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晴れた日こそ映画を観る

24歳会社員による映画感想ブログ。出かけたと思ったら映画館というインドア派です。

NANA

2013年03月17日 01時43分41秒 | 映画(DVDで鑑賞)


※宮崎あおい祭りを開催中です! 詳細はこちら作品リストはこちら

中島美嘉が“ナナ”に扮して歌う「GLAMOROUS SKY」が普通に名曲で、それこそ社会現象になった作品なんだけど個人的にはこの作品は完全になめてた。
歌手を主演にしてみたりhydeに書かせた曲で宣伝してみたり、その曲を流行らせたりという売り出し方が上手過ぎるせいか、乗り遅れた流行りモノみたいに思えて観るのを避けてきたけど、やっぱり流行るだけのことはあってめちゃくちゃ面白かったです。
基本チープな雰囲気で気楽に見れるんだけど、なんだかんだで実はちゃんと面白い。

映画が始まるまで完全になめてた身としては、オープニングの演奏シーンからのナナとしての中島美嘉の歌声と見た目のしっくり感が予想を遥かに上回っていて、一気にワクワクムードに転換させられました。
かと思えばその打ち上げシーンやら、大雪の中めちゃくちゃ長いのにペラッペラに薄い全然暖かくなさそうなマフラーをカップル巻きするシーンなどは良い意味で非常にくだらないわけで、どうやら日常のシーンは意図的に気楽なタッチで撮られてるんでしょうか。
その点に関しては成宮くんの功績が大きくて、ガチイケメンのくせしてああいうおバカキャラが似合う役者でもあったのかと感心しました。

中島美嘉と宮崎あおいが出会ってから同居することになる経緯もサクサクいって楽しいし、しつこい説明があるわけではないのにヤス(丸山智己)やノブ(成宮寛貴)、レン(松田龍平)や章司(平岡祐太)といった脇役のキャラもちゃんと立ってるわけで、脚本がさりげなく素晴らしい。
それに、細かいところにサエコ、松山ケンイチ、玉鉄などがキャスティングされてて、どれもめちゃくちゃハマってるっていうところもグッド。
みんなほんとにピッタシだったけど、特にサエコの計算高くてあおいの彼氏を寝取る役の熱演はイメージまんまやないかいということで最高ですた。
サエコにひっかかる彼氏役の平岡祐太は、ドラマ「私が結婚できない理由」で大島優子と付き合う役だったときもそうだったけど、イケメン系クソ野郎をやらせたらなかなかのもんですな。

サエコ&平岡祐太によるチープな感じの浮気劇はコント風で、現行犯的にあおいの目の前で白々しく発覚するのだけど、「なに傍観してんだよ!テメェの喧嘩だろ!テメェで男を取り返せ!」と煽る中島美嘉に対して、
「いらない。もう顔も観たくない!」
と泣き出してしまう宮崎あおいの演技が急にとっても切実で、ここまで完全に半笑いで観てたはずなのにその緩急のせいでいきなりハチ(あおい)の気持ちに入り込まされてしまうのが秀逸だったなぁ。
ここにきてネームバリューでも見た目のポップさでもないあおいの演技力が発揮されてたのが良かった。

そしてもちろん、演奏シーンも最高。
蓮(松田龍平)の率いるバンド、トラネスの演奏シーンではただ単純に演奏を見せるんじゃなく、ナナ(中島美嘉)の気持ちで観させるのがうまい。
映像ではかつて一緒にバンド活動をしていた元彼である蓮との過去を回想しつつ、聴こえてくるいまの蓮の弾くギターに乗っている歌声は全然知らない別の女のもので、演奏してる蓮も松田龍平の持つよそよそしい風貌のせいもあり遠い存在に感じる。
今でも愛おしく思っている記憶の中の蓮と、目の前にいる今の蓮の姿が乖離し過ぎていて、ナナが泣くのも納得の名シーンですよ。

松田龍平がナナと一緒にやっていた頃の曲と、ナナと別れたあとに組んだ新しいバンドの曲のイメージの違いはなかなかうまいもんで、映画にぴったりだし普通にいい曲でもあるっていうのがすごいわな。

というわけで全編に渡って楽しいシーンだらけなんだけど、ナナとハチのやりとりだけでもとっても素敵。
対象的な役柄で仲良くイチャつく2人には逆BLとも言える萌え要素が満載でしたな。
最後にはキスしちゃうし。


