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中島美嘉が“ナナ”に扮して歌う「GLAMOROUS SKY」が普通に名曲で、それこそ社会現象になった作品なんだけど個人的にはこの作品は完全になめてた。
歌手を主演にしてみたりhydeに書かせた曲で宣伝してみたり、その曲を流行らせたりという売り出し方が上手過ぎるせいか、乗り遅れた流行りモノみたいに思えて観るのを避けてきたけど、やっぱり流行るだけのことはあってめちゃくちゃ面白かったです。
基本チープな雰囲気で気楽に見れるんだけど、なんだかんだで実はちゃんと面白い。
映画が始まるまで完全になめてた身としては、オープニングの演奏シーンからのナナとしての中島美嘉の歌声と見た目のしっくり感が予想を遥かに上回っていて、一気にワクワクムードに転換させられました。
かと思えばその打ち上げシーンやら、大雪の中めちゃくちゃ長いのにペラッペラに薄い全然暖かくなさそうなマフラーをカップル巻きするシーンなどは良い意味で非常にくだらないわけで、どうやら日常のシーンは意図的に気楽なタッチで撮られてるんでしょうか。
その点に関しては成宮くんの功績が大きくて、ガチイケメンのくせしてああいうおバカキャラが似合う役者でもあったのかと感心しました。
中島美嘉と宮崎あおいが出会ってから同居することになる経緯もサクサクいって楽しいし、しつこい説明があるわけではないのにヤス(丸山智己)やノブ(成宮寛貴)、レン(松田龍平)や章司(平岡祐太)といった脇役のキャラもちゃんと立ってるわけで、脚本がさりげなく素晴らしい。
それに、細かいところにサエコ、松山ケンイチ、玉鉄などがキャスティングされてて、どれもめちゃくちゃハマってるっていうところもグッド。
みんなほんとにピッタシだったけど、特にサエコの計算高くてあおいの彼氏を寝取る役の熱演はイメージまんまやないかいということで最高ですた。
サエコにひっかかる彼氏役の平岡祐太は、ドラマ「私が結婚できない理由」で大島優子と付き合う役だったときもそうだったけど、イケメン系クソ野郎をやらせたらなかなかのもんですな。
サエコ&平岡祐太によるチープな感じの浮気劇はコント風で、現行犯的にあおいの目の前で白々しく発覚するのだけど、「なに傍観してんだよ!テメェの喧嘩だろ!テメェで男を取り返せ!」と煽る中島美嘉に対して、
「いらない。もう顔も観たくない!」
と泣き出してしまう宮崎あおいの演技が急にとっても切実で、ここまで完全に半笑いで観てたはずなのにその緩急のせいでいきなりハチ(あおい)の気持ちに入り込まされてしまうのが秀逸だったなぁ。
ここにきてネームバリューでも見た目のポップさでもないあおいの演技力が発揮されてたのが良かった。
そしてもちろん、演奏シーンも最高。
蓮(松田龍平)の率いるバンド、トラネスの演奏シーンではただ単純に演奏を見せるんじゃなく、ナナ(中島美嘉)の気持ちで観させるのがうまい。
映像ではかつて一緒にバンド活動をしていた元彼である蓮との過去を回想しつつ、聴こえてくるいまの蓮の弾くギターに乗っている歌声は全然知らない別の女のもので、演奏してる蓮も松田龍平の持つよそよそしい風貌のせいもあり遠い存在に感じる。
今でも愛おしく思っている記憶の中の蓮と、目の前にいる今の蓮の姿が乖離し過ぎていて、ナナが泣くのも納得の名シーンですよ。
松田龍平がナナと一緒にやっていた頃の曲と、ナナと別れたあとに組んだ新しいバンドの曲のイメージの違いはなかなかうまいもんで、映画にぴったりだし普通にいい曲でもあるっていうのがすごいわな。
というわけで全編に渡って楽しいシーンだらけなんだけど、ナナとハチのやりとりだけでもとっても素敵。
対象的な役柄で仲良くイチャつく2人には逆BLとも言える萌え要素が満載でしたな。
最後にはキスしちゃうし。

あとは、今は古着屋になってしまった吉祥寺のタワレコが出てきたのが懐かしかったり、蓮とナナが一緒にバスタブに浸かり、正面を向いてるナナの肩をくるっと回して背中を流してあげるというかつて付き合ってた頃の習慣が終盤で回収されたり、ちょこちょこと楽しいところがいっぱいあった。
ナナがヤスに電話越しに熱唱しちゃうシーンとか、おれの感覚で行けば電話先でああ盛り上がられても困るところだけど、スピーカー機能で優雅に聞いてくれているというヤスの器の大きさには笑っちまった。
この映画らしい空気感で良かったです。
かけた側だから電話代もヤス持ちだというのに。(ケチな目のつけどころ)
それと、ロックバンドに新メンバーに加入するときってまじで履歴書とか出すんでしょうか。
履歴書ってロックとかパンクのイメージからかけ離れてるからめっちゃシュールでした。
というわけで、もともとあんまり面白くなさそうだなぁなんて勘違いをしてずっと避けていたにも関わらずとっても良作でした。
松田龍平や平岡祐太だけじゃなくて、マツケンとか成宮くん、玉鉄なんかがちょこちょこ出てきて、しかもそれぞれがちゃんとハマってるっていうイケメンたちの魅力もある。
ただ注意が必要なのは、いわゆる傑作みたいなタイプの映画とは違って、あくまでもチープだけどなんだかんだめっちゃ楽しめるという作品ですので、間違った期待はしないほうが良いですな。