Telemark Zombi

週末テレマーカー。趣味はテレマークスキーでのバックカントリー。
2012年からは休山宣言、家族の野遊び模索中。

本「雪山の基本」 と雪崩体験

2010-09-27 22:15:38 | book

本「雪山の基本」 中山建生・著

前著「雪山に入る101のこつ」の改訂。ちなみに私の教科書。


さて話しは変わります。
当時、ブログに書いていたのですが閉鎖・破棄しており、再掲載し
画像を前回よりも多く使用しました。

雪の便りも届き始め浮かれ気分が先行、自戒の意味も込めて。



雪崩に遭いました。


時は2006年3月、テレマークスキーの3人パーティーで美瑛岳へ、
ピークハントではなく1400m辺りまで開拓を兼ねた山行、開拓って
いうのは滑るポイント探しです。

当時のメモ「気温 -1~7℃ 晴れ間~曇り~小雪(里は雨)」
     「今日は天候が崩れる午後~夜は雨の予報」
 


AM 7:20 スタート、白金温泉から道路の最終除雪地点に駐車。
     林道歩き~オヤウシナイ川の左岸の尾根を上がっていく。

AM 9:36 1031地点 雪がのっているオープンバーン、雪は重い。

画像は戻った後です。



画像、右側(南)からの強風が雲の動きで判ります。

AM 9:50 1段目の上の台地に上がる。強風 時折 突風。
     ※気象庁の過去資料から温度上昇など記録が見る事ができます。
     


赤い線がトラックです。右手の円弧状のループの上側が上り、下側が下りです。


AM 10:20 雪崩発生
     遭遇地点、標高1201.8 緯度・経度43.271568, 142.411079
     停止地点、標高1182.1 緯度・経度43.271602, 142.411120



停止地点付近


破断面


デブリ、周囲


デブリ、上方向


デブリ、上方向(西向き)、黒い点(人)は殿のanjiさん


デブリ、沢の下方向


デブリ、上方向、eastendさん、その上部まで破断面、転倒し押し
動かされた。


破断面


破断面


デブリ


デブリ、人物比較


デブリ、ストック比較、70~80センチ


デブリ、下方向


デブリ、下方向、緩斜面なのがよく判る


デブリ、ストック比較


デブリ、破断面


デブリ、破断面


デブリ、沢の下方向

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当時の記事
10:20 雪崩れ発生
トラバース中のマスターが転んだのかな!?  
(後ほどの振り返りで、表層で流されズレ初めていた模様)
と見ていたら、マスターの5mほど上部から『バリッバリッ』っと聞こえ、
その音が連続し瞬く間に私の上部4~5mまで走った瞬間に振り返った! 
次は『ドンッ! ガ~!』破断面が現れた。 
ブロック表層雪崩れ発生、足元も一瞬でブロックになり割れていく、
『これか~ とうとう やっちまった~』と浮かび、『転倒してなるか~』と
頑張ったがブロックの間に落ちて転倒『やばい』、空を見てうまいこと体制を
立て直せて、ブロックに体を乗り上げたところで止まった。
『助かった~、真上は全部落ちきったようだ』マスターに声をかけ、お互いの
無事を確認、尾根上のanjiさんを静止し安全確認を行う。
下からはanjiさんの帽子は見えたが、向こうからは状況が見えておらず、無線
交信の有効性を痛感した。 現場の簡単な検証をし復帰。
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当時の記事
私がいた標高 1202m→1181m 落差は21mで緩やかになっている斜面なので
ブロックも大きいまま加速せずに止まってくれたので命拾いをした。
      
破断面50m 落ちた長さ20m デブリ末端までプラス10m~20m
ブロックは大小あるが、冷蔵庫・洗濯機なみの大きさがゴロゴロ、ストックで
計ったら高さ120cm×150×100のような大きさだ。挟まっていたら骨折くらいは
してだろう。
ブロックをピットテストしたところ、40cm・80cmに弱層はあるが安定している。  
ブロックの滑り面をルーペ観察したところ、こしもざらめ・四角い風成雪?それ
が数cm滑り面の下は固いので顕著な弱層として数週間(3週はあるだろう)温存
されていた所に入り込みトリガーになったのだろう。
深い弱層なので通常のピットテストでは、発見はできなかっただろう、しかし     
この2週間は暖気も入り込んでおり、今日も気温が上昇することを踏まえ、樹
林帯を選び雪崩にも注意していたのだが、結果的に当事者となってしまった。
リスクの高い状況下での行動、それ自体の選択可否についても反省している。
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当時を振り返って