あとは、今は古着屋になってしまった吉祥寺のタワレコが出てきたのが懐かしかったり、蓮とナナが一緒にバスタブに浸かり、正面を向いてるナナの肩をくるっと回して背中を流してあげるというかつて付き合ってた頃の習慣が終盤で回収されたり、ちょこちょこと楽しいところがいっぱいあった。

ナナがヤスに電話越しに熱唱しちゃうシーンとか、おれの感覚で行けば電話先でああ盛り上がられても困るところだけど、スピーカー機能で優雅に聞いてくれているというヤスの器の大きさには笑っちまった。
この映画らしい空気感で良かったです。
かけた側だから電話代もヤス持ちだというのに。(ケチな目のつけどころ)
それと、ロックバンドに新メンバーに加入するときってまじで履歴書とか出すんでしょうか。
履歴書ってロックとかパンクのイメージからかけ離れてるからめっちゃシュールでした。

というわけで、もともとあんまり面白くなさそうだなぁなんて勘違いをしてずっと避けていたにも関わらずとっても良作でした。
松田龍平や平岡祐太だけじゃなくて、マツケンとか成宮くん、玉鉄なんかがちょこちょこ出てきて、しかもそれぞれがちゃんとハマってるっていうイケメンたちの魅力もある。
ただ注意が必要なのは、いわゆる傑作みたいなタイプの映画とは違って、あくまでもチープだけどなんだかんだめっちゃ楽しめるという作品ですので、間違った期待はしないほうが良いですな。

あの、夏の日 - とんでろ じいちゃん-

2013年03月16日 21時53分22秒 | 映画(DVDで鑑賞)


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宮崎あおいにとっては映画出演デビュー作となる「あの、夏の日 -とんでろじいちゃん-」。
正直あおいの出番は超小盛りでしたが、一本の映画としては最高でした。

「時をかける少女」「転校生」などで有名な大林宣彦監督の新・尾道三部作の三本目にあたる今作。
尾道三部作といえば言わずと知れた名作で、ライムスター宇多丸がたびたび言及したり、会社の上司も大好きだったりと興味はあったんだけどなんだかんだ今作が大林宣彦監督作品で初めて観る映画になってしまった。
シンプルに、楽しー!!!!!と感じました。

ネットのレビューを見たところによると「いい作品だけど他の大林作品と比べると普通かなー(* ̄ー ̄*)フフン」みたいなのが多いんだけど、それを真に受けると他の大林作品は相当ヤバイっすね。
まぁ新・尾道三部作の最後の一本ということで、だいぶ後発感もあるので受け取り方の違いもあるのかもしれませんが。

この作品の持ち味としては、主演の男の子による「ぼくのあだなはぼけた。どうしてそんな風に呼ばれちゃうのかなぁー」みたいな能天気なナレーションがとっても心地良い。
それに、じいちゃんがボケている(?)のをいいことにタイムスリップできる設定が巧妙で、子供から楽しめる敷居の低さと、物思いに耽らずにはいられない深さが両立されている。
1999年公開の作品ということで冒頭に「20世紀を生きたおじいちゃんと、21世紀を生きるこどもたちに、この映画を捧げる」とテロップが出てきたけど、まさにその通りのみんなが楽しめる作品。

冒頭では、「ぼく」のあだ名やらクラスの紹介、一人称で自己紹介する感じから小学生の頃大好きだった矢玉四郎の「はれときどきぶた」の冒頭「ぼくの名前は畠山則安。三年三組。あだなは、十円やす。」を思い出させれて、勝手に懐かしくて楽しい気持ちになっちゃいましたよ。

“懐かしい気持ち”っていうのは不思議なもので、世代が違うはずのおれが観ても妙に懐かしさを感じさせられるのが面白い。
それに加えてこの映画は不思議で、変な映画だったら「意味わからんわ」って冷めてしまいそうなものばかり出てくるのにそれこそが味になっていて「楽しー!!」ってさせられるんですわ。

話としては、昔は厳格だったおじいちゃんがだんだんボケてるっぽくなり、タイムスリップができるようになり、孫の「ぼけた」がおじいちゃんの初恋の現場やら何十年たっても忘れられない苦い思い出を一緒に観に行き、当時のわだかまりを一緒に解決する!
というわけであらすじは明らかなSFなんだけど、実際見るとそうとも言い切れないような変なリアル感もあるのが独特。

