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雑記-白堂別館-

雑記なう
無職止めました。
出来ることからやってみよう

第二節

2010-04-13 12:28:58 | Dear to me
翌朝、朝刊の記事を読んだ香奈穂は昨日の出来事が悪い夢で無かったことにもう一度ショックを受けた。
沈んだ気持ちで学校へ行くと、やはりと言うか雄二君は来ていなかった。
代わりに教室の中では一つの話題で大きく盛り上がっていた。
話題の中心は言うまでもなく、香奈穂はなるべく話しの中身を耳に入れたくないと、そっと席に着いた所で運悪く友達に捕まってしまった。
それでも頑張って話しをはぐらかそうとしてみるけれど、どうしたっていやでも入ってくる。
聞こえてきたその内容に香奈穂は自分の耳を疑った。

『雄二君のお父さん、同じの消防士の人が起こした放火に巻き込まれたんだって』

(えっ!)

思わず反応してしまった。その反応に友達は気を良くしたのか、更に話し続けた。

火事が起こった日、その同僚だった人はお酒を大量に呑んで泥酔していた(後で幾つか証言があった)。
消防士であるはずのその人は何を思ったのか、他人の家に火を放った。(その後いなくなって未だに発見されていないらしい)
そして火事の消火活動中、崩れてきた建物に運悪く巻き込まれて雄二君のお父さんは帰らぬ人になってしまった。
三文小説に出てきそうなありきたりな話・・・だけど雄二君にとってはそれで済まされない。
雄二の事が心配で気になる香奈穂だったが、ただのクラスメートである自分に出来る事があるわけでもなく、一日は空しく過ぎていった。

第一節

2010-04-09 02:30:20 | Dear to me
ここはとある中学校。そこに通う香奈穂は大人しい性格で成績は平均より少し上。
保健委員をしていて、いわゆるどこにでもいる普通の女の子だ。
そんな香奈穂には気になっている人がいた。
その人の名前は雄二。同じクラスの男の子。
雄二はクラス一の人気者と言うほどではないけれど、その明るい性格から周りから好かれている。
雄二の父親は消防士で、いつか自分も父親のような消防士になると口癖のように夢を語っていた。
香奈穂は純粋な目で嬉しそうに話している雄二を見ているのが好きだった。


ある日午後の授業を受けていると、先生が教室にやって来て雄二君を呼び出した。
一緒に教室を出ていくと、そのまま雄二君は戻って来なかった。

いつも通り部活を終えて家路に着いた香奈穂は、両親がいつもと違うトーンで話しているのが聞こえた。


『雄二君のお父さんが亡くなった・・・』


それが聞き間違いである事を期待しながら香奈穂は両親の下に駆け込んだ。
両親は、まだ詳しく聞いた訳じゃないと前置きをして話してくれた。
雄二君のお父さんは人が亡くなるくらいの大きな火事の消火をしていた。
その最中、崩れた建物に巻き込まれてしまい、そのまま雄二君のお父さんは帰らぬ人にしまった。


その夜、両親から聞いたショッキングな内容に、香奈穂は中々眠ることが出来なかった。