレイプ魔をなんと亡き妻そっくりに!
7.娘を強姦した男を駆け落ちした奥さんそっくりにして監禁して愛しちゃう!

というわけで娘を死に追いやった憎い男を手術で奥さんそっくりにしてセクロスしちゃう話であり、クズ野郎と駆け落ちして事故に遭った自業自得の奥さんの影を執拗に追い続ける話であるということでこりゃ完全に狂ってる。
作った膣を広げるために大小様々のチンコ型の棒を渡して訓練するよう命じるシーンとか、かつて奥さんと駆け落ちした義理の弟がトラのコスプレして乱入してきて「生きてたのかー!」とかいいながら奥さんの姿になったレイプ魔をレイプするシーンとか、あまりにも狂ってる。
まさに衝撃的だったぜ。

ロボットの「ワケわからんが面白い」と同様キャッチコピーがなかなかよくて、「あなたは、これを愛と呼べるか」ってこれもしっくりくるなあ。



というわけで3本の個性的な映画を楽しむことができた。
ちょっと変わった映画ってことで一括りにしてしまったけど、ダンボは泣いちゃってもおかしくない切ないシーンもありつつ最後は超気持ち良く終われるし、人間業とは思えない発想が散りばめられてはいるけど割とベタに誰が観ても面白い映画として捉えるほうが正しいかもしれない。
それに対して「私が、生きる肌」みたいな変態映画は安易に人に勧めたくないな!
趣味が合う人にこっそり教えてあげたい名作として映画史に名を残すのではないだろうか。

4月~6月中旬に観た映画

2012年06月17日 18時56分40秒 | 映画(特集)
4月以降に観た映画の中でここに書かなかったものについてせっかくだからちょこっとメモ。
目次はこの通り↓

2012/4/12 アバウトアボーイ
2012/4/13 ホットファズ
2012/4/14 ムーランルージュ
2012/4/15 レミーのおいしいレストラン
2012/4/19 一枚のハガキ
2012/5/11 スリーピー・ホロウ
2012/5/18 ダーク・シャドウ
2012/5/26 アニー・ホール
2012/6/3 ピーターパン
2012/6/4 ゴースト~ニューヨークの幻~
2012/6/15 マーダーライドショー

実はこれ以外にもディズニーの名作「ダンボ」と公開中のインド映画「ロボット」も観たんだが、かなり印象深かったからそれは別で書こうと思う。
好きだった順に書いてくぞ。

①アニーホール
いま「ミッドナイト・イン・パリ」が公開中のウディ・アレンの代表作。
見せ方がいちいち独特で、思い出話をする時は回想シーンを一緒に観てるっていう描き方だったり、観てるこっちに急に話しかけてきたりだとか遊び心満載で楽しい。
アニーとのケンカを劇中劇でやるくだりとか、なんとなくストーリーにも仕掛けがあり遊び心演出と噛み合ってるように感じた。
こういう変な演出のある映画は大好き。
というわけでめちゃくちゃ面白かったんだけどやっぱりどことなく古臭くていまいち乗り切れなかったのが残念。。。

②一枚のハガキ
新藤兼人の遺作にして、ゆとり世代のおれとしては初めて見る新藤兼人作品。
100人中96人が戦死したなかの生き残りで、死んだ仲間に託された一枚のハガキを大竹しのぶに届ける男をトヨエツが演じる。
4/100で生き残ったってとこまでは監督の実体験だったということで、なんだか素で映画みたいな人生なんだな。
夫やら大事な身内がどんどん死んでおかしくなる大竹しのぶと、幸運にも生き残れたけど結構複雑なトヨエツの二人が送る古風な舞台での会話が面白かった。
100歳のじいさんが撮ったとは思えない超傑作で本当に面白かった。
新藤監督特集ということでいまさら渋谷でやってたんだが、映画館で観れてよかった。