面発生乾雪表層雪崩になるのだと思います。

南向きの強風で一晩で出来た風成雪だと推測、若しくは埋もれていた弱層の上、
更に上載した、あるいは気温上昇が関係したのかもしれない。

地形図から、南風だと風下・風裏になる、斜面変化にもなるし教科書通りのポイント。
今なら判るのですが、それでもこんなところで?とも思う、しかし雪崩のトリガーは
人間、ルートの問題や、このような状況下で行動する事自体の総合的な判断が必要
であった。

バックカントリーへの熱も高かったし、悪天候の経験もしてきたし、多少やばい目
にもあってきたりして過信もあったのも認めます。勿論、私自身なりにですけれど。

とにかく、滑っている場面や、ハイク時の斜度が立っている尾根や稜線からの崩落
でもない、ハイク中もったくさ歩いている時に起きた事が想定外でショックだった。

こんなところで? しかしこの経験の後では十分に考慮できる。



所感的に

三段階の音の記憶がある。
第一に乾燥した音だけ響く「バリ!バリ!バリ!バリ!バリ!バリ!」、第二は
いっせいに網の目に割れた時の「ドーン」、「ダォーン!」が近いかな、落ちて
いく時の「ゴォォー!」が第三、埋没したらこの先がある、とても怖い。

2004年に雪崩の講習会で埋没体験しました。埋められて軽く踏み固めた位で体が
全く動かなくなった、それを頭と体が覚えていてた。この体験が思い切り役立ってい
ます。あと何百、何千回とテレマークスキーで転んできてリカバリーが出来たかな。


二日間は眠る事が出来なかった、しばらく悪夢になった、連れや家族には話せる内容
でもなく続ける事にも悩んだ日々があった、メンタルの弱さも痛感した。

大した規模ではなかったけれど、人間一人に対しては十分過ぎる大きさ、そんな事も
自然の中で体感した事。


あれからもバックカントリーを続けている、えらくのんびりと、たまにはびびりつつも。
今シーズンも待ち遠しい。


20060311美瑛岳・撤退    
安全に繋がりますように    Tsuxu























   
   



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3 Comments

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Unknown (anji)
2010-09-30 03:32:52
もう4年もたっているんだぁ、時間が流れるのが早いです

いろんな意味で衝撃的な出来事でしたねぇ

今のつぅさんは悪い状況下でも冷静に判断ができているし
積極的に意思の疎通を図ろうしているのも感じ取れます
確実にこの一件は糧になっているのでしょう

それにしても.......やっと報告があがりましたねぇww
返信する
Unknown (EastEnd)
2010-09-30 15:00:21
あれは良い経験でしたね~
でも根が楽天的なせいかトラウマにはぜんぜんなりませんでした。
失敗したって気はあるけど、へぇ、本物の雪崩ってこうなんだぁって感心しちゃってました。生きてるから言えるんだけど。

雪洞掘るにはもってこいの吹き溜まり斜面末端で誘発するなんて意外でした。
自分はtsuxuさんと違って、かなりの日数かけて堆積したものだと思うんですが。
だから表層雪崩とはいっても全層雪崩に近い性格(古い層を含んだ厚く硬いスラブが雪崩れるという意味で)を持ったタイプだと感じてます。

このタイプのは知られている割にはスラフ(新雪が主のもの)と分類があまり明確にされてないですよね。雪崩リスク判断の際にはけっこう重要度高い気もするんですが…どんなもんなんでしょうね。『リスクマネジメント…』とかシーズン前に目を通して見ようと思います。
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そろいまいた ^^ (tsuxu)
2010-10-02 20:15:50
毎年、再度アップしたいと考えていたのですが、時がたってしまいました。
根はアンポンタンです。
そうだね~ 走馬灯も現れなかったし、ほんとに死ぬかも!と思ったのは他の時でした。
やはりのんびりがいいですね。

マスターが言う通りなのかもしれません。
こう説明べたなもので、再度。
古い弱層(滑り面)はあった、そして新たな上載積雪があった、粉雪なら問題なかったのでないかな。
加えて斜面変化が曲者であったんだろうと、気温も上がって結合が弱まったか、単に耐えられなくなったかなと。

トラウマはブロックの間に落ちたときに、周りを見たら壁になっていて、一緒に落ちていっていて、けっこう緊張したのですよ!
「まじか~」ってアドレナリン湧き出したのでしょう。その時は恐怖感が無く忙しかった感じですが、根がびびりですから  ^^v
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