実はおれも小学生時代の夏休みといえばおれも丸々茨城の田舎にあるおじいちゃんちで過ごしていたのだけど、そういう田舎で過ごす夏休みの懐かしさがそれ自体郷愁を誘うし、逆におじいちゃんの立場からしても孫と過ごす夏休みって尊いものだったんじゃないだろうか。
そういう小学生の頃の夏休みという設定だけですでに懐かしい感じがあり、普通の映画では踏み込まれるはずのないところまでずけずけと上がり込まれる部分もありますな。
孫と一緒に黒歴史を片付けるというのもとっても夢のある話。
というわけで「夏休みに観たい映画」として大傑作でしたぞ。

ちなみに、宮崎あおいの出番はかなり少なめだけどグーグルで「とんでろじいちゃん」とスペースを入れるとまず宮崎あおいが上がってくる。
というのも宮崎あおいが裸になるシーンがあり、何にも見えないとはいえ数年後あおいが人気になってからお宝映像みたいになっていたようで、画像検索でもあおいの裸シーンがまず引っかかるというこの世の中の変態っぷりには安心しますな。
結局何にも見えてないとはいえ、成人してもかたくなに露出をしないひとが14歳のデビュー作で裸になってたっていうのはちょっとびっくりじゃ。


わが母の記

2013年03月12日 19時49分09秒 | 映画(DVDで鑑賞)


先週末日本アカデミー賞で樹木希林が最優秀主演女優賞をとった昨年公開の映画「わが母の記」。
宮崎あおいも助演でノミネートしてましたね。

小説家・井上靖(役所広司)の母(樹木希林)と娘(宮崎あおい)の親子の話なんだけど、設定となっている時代のせいもあるのか「子は親をたてろ」という価値観が非常に強い。

樹木希林演じるおばあちゃんは、ぼけちゃって誰かに世話されないと生活できないのに理屈の通らないワガママを言うし、お世話になって感謝するどころかイジワルされてるみたいな感覚で悪態をつくというわけで、普通の神経してたら介護なんて務まりませんなというところ。
それなのに孫役の宮崎あおいを始め、みんなすごく一生懸命に介護するんだよなー。

「愛があるから奉仕がある、奉仕があるから愛がある」
というのは作品中繰り返し出てくるセリフで、日本人の価値観を表した言葉。
「ギブ&テイク」に似ているけど、お互いにプラスになることを善しとするアメリカ型の考えとは少し違って、日本人は賃借がゼロになる“無の状態”を美しいとするとのこと。

この映画でいう親と子の関係、ひいては介護の考え方もたぶんそうで、介護することで得をするわけではなく、自分を生む、または育ててくれた親の面倒をみることで借りを返してゼロにすることに価値があるんだろうなと思いました。

とはいえ、設定となっている時代がもうずいぶん古いせいもあり、理解はできても納得はできない部分もある。
この映画で描かれる最期というのはとっても多くの人を巻き込んだ大騒ぎになるわけで、自分が死んだあとの家族の負担を減らすため命ある限り終活に精を出すドキュメンタリー映画『エンディングノート』の砂田さんだとか、自分の葬式を自分でプロデュースした経済ジャーナリストの金子哲也のスマートな死に方に比べると、普通に死ぬことってずいぶん人に迷惑かけてしまうんだなぁと思ってしまう。

ということで、死んだあとに残る負債は自分でチャラにするのがトレンドになってきている現代に昔ながらの親子の形を突き付けてくる映画でした。
この映画ではおばあちゃんを助けることでより家族の繋がりができたり、子供の頃にはわからなかった親の気持ちを知ることになったりと感動できる部分もあるのだけど、当時とは価値観も変わったし、老人1人当たりを支える労働人口が当時に比べて激減しているわけで、この映画ほどおばあちゃん1人のためにみんなが自らを犠牲にすることは今は難しいでしょうなあ。
人によるけど。

「親を自分で介護せずに施設に入れるなんて現代の姥捨て山だ」なんて言うけど、入ることがうれしいと思える施設があればいいんでしょうな。
昔の人は「月が見えるところ」とかなるべく景色のいいところに捨てるくらいしかできなかったのに対して、施設で専門家に快適な生活をプロデュースしてもらえるようになったというのはやっぱり幸せなんじゃなかろうか。
たしかになんとなく寂しい感じはするけども。