③レミーのおいしいレストラン
「ネズミの料理人の話」とだけ聞いたらあまり期待できなそうな感じがするけど普通に面白かった。
「ウォーリー」とか「ミスターインクレディブル」とか、個人的に最近みたピクサー映画はハズレがない。
ブラッド・バード監督といえば「ミッションインポッシブル:ゴーストプロトコル」が本当に最高で、今言ったばっかだけど「Mr。インクレディブル」も非常に良かった。
それだけに、そういう名作と比べると少々落ちるかな・・・。
なぜって、全部が全部ねずみのレミーのおかげ過ぎて、クズ野郎のはずのリングイニが無意味においしすぎるのが腑に落ちない!
映画のタイトルに反してまさにメシマズの想い。。。
ネズミの動きのかわいさやら、料理シーンそれ自体の楽しさやら、ストーリー以外の部分がピカイチにいい映画だとは思う。

④ホットファズ
正直微妙だった「宇宙人ポール」の二人が主演。
笑えるしストーリーもあるし最高!
残るもののないアトラクション系映画であることは否めないけど普通に楽しめた。

⑤ムーランルージュ
ミュージカル調で素敵。

⑥ゴースト~ニューヨークの幻~
「( ;∀;) イイハナシダナー」の一言に尽きる。
でも「不朽の名作」にありがちなゆとりには乗り切れない感がやはり発動。
リアルタイムで映画館で観てたら一生思い出に残る一本になってたのかもわからんけどね。
古い映画で名作と言われてる作品はハードルが上がってるし、今と価値観が違うからどうしても楽しみ切れないなぁ・・
「時計仕掛けのオレンジ」くらい独特だと今でも面白いけど、普通に面白い系の名作はゆとりが観てもだめなんだろうか。

⑦スリーピーホロウ
ジョニデ&ティムバートンコンビの作品でいうとスイーニートッドくらいの面白さ。
一生忘れない名作の「ビッグフィッシュ」を撮った監督であり、あまりに残念な「コープスブライド」も撮った波のある監督の〝やや面白い映画”。
普通に面白かったけど、「ビッグフィッシュ」やら「チョコレート工場」やらが最高過ぎて過剰に期待しちゃう部分があるからなー。

⑧ピーターパン
ピーターパンがナルシスト過ぎて引く。
しかも実際カッコイイから腹立つ。

⑨アバウトアボーイ
期待しすぎた。
今回はあんまりグッと来なかったが、10年後、20年後に観たとき想うところのある映画なんじゃないかなと感じた。
大人向け?

⑩ダークシャドウ
雰囲気はいいけどストーリーがさすがにもの足りん。
ジョニデ&ティムバートンの醸し出す楽しい世界はあるけど、ただそれだけ。

⑪マーダーライドショー
ポップな雰囲気で相当陰惨な事件が起きる。
笑ってればいいのやら怖がればいいのやらわからんが、とりあえず悪趣味。



「ホットファズ」「ムーランルージュ」で思ったんだけど、観てるときは超面白かったはずなのに思い出してみるとそこまででもなかったような気がする映画ってある。
逆パターンで言うと「血と骨」なんかは観てる時は不愉快でやめようかと思ったけどあとから思えばよかったし、「恋の罪」は観てるときから「嫌だけどイイ!!!」っていう感じだった。
好き嫌いで言えば「血と骨」は嫌いで、「ホットファズ」は好き。
「恋の罪」は大好き。
とはいえ「恋の罪」みたいな映画は気合入れてみないとつまんなくて、もし金曜ロードショーとかで普通にテレビで流したって誰も面白いって言わないと思う。
まあ18禁だからそもそも無理だけども。

ヒーローショー(注目の若手特集)

2012年06月06日 21時15分13秒 | 映画(特集)
注目の若手特集ってことでエマ・ストーン、ジェシー・アイゼンバーグ、エレン・ペイジに続いて最後にジャルジャル主演の「ヒーローショー」を観てみた。
予定では「サイタマノラッパー」を観ようとしてたんだがDVDが手に入らんのだ。

ジャルジャルが主演てことで割とふざけ目な感じの映画を予想してたけど全然ガチで、普通にめちゃくちゃ面白かった。
ちょっとした喧嘩がエスカレートして殺しにまで発展してしまうんだが、事件の当事者というよりは巻き込まれた感の強いやつが加害者サイド・被害者サイドにそれぞれいて、その2人を演じるのがジャルジャル。