というわけで、普段は考えることのないことを自然と考えさせられる結構マジメな映画でした。
とはいえ情報量の多いややこしい映画というわけでもなく、超好きって感じはしないけど普通に良い映画です。
20代も後半に差し掛かった宮崎あおいが中学生を演じるという見どころもあるでぇ。





ソラニン

2012年12月08日 01時59分50秒 | 映画(DVDで鑑賞)
リア充映画っぽさが強すぎて敬遠してたんですが、ついに観ちゃいました。
実際観てみると、非リアでも全然わかるし、素晴らしい青春映画でしたよ。

まず大学卒業して二年目という設定がズバリ僕にぴったりで、才能や特技があるわけでもなく、たいしてやりたいことすらないくせして
「このままやりたくもない仕事で一生終えていいの?」
なんてふと悩む感じ。あるあるですよ。

無限の可能性があった子ども時代からは卒業して、十分すぎるほど教育を受ける時間も与えられてから社会に出たけど、まだまだ自立した生き方ができるほど人間として成長しているわけでもなく、なんとなく手さぐりで生きてるこの感じ。。。
おれの場合はなんだかんだ恵まれた仕事に就けたし結婚もしたし、この映画みたいにくすぶる気持ちがあるわけではないんだけど、なぜか共感できずにはいられなかった。
「大人でもない、子供でもない」みたいな葛藤は思春期の高校生がするものってイメージが強いけど、こっちの世代でそれをリアルに描いたところが偉いよなあ。

終わり方も素晴らしくて、河原を歩きながら
「この景色もいつかは変わってしまうけど、その最後の時をみんなで観られればいいかなと思う。今は。
と、探り探り自分なりに納得できるところを見つけていこうとする姿勢に共感しました。

「自分はこう生きるんだ!」っていう強い志のある人は羨ましいしカッコイイとも思うけど、生きてるうちに状況は変わるし絶対的な理想なんて決められないんだから、その時その時に自分の思うことをきちんと実現させることが一番大切だなとしみじみ感じました。

このように全体が良かったことに加えて細かい点を見ても、「麒麟」っぽいパッケージの缶ビールに「鳳凰」て書いてあったのには爆笑だったし、ラッキーストライクっぽいけどちょっと違う感じのTシャツを着てたり、クレヨンしんちゃんの「トイざんす」やら「サトーココノカドー」みたいで面白かったな。

あとはやっぱり宮崎あおいが素敵過ぎる。
つまんない映画にもたっっくさん出てるから「この人が出てれば!」っていう信頼感はないけど、役がハマった時のスパーク感は随一。
全編に渡って素晴らし過ぎるからこそ、最初の方にタバコを吸うシーンがやっぱり気になっちまった。
おそるおそる火をつけて、ほとんど吸いこんでないんだもの!
もっとふてぶてしく「あ~あ、やってらんねーねー」って顔でプッカプッカやってくれてればそのあとの禁煙するシーンもそのあとまた吸い始めちゃうシーンももっと活きてくるのに!!

とにかくこの映画にはボロボロ泣かされましたよ。

劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ

2012年11月23日 02時02分07秒 | 映画(DVDで鑑賞)


SRサイタマノラッパーの入江悠監督×ヒミズの二階堂ふみ主演ってことでワックワクしながらDVDで観ました。
感動してめちゃくちゃ泣きました!!

“泣ける映画”と一口に言っても、どういう気持ちで泣くかは映画によって千差万別ですよね。
その中で個人的に思うのは、今なんで泣いてるのか自分でよくわからないタイプの作品てほんとにスゲー。
この映画もまさにそのタイプの映画で、何ひとつ問題を解決したわけでもなければ誰かが死んだわけでもなく、一見感動的なことは特に起きていないのになぜかボロンボロンと涙がこぼれてくる。
脳って意識的に働かせられるのは1割で残りの9割は無意識だと聞きますが、いわばその脳の9割側がガン泣きしてる感じなんですよ。

映画の構成はというと、序盤は、プロの将棋指しを目指す高校生・二階堂ふみ、夜の仕事で生計を立てるシングルマザー、ニコ生中毒の幼稚園児、そしてバンドのマネージャーといった人たちがそれぞれの形で抑圧され、やりきれない状況にいる群像劇スタイル。
みんなの共通点としては「神聖かまってちゃん」というバンドの同じ日に行われるライブに参加する予定っぽいってことだったけど、中盤以降紆余曲折を経ていけなくなってしまう。そして…。てな感じのもの。

その中でも、二階堂ふみ演じるプロ棋士の卵・美知子編が良かったなあ。
最も仲の良かったはずの友達に彼氏をとられ、一刻も早く涙で枕を濡らそうと家に帰ってきたのに「進路の話だけど大学行かないなんて許さん!」と突入してくるお父さんのデリカシーない感じがうざくてうざくて。
「入ってこないでよ!!!」と泣きながら反発する二階堂ふみに対する父の「ここはおれの家だ」発言は、ドキっとするほど私もよく言われた言葉です。
ついでに「1人で大きくなったと思うなよ!」もよく言われた。

とにかくこの“居場所のない感”は他の登場人物でも共通して描かれてて、胸に鋭く突き刺さるところなんですよね。
幼稚園児はこの歳にしてネット中毒なのにPC持ってきたら退園の令が発令されるし、シングルマザーは稼がなきゃいけないのに「年増ババアはいらねえんだよ!」的なことを暗に言われるし、こっちだって居心地悪ぃんだよ!でも他に行くとこなんかねえんだよ!ていうどこにもぶつけようのない黒い気持ちが沸々と沸き上がってしまう。

そんなモヤモヤしたところでクライマックスとして用意されているのが、かまってちゃんのライブ映像なんですな。
いくら満を持した感じで始まったって普通なら「知らないバンドの知らない曲で誰がいきなり感動しますかい┐(´ー`)┌ マイッタネ. ヤレヤレ」ってなりそうなものなのに、自分でも理解できないほどの巨大なカタルシスに飲み込まれてとにかくたくさんの涙を流してしまいました。
感じたまま率直に言えば、まさに抑圧から一気に解放されたようで、細かい理屈は抜きにしてとにかく気持ちよかったです。


懐かしの人気漫画でいうとこんな気持ち。

無関係っぽく散りばめられたエピソードがライブ映像ひとつでこれほど綺麗にまとまるなんて、映画史上に残る偉業だと思う。

ウルトラミラクルラブストーリー

2012年08月29日 23時53分00秒 | 映画(DVDで鑑賞)
松山ケンイチは大好き!だけど結構ハズレも多くて怖い!
ということでなんとなく敬遠してたんだけど、やっぱりずっと気にはなっていた「ウルトラミラクルラブストーリー」を思い切って観てみた。
とんでもない傑作だった。

全編青森の方言だし知恵遅れっぽい青年の役だから滑舌もはっきりしなくて、マツケンのしゃべってることは半分くらいしか聞き取れないのに、その会話の言いぐさひとつひとつががめちゃくちゃ楽しい。
また、役柄的にマツケンの言動はただでさえ常識離れしてる上にお話や演出もぶっ飛んでいて、とてもついていけないはずなのにめちゃくちゃ楽しい。
つまり、言ってることは全然聞き取れなし話もイミフなのになぜだか全編めちゃくちゃ楽しいウルトラミラクルな映画なのである。

特に麻生久美子演じる町子先生の元彼「かなめ」に幻覚で会うところは紛れもない名シーンだった。
事故で死んで首が見つかってないはずのかなめが下半身からフェードインしてくるところからなぜか靴をくれるところまでの1~2分間はまさに異次元の体験をさせてもらったというか、とりあえず抱腹絶倒でした。

この辺になってくるとぶっ飛び度合いの加速が良い意味でほんとにひどい。
ラストシーンに至っては、町子先生と幼稚園児がマツケンの死体から取り出した脳みその瓶詰でハンカチ落し的な遊びをするというオカルトシーンがほのぼのと繰り広げられ、最後には瓶から脳みそを取り出して熊に投げつけるんだからもう全くワケわかりませんよ ┐(´ー`)┌ ヤレヤレマイッタネ