夢を言い訳にダラダラ生きてる若者役の福徳は普通にハマってて良かったし、自衛隊出身の強いオトコを演じる後藤は普段のキャラと違い過ぎて観てる方が戸惑うくらいなのにしっかりやっててすげえ。
情けない男が殺人事件に巻き込まれて、「適当に生きてるからこんなことになるんだよ!」なんて罵られて、可哀そうだけど観てる方としても確かにその通りだよなぁって思ってしまうところと、「だけどもし同じ状況にいたら自分もこうなるかも」って共感しちゃう一連の妙に身近な恐ろしさが「冷たい熱帯魚」を思い出させる。

「冷たい熱帯魚」は村田っていうとんでもない悪役がいるけど今回の「ヒーローショー」に悪役らしい悪役はいなくて、仕返しに仕返するエスカレーションの成り行きで普通の人が人殺しになるのが怖い。
さらに面白いのは、たとえ人を殺したとしても普通の人は普通の人で、それまでどおり暮らしたい気持ちと殺してしまった事実にギャップがあり、葛藤する姿がリアルに描かれるところ。
人を殺したってやりたかったことはすぐには諦められないし、家族に迷惑かけたくない気持ちだってある。
そういう当たり前の気持ちを殺人鬼が持って葛藤するのはすごく見応えがあった。
映画に出てくる殺人鬼で「おれの人生ゲームセットだよぉぉ!!」とか喚くやつ初めて観た。

一番良かったのは、自分も被害者だけど死なせてしまったことに罪悪感があり自分の人生が散々なものに思えてわんわん泣く福徳のシーン。
「自分だけ生きようとしてごめんなさい!」
「生きる資格ありません!」
「生き直させてくれよぉぉぉ!」
ってポップ目な語彙で辛い気持ちを吐き出す感じがすごくリアルだった。

お笑い芸人を主役にしてるくらいだからライトな映画かと思ってなめてたけど、むしろ冷たい熱帯魚テイストでびっくり。
福徳がはまっててよかったなあ。
後藤も良かったけど。
井筒監督作品としては「パッチギ」に比べてもぶっちぎりに面白かったな。

JUNO(注目の若手特集)

2012年05月03日 00時19分45秒 | 映画(特集)
若手特集第3弾はエレンペイジ主演のJUNO。

インセプションでエレンペイジを最初に観た時には特に何とも思わなかったんだけど、スーパー!でのインセプションとの役柄の違いと2本ともの桁外れの面白さからさすがに注目してみた。
インセプションでは“夢″の設計師としてリーダーの癖に自分勝手なディカプリオに協力する頭のいいクールな学生を演じていて、ディカプリオの心の深いところにずかずかと強引に踏み込み救うっていう重要な役割を担ってたんだが、それに対してスーパー!ではスーパーヒーロー・ボルティーに扮して暴力を振るうセックス中毒のキ○ガイ女。
不幸でモテない地味な主人公のフランクとは対照的に妙にハイテンションで常識はずれで人の気持ちを少しも理解しないDQNをコミカルに演じたということで、賢い役からマジキチまでいろんな役のできる実力派。
権力ジジイのJ・エドガーとタイタニックのジャックを演じ分けるレオ様並みの逸材ですな。

今回のジュノ役はどちらかというとスーパー!のリビー役に近いハイテンションでコミカルな役。

話を簡単に言ってしまえば
起:16歳で妊娠しちゃって大変
承:養子にもらってくれる素敵な夫婦が見つかった
転:でもその夫婦には愛はなかった。この世にずっと続く愛なんてないんだ!
転:父「ありのままを愛してくれるひとはいる」
結:無事出産。孕ませた男とラブラブに。

未成年の妊娠っていうと一時期よく話題になった社会問題だけど、そういう状況で明るく振る舞える人間の強さに感動できる映画だったな。

お父さんとその再婚相手の継母も良かった。
継母ってだいたいネガティブなイメージで使われるけどイヤミなレントゲン技師に「娘への侮辱は許さないわよ!」って憤慨するシーンなんてとっても素敵で、16歳で妊娠してしまおうとお腹が大きくなって大変だろうと、いつも明るくユーモアあふれる娘を育てる親ってこんな感じなんだろうなと感じる。

お父さんの名台詞「上機嫌、不機嫌、どんな時もありのままを愛してくれるひとがいるはずだ」ってのもいいね。

てなわけでとってもハードウォーミングな話だったんだけど、話の筋というよちもジュノの口走る変な言い回しやら行動が面白かったな。
でっかいジュースをがぶがぶ飲み始めるシーンから始まって何かと思ったら妊娠検査薬を陰性が出るまで何度も使うためにおしっこをしたかったってのがまず面白いし、子どもを“ひねり出す”って表現とかいちいち楽しかった。

エレンペイジは悪気なく強引なことをする役が似合うね。
素朴な顔のいいDQNて感じ。

注目若手俳優・監督特集(ジェシー・アイゼンバーグ、エマ・ストーン、エレン・ペイジ、入江悠)

2012年04月24日 12時15分34秒 | 映画(特集)
ジェシー・アイゼンバーグは大学教授の父と大道芸人の母との間に生まれた天才で、知的な演技とコメディな演技を両立させる素晴らしい俳優である。
面白要素がパンパンに詰め込まれたコメディの傑作「ゾンビランド」「ピザボーイ」と、フェイスブックの「ソーシャルネットワーク」が三作ともめっちゃくちゃ面白くて、トムクルーズに引き続き出演してれば確実に面白い俳優である可能性が高いということで「ジェシーアイゼンバーグ特集」をやろう!
と思ったんだけど主演作品がトムクルーズみたく山のようにあるわけではないため、素敵な若手による作品を何本かまとめて観てみることに決めた。

演目はこれ↓
『アドベンチャーランドへようこそ』
主演:ジェシー・アイゼンバーグ
『小悪魔はなぜモテる?!』
主演:エマ・ストーン
『JUNO』
主演:エレン・ペイジ
『SR サイタマノラッパー』
監督:入江悠
(『ヒーローショー』
主演:ジャルジャル)

1本目はジェシーアイゼンバーグのアドベンチャーランドへようこそ。
『スーパーバッド 童貞ウォーズ』、『宇宙人ポール』のグレッグ・モットーラ監督で、かなりコメディ色が強いんだろうなといった感じ。
2本目にエマストーンの小悪魔はなぜモテる?!。
彼女もゾンビランドで主演をしていてすごく良かったのと、評判のいい映画なのでこの機会にぜひ観てみようと思った。
グレッグモットーラの童貞ウォーズにも出演ということで、なぜか童貞・ヴァージン関係の作品に頻出。
3本目はJUNO。
インセプション、スーパー!といったおれにとって本当に大好きな作品で主演していたため期待大のエレン・ペイジ。
この人はジェシーアイゼンバーグ以上に真面目とおふざけの開きが大きくて、インセプションの賢い役のイメージが強かったのにスーパー!でのマジキチの役はびっくりした。
JUNOはヤング≒アダルトのジェイソン・ライトマン監督ということで、ライトマンというくらいだからコメディ寄りのライトな作品が予想される。
4本目にSR サイタマノラッパー。
注目の若手、入江悠監督作品。
ライムスター宇多丸、三角締めが絶賛。

そして余裕があったらジャルジャルのヒーローショーも観ようかななんて思ってる。
井筒監督の暴力演出が苦手で、パッチギなんかもそれが邪魔に感じてしまったくらいなんだが今回もR-15ということで暴力シーンは多々あるだろうな。
暴力と言うか不良同士の無意味なケンカシーンが退屈だったんだよな。
「だったら見んな!」って感じもしますが、意外と評判はいいみたいだし芸人として注目の若手ジャルジャルが出てるということでちょっと観てみたい。