普通の人とはちょっとずれた微妙に場違いなハイテンションを演じるのが本当に上手で、改めてマツケンは素晴らしいなあと惚れ直しました。
障害がある役にしては映画のキャラとしては「ちょっと変なやつなのかな?」ってぐらいで、彼がおかしいというよりは演出とか全体に漂う雰囲気が変わっているなあという印象。
いわゆる「障害者モノ」みたいなおれの苦手な部類の映画では全然なくて、能天気でハイテンションな田舎者が騒ぐちょっとズレた雰囲気が最高に楽しい映画だった。

アドベンチャーランドへようこそ(注目の若手特集)

2012年04月28日 02時24分20秒 | 映画(DVDで鑑賞)
注目の若手特集の目玉ジェシー・アイゼンバーグの「アドベンチャーランドへようこそ」を鑑賞。

ジャーナリストになるという夢のある青年が親の金欠により進学が困難になってバイトを始め、童貞のくせにモテまくるという腹立だしい話。
もっとがっつりコメディかなと思ったけどどちらかというと青春ドラマで、いわば安っぽいアドベンチャーランド的な一夏の恋みたいな映画。
青春時代っていうのはトップガンのトムクルーズみたいなイケイケな男たちだけが謳歌するものではなくて、ぱっとしない地味な男にもほそぼそと訪れるもの。

メガネの廃人ジョエルが素敵だったな。
「クリスチャンとセクロスしたけどフラれたったwwwww」とかスレ立ててそうなオタク感がモダン。

てなわけでかなり笑えたし楽しかったんだけど、印象に残るシーンの少ない映画かもな。
パーティで好きな女子のエムと一緒にプールに入って勃起するシーンと、キンタマを殴られるシーン、それとエムの愛人であるコンネルにアトラクションを整備してもらいながら他の女とデートに行くようけしかけられるシーンなんかもバイト仲間社会の雰囲気が出てる感じがしてなんか好きなんだけど、ありがちな感じもする。

宇宙人ポールではクリスチャンで真面目だった女が宇宙人を目の前にした瞬間信仰を辞めてめちゃくちゃ下品になるってのがあったんだが、クレッグモットーラ監督つながりの2本はそういうちょっとした面白さはあるにしても全体的に見た時の何かが物足りない気がする。
てか下ネタばっかじゃねえか!

小悪魔はなぜモテる?!(注目の若手特集)

2012年04月27日 23時45分49秒 | 映画(DVDで鑑賞)
注目の若手特集ということで、エマ・ストーン主演の「小悪魔はなぜモテる?!」を鑑賞。
ゾンビランドでは童貞ゴコロをくすぐる悪女の役だったけど、今度は逆にバージンの役。
「目立たなくて冴えないアタシだったけどビッチって噂が流れたら人生変わったわ」
っていう話をユーチューブかニコ生みたいなネット配信で自分語りしてるって設定が先週何本か見た若い頃のトムクルーズ時代の映画からしたらありえなくて、最近の映画を観てるなーっていう気分ですごく楽しかった。

あらすじはとってもきれいな起承転結になってて、何も考えず気楽に見られるわかりやすさがゆとりにはうれしい。
ちなみにこんな感じ。
起:ほんとはピュアなのにビッチのフリをしたら
承:ゲイや童貞の偽装プレイボーイの手助けをすることになってしまい
転:アバズレだと罵られたけど
結:ホントの自分を見てくれているひとはいる

ビッチの噂でみんなからの注目を集めるとその注目を心地よく感じてしまい、どんどん服装やら言動をビッチっぽくしてビッチを演じるようになってしまう。
「演技をしているんだ~♪あなただってきっとそうさ~♪」
なんて曲で一世を風靡した歌手がその昔いましたが、この映画に出てくるデブの童貞は自分でそう振る舞ってるからデブな童貞だったけども、プレイボーイを振る舞えば案外プレイボーイにもなれてしまう。
一流アスリートもここぞってときには「俺は持ってる!」って自己暗示をして実際にミラクルを起こしてミンティアのCMに選ばれたりするわけで、自分の姿っていうのは案外選んで演技してる姿なのかもしれないなあ。
かなり映画の趣旨とそれた。
演じてるうちにほんとにそうなってしまうことももちろんあるだろうけど本作はちょっと違って、ピュアで一途な子がビッチを演じても結局根っこから変わることはできないし、見る人が見ればお見通しよっていう話でした。

最終的には幼い頃から好きだった男の子はずっと実は自分と両想いだったとわかり、自分語りのネット配信中に彼に呼ばれて「まさに今からホントにバージンを失うかも、ウフフ」って出かけて行ってしまうゆるいハッピーエンドが素敵。