そんなわけで、大スターベテラン俳優トムクルーズを見た前回とは逆にこれからの若手に期待。
今回は感想は一個ずつ更新しようと思う。

トムクルーズ特集(トップガン、ハスラー2、レインマン、インタビューウィズバンパイア)

2012年04月24日 11時16分48秒 | 映画(特集)
バニラスカイとミッション:インポッシブルがすごく良くて、トムクルーズ主演映画にハズレはないと確信したのでまとめて4本観てみた。

↓太字が今回観たもの↓
公開年  年齢   タイトル
1986   24   トップガン
1986   24   ハスラー2
1988   26   レインマン
1994   32   インタビューウィズバンパイア
1996   34   ミッション:インポッシブル
2000   38   ミッション:インポッシブル2
2001   39   バニラスカイ
2002   40   マイノリティリポート
2006   44   ミッション:インポシブル3
2011   49   ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル


トムが24~32歳の比較的若い頃の作品を鑑賞。
これまでに観た10作は個人的にはこんな感じ。

M:I2=M:I4≧バニラスカイ≧M:I>レインマン>インタビューウィズバンパイア≧ハスラー2>M:I3>マイノリティリポート>トップガン

全体的な感想としてはトムクルーズはどの役でも間違いなく魅力的で、興味をそそられるため必然的にトムクルーズが出てる映画はやっぱり確実に面白い。
イーサン・ハントを初めとして強い・カッコイイってイメージが強いトムクルーズだけど、ただのヒーロー役というよりもちょっと「嫌なヤツ」っぽい要素も多いというか、何か素直じゃない「曲者感」が彼の魅力なのかなと思う。
「ニタァ」っ感じの含み笑顔が印象的で、カッコイイようなうざいような、とにかく引きつけられるトムクルーズらしいキメ顔を公開当時24歳のトップガンの頃からやってたのには驚いた。
もっと大人になってから身に付けたものかと思ったわ。
あとどうでもいいけど、サッカー日本代表の長谷部に似てると思ってたら若い頃からやっぱり似てた。


【インタビューウィズバンパイア】
ブラピとの共演で躊躇なく人を殺しまくり、身勝手に人をバンパイアにしてしまったり、人を小馬鹿にするちょっとした悪役バンパイアのレスタトを演じる。
この映画はあらすじがぶっとびすぎてたから正直あまり期待はしないで観たんだけど、これが意外にめっちゃ良かった。
バンパイアになったものの人を殺せずドブネズミの血ばっかり吸ってるブラピに対して愉快そうに人を殺しまくり、自分のように人を殺せないブラピを小馬鹿にするのが非常に感じが悪いんだけど、考えてみればバンパイアなんだからやってることはある意味で普通で、むしろおかしいのはブラピのほうなのか?なんていう目からウロコ的な面白さ。
結局バンパイアの世界でもレスタトは変人だったてことにはなるんだけど、なんかもう何が正しいのかわけわかんなくなって楽しい。

最初はバンパイアなんて他には誰にもいないような雰囲気を出しつつ、キルティン・ダンスト演じる少女クローディアをバンパイア化して仲間にしたり、街に行ったらバンパイアがいっぱい出てきたりとだんだん登場人物が増え、ちょっといびつなバンパイアの社会を人間に近い価値観を持ったブラピの目線から覗き込むという何とも変わった面白い作品でした。
クローディア絡みのシーンは特に良くて、レスタトがクローディアに首を切られるシーンはめちゃくちゃ迫力あったし、展開としても面白かったな。

レスタトの役は他の作品に比べるとちょっと異質でトムクルーズのイメージとは一見合わなそうなんだけど、ひょうきんで陰気な器の小さいハンサムなバンパイアが見事にハマってて、改めて演技の幅の広い力量のある俳優なんだなと感じる。
こういう曲者感を活かせる役ももっとやって欲しいなあ。


【トップガン】
そんな曲者のレスタト役に比べて、トップガンのマーベリック役は別にトムクルーズじゃなくても誰でも良さそうな普通っぽさを感じてしまい残念。
無駄に上裸になってビーチバレーをしてみたり、店中みんなが一緒になって歌いその勢いに乗せて声をかけるっていう新手のナンパテクニックだったり、なんとなく愉快な雰囲気を楽しむバブル期丸出しな世界観。
普通に楽しい映画だけど、他の作品に比べると見応えがないかな。