ほんとはピュアなエマ・ストーンに対してお母さんはリアルビッチでゲイとも付き合ったことがあるというツワモノなのだが、そのゲイとは実はお父さんでダンディなお父さんは元ゲイだったのである!
ゲイを惚れさせてゲイではなくしてしまったほどかつてのお母さんは魅力的だったのである!
っていうのがお母さんの口から明らかになっていくのだが、聞きたくわ!って感じがおもろい。
ブリジットジョーンズの日記でお母さんが通販のおっさんと愛人になり夜の激しさをわざわざ電話で伝えてくるやつに似てるな。

話の面白さに加えて全編下ネタだから笑わされるし、下品なのになぜかさわやかで楽しくて、これまで観た映画の中でもトップクラスに好きな映画でした。

メリーに首ったけ

2012年02月24日 23時31分17秒 | 映画(DVDで鑑賞)
英題 〝There Is Something About Mary"
監督 ボビー・ファレリー ピーター・ファレリー
脚本 エド・デクター ジョン・J・ストラウス ボビー・ファレリー ピーター・ファレリー
製作 フランク・ビドア マイケル・スタインバーグ チャールズ・ビー・ウェスラー ブラッドレイ・トーマス
製作総指揮 ボビー・ファレリー ピーター・ファレリー
出演者 キャメロン・ディアス ベン・スティラー マット・ディロン リー・エヴァンス クリス・エリオット ジェフリー・タンバー
公開 1998年7月 1999年1月 上映時間119


ラブコメ映画を探すと必ず名前が出てくる映画で、ブリジットジョーンズの日記と同じ匂いがしたのでDVDで鑑賞。
めちゃくちゃ愉快だった。

簡単に言ってしまえばモッテモテのメリーがキモい男たちに付きまとわれる話で、登場人物を紹介すると、
①学生時代好きだったメリーを忘れられず探偵を雇って調べてみちゃうストーカー男の主人公
②その主人公に雇われメリーのことを調べていくうちにメリーを好きになってしまう探偵
③メリーとうまいこと仲良くなっていくその探偵は怪しいと指摘するメリーの親友で、障害者の建築家。こいつも実はメリーのことが好きで、テキトー言って他のヤツとくっつかせないようにしてる一番のクズ。ほんとは建築家ではないし障害者でもないというマジキチ。ほんとはピザボーイ。最高の脇役。

ということで、超美人で職業は医者で誰に対してもとっても優しいメリーを巡りクズどもが集結するというとんでもない設定。

キモメンが寄ってたかって美女を争うというだけで面白いんだが、細かいギャグもまた結構面白い。
焦ってチャックを絞めてチンコはさむシーンで、とても見せられるもんじゃないから映んないんだろうと思ってたら結局最後に映り実はチンコというよりキンタマだったという恐ろしいオチが用意されてるところとか、メリーに会う前に一発抜いとくかってことでオナヌーしたところ精子がどっかいっちゃって、メリーが整髪料と間違って自分の前髪に塗りたくってしまうところとか、下ネタの応酬に笑いのダムが決壊した。

設定もふざけてるし、ギャグも下ネタばっかりなのに、キモメン達が本気だからなんとなくおかしなことをやっちゃうのもわかるかもな…って作品の空気に引きずり込まれるのが魅力。
登場人物は結構大人なのに童貞映画的な笑いのセンスだから体は大人・頭脳は童貞の男子諸君にはたまらん作りなんだと思う。
かなり男子向けに作られたラブコメって感じがする。

ソーシャルネットワーク

2012年02月19日 19時11分08秒 | 映画(DVDで鑑賞)
監督 デヴィッド・フィンチャー 脚本 アーロン・ソーキン
原作 ベン・メズリック『facebook 世界最大のSNSでビル・ゲイツに迫る男』
製作 スコット・ルーディン マイケル・デ・ルカ シーアン・チャフィン デイナ・ブルネッティ
製作総指揮 ケヴィン・スペイシー アーロン・ソーキン
出演者 ジェシー・アイゼンバーグ アンドリュー・ガーフィールド ジャスティン・ティンバーレイク ブレンダ・ソング
音楽 トレント・レズナー アッティカス・ロス
撮影 ジェフ・クローネンウェス 編集 カーク・バクスター アンガス・ウォール
製作会社 レラティビティ・メディア トリガー・ストリート・プロダクション
公開 アメリカ2010年9月24日(第48回ニューヨーク映画祭) アメリカ・カナダ 2010年10月1日
日本 2010年10月23日(第23回東京国際映画祭) 全国 2011年1月15日
上映時間 121分


フェイスブック創始者の野望と孤独。

「ゾンビランド」「ピザボーイ」でジェシーアイゼンバーグは好きだったし、作品としても超面白そうなのに未見だったのでいまさらながら鑑賞。
いまさらながらかなり感動した。

自分を振った彼女のひどい悪口をブログに書き込み傷つけて、フェイスブックのアイディアを提案した金持ち兄弟を裏切り訴訟問題にまで発展し、設立からずっと一緒にやってきたパートナーであり親友のエドワルドも裏切りこちらも訴訟に発展するとんでもないやつとして描かれるフェイスブックの社長マーク・ザッカーバーグの話。
やることなすことが総じて性格が悪く、そもそも普段から態度は横柄で外見の印象も悪いというひどい描かれようだけど怒られないんだろうか。

Facebookが大きくなり仕事がうまくいくのに反比例して人間関係は悪くなり、孤独になっていくという構図。
ラストシーンは、フェイスブックの豪華なオフィスビルで独りパソコンをいじり、冒頭で振られた元カノにFacebookの友達申請を送る。
そしてその返事を待ち更新ボタンをカチカチと押し続けるっていうものなんだが、これが孤独と成功の入り混じった複雑な気持ちを表現する素晴らしい終わり方だと思う。

振られてチキショーってなりフェイスブックに打ち込み始めたオープニングから考えると、自分が作ったそのフェイスブックにあの彼女も登録してるし、革命的な成功者として立派なオフィスを構えているっていうハッピーエンド的な面があるけど、一方では親友も恋人も失ってすっかり嫌な奴になってしまい、更新ボタンをカチカチする音が妙に切なさを感じさせる面もあるわけで、何とも複雑な気持ちになる。
最年少の億万長者で世界中にその名を知らしめる革命児は、その成功のために多くのひとを裏切り、孤独になったというまとめをうまーく表現してる。

切ない感じのラストだからといって「人を蹴落としてまで成功しても虚しいよねー」っていうふうには思えなくて、マークは多くの代償を払ったことも確かだけど価値のある大成功を収めていることもまた確か。
「世界を敵に回してもキミを守るよ」っていうキザなセリフがあるけど、フェイスブックの成功はマークにとって何を失っても手に入れたいものだったわけで、それを見事に手に入れたハッピーエンドでもあるわけだ。

結構多くの人もそうかもしれないけど、人を裏切り、好きな女の子と一緒にはいられないけど、得意分野で革命を起こして億万長者になるようなマークに比べて、自分の生き方は真逆だなあと感じる。
人付き合いでは衝突のないように当たり障りのないことを言ってしまったりするし、それなりに興味のある分野ではあるけどチャレンジ性よりも安定重視の仕事をして、好きな人とは婚約していて、自分ではすごくうまくいってるし幸せだと感じるけど、その一方で子供の頃からたいした夢もなく何かを成し遂げた経験もなく、これからも何の功績も残すことなく生きていくんだろうなと思うとマークみたいな偉業を達成するような生き方について考えさせられてしまう。

印象に残ったシーンとしては、「あなたは最悪な人間じゃないけど、そう見える生き方をしてる。」って弁護士の女に言われるところ。
フェイスブックにのめり込み過ぎて周囲のひとに悪い想いをさせているけど、それは単に一番大切なものを選んだ結果の行動であるから悪い人じゃないわってことなのか、弁護士らしい回りくどい言い方で正直あんた最悪なヤツにしか見えないわって伝えているのかよくわからないけど、結果的にはひどく人を傷つけて裏切って独り勝ちしようとしているわけだからこの映画で描かれているマークは少なくとも“最悪な人間”の面はあると思うな。

そういうマークの強烈さ以外でも、会話とか展開のテンポが良くてまったく飽きることのない面白さのある作品だし、情報量が多いようで大筋の話はシンプルで見やすいし、何だか自分の生き様について考えさせられるような重みもあるということで文句のつけどころのない傑作だった。