【ハスラー2】
トップガンと同じ年に公開の作品。
ポールニューマンをこけにする生意気な若者役で、自分勝手なちょっと嫌なヤツ。
へらへらと平気でウザいことをやってくる役柄が非常にハマってた。
名脇役だったけど、この映画はトムクルーズどうこうというよりポールニューマンが素敵だったな。
やめてたビリヤードを久々にやってみたらフルボッコにされて再燃するオッサンの情熱に萌えた。
いい歳こいてムキになって、若者たちが周りでワイワイ騒いでるビリヤード屋で独りコツコツと練習する姿がなんか良い。
必死こいて練習してトーナメントを勝ち上がり、僅差でトムクルーズに勝つんだけど実は金のためにわざと負けただけだったとわかり、落ち込んじゃうじいさんの何とも言えない無念な苛立ちに超ぐっときた。
やっぱり何かに打ち込んでるひとってのは魅力的だね。
普通は活力の失いそうな老人だと特に良い。

トムクルーズに関して言えば、流行が違うのかあまりにダサい。
同じ年に公開のトップガンは制服姿(あと上裸も)が多かったからダサさにあまり気付かなかったけど、今まで観たトムクルーズの中では群を抜いてカッコよくなかったな。
とはいえ「わざと負けて儲けちゃったよハハハ!8000ドルやるよハハハ!!」って乗り込んでくるときのうざい感じやらで良さは結構出てたし、トムクルーズの魅力はそれなりに出てる作品だったと思う。
ビジネスパートナーを解消して帰っちゃうポールニューマンに階段でキレて、キューを蹴ろうとしたんだけど怒りすぎてスカっちゃうリアルな感じも良かった。

【レインマン】
「ハスラー2」と同じく嫌な感じの若者役なんだけど、トムクルーズの映画はハデな作品が多い気がしてこういうヒューマンドラマは珍しく思う。
カリカリした金の亡者が二人旅を通して人間的に成長するんだが、なんだか観ていて普通に楽しい。
常識の通じない相手との長距離ドライブが設定としてめちゃくちゃ楽しいんだよな。
決まった時間にテレビを観なければならないとか、替えのパンツはいつものスーパーじゃなきゃ買えないとか常識では対処できないレイモンドの要求にワーワー言いながら頑張りつつ、カジノやらダンスやらのイベントも楽しむ。

おれは障害者が出てくる映画が基本的には苦手で、いかにもなお涙ちょうだい的プロットが多かったり、障害者だからって考えてることがあまりにわけわかんなかったり、障害者役の演技がなんとなくバカにした感じに映るような気がするからなんだが、それに対してこの映画のレイモンドにはなぜだか少し共感できる部分があるような気がして普通に見れた。
障害者じゃなくて自閉症だからかな。
普段の習慣を邪魔されるのが嫌だとか、話の意図がつかめないとか、レイモンドほどではないにせよ多かれ少なかれ健常者であってもそういうところはあるわけで。
そんなレイモンドに対してトムクルーズ演じるチャーリーは超強気で自己中心主義な経営者で、対照的な二人の触れ合いが素敵な期待を裏切らない名作でしたよ。


というわけで比較的若い頃のトムクルーズ出演作品を4本観てみた。
トムクルーズってやっぱりM:Iシリーズのイーサンハントのイメージで、マイノリティーリポートでもそんなような役だったと思うけど意外といろんな役をやってた。
特にインタビューウィズバンパイアのレスタト役は良かったなあ。
トムクルーズって超魅力的な「嫌なヤツ感」を持ってて、バニラスカイなんかはそれも効いて面白い映画になってたと思うんだが、レスタトはそれをかなり強調した役だった。
未見の「コラテラル」では悪役を演じてるということで是非早く見てみたいものだ。
また近いうちにトムクルーズ特集第二弾としていくつかまとめて鑑賞したい。