現行の中国製AC30はスペック表によれば32kgだが、僕のはだいぶ古い英国製で、体感的にはもっとずっと重い。リッケンバッカーと相性のいいアンプは少ないため、以前は大変な思いをして――あるいは周囲にさせて、会場まで運んでいた。
ラヂデパが今の編成でライヴ活動を始めた際、さすがに往時の体力は残っていないと判断して(それにAC30の壊れやすさにも辟易していた。買った時の回路なんか残ってないんじゃないかというくらい何度も修理に出している)購入するに至ったのが、カナダはTraynorのYCV40WRJという、憶えにくい品番のアンプだ。WRというのは外張りのヴィニルクロスがワインレッドだからと想像がつくが、YCVってなんだ? Jもわからん。
正面から見た大きさはAC30並みだが、面白いほど奥行がない。スペック上の重量は21kg。音色は、ヴォクスを明るくしてフェンダーに寄せたような感じ。
トレイナーという会社にはなんの予備知識もなく、ただアンプに埋め尽くされた倉庫のような店で片っ端から試奏をし、AC30に似ていると感じた物を買った。
YCV40WRJ(長いな)は優れたアンプで、重宝してきた。ただ、僕はアンプをメイン管で歪ませる。音量調整があまり利かないということだ。最近のライヴハウスは音響がずいぶん改善され、昔のように「交差点かここは」といった状況ではなくなっている。ステージ上は吸音構造によってしーんとしており、40Wもあるアンプのツマミを8や9まで上げたら、ステージ上も客席もギターの音だけになってしまう。
YCV40WRJは下取りに出し、20Wの機種YCV20WRJに買い換えようと思いついた。音を出したことはなかったが、楽器店に訊いても代理店に問い合わせても、単純に40Wの奴の縮小版です、音の傾向は似たようなものです、と云う。重量も16kg。
云うことなしじゃないか――と思っていた。YCV40WRJは楽器店に送った。
ちょうど入荷したという。買う気満々、明日のライヴで使う気満々で楽器店に出向いた。
ところが、まるで違うのだ。どのツマミをどういじっても、自分の音――ラヂデパの音が出ない。焦って冷汗をかいた。
なぜこういう現象が起きるのかといったら、要するに、あるアンプの単純な拡大版や縮小版など物理的に存在し得ないからなのだが、それにしても品番が同系列だったら、少なくとも同じバンドで使えるだろうと思うじゃないか。
ギターアンプから出る音色は基本的に二種類ある。澄んだ音と歪んだ音。僕は歪んだ音用のチャンネルは使わず、澄んだ音用の回路を無理やり歪ませるという、古典的な方式で音を作ってきた。A回路でaの音、B回路でbの音ではなく、A回路でbに近い音を出してきたわけで、これをメイカーは自社の音色だと感じていないということなんだろう。
YCV40WRJはもう手許に無い。ライヴはどうする? 返してもらうか?
ほかにこのサイズの、ヴォクスに近いアンプは無いのかと問うと、他でもない同社のAC15を指差された。中国製なので実に安い。六万円くらいの差額を覚悟していたところ、一万円程度で済んでしまう。
見た目は昔のヴォクスよりずっと安っぽい。しかし鳴らすと、たしかにヴォクスの音――ラヂデパの音がする。機能も的確で、なんだか悔しいのだが良いアンプだった。前述の「絞り込み」が上手く出来ているとしか云いようがない。ただしスペック上の重量は21kg強。40Wのトレイナーより微妙に重い。
なんのための下取りだったのか、自分でもよくわからなくなってしまい、一切を保留にして店を出た。バーンズ・スティアへのブースター搭載が上手くいき、音色をずいぶん手許で変えられるようになっているので、明日はライヴハウスのアンプでも大丈夫だろう。
僕は二十四のとき中国製AC15七台ぶんくらいのお金を払ってAC30を買い、のちの修理でも三台ぶんは注ぎ込んでいる。にもかかわらず公言するけれど、目をつぶって聴いたら、まずどっちだかわからんよ。
それから、もし池袋のファッションビル内にある有名楽器店にYCV40WRJの中古が出ていたら、それは僕が使っていた物です。そのサイズのアンプを求めている人にはお買得だと思う。綺麗にオーヴァホール済みです。
ラヂデパが今の編成でライヴ活動を始めた際、さすがに往時の体力は残っていないと判断して(それにAC30の壊れやすさにも辟易していた。買った時の回路なんか残ってないんじゃないかというくらい何度も修理に出している)購入するに至ったのが、カナダはTraynorのYCV40WRJという、憶えにくい品番のアンプだ。WRというのは外張りのヴィニルクロスがワインレッドだからと想像がつくが、YCVってなんだ? Jもわからん。
正面から見た大きさはAC30並みだが、面白いほど奥行がない。スペック上の重量は21kg。音色は、ヴォクスを明るくしてフェンダーに寄せたような感じ。
トレイナーという会社にはなんの予備知識もなく、ただアンプに埋め尽くされた倉庫のような店で片っ端から試奏をし、AC30に似ていると感じた物を買った。
YCV40WRJ(長いな)は優れたアンプで、重宝してきた。ただ、僕はアンプをメイン管で歪ませる。音量調整があまり利かないということだ。最近のライヴハウスは音響がずいぶん改善され、昔のように「交差点かここは」といった状況ではなくなっている。ステージ上は吸音構造によってしーんとしており、40Wもあるアンプのツマミを8や9まで上げたら、ステージ上も客席もギターの音だけになってしまう。
YCV40WRJは下取りに出し、20Wの機種YCV20WRJに買い換えようと思いついた。音を出したことはなかったが、楽器店に訊いても代理店に問い合わせても、単純に40Wの奴の縮小版です、音の傾向は似たようなものです、と云う。重量も16kg。
云うことなしじゃないか――と思っていた。YCV40WRJは楽器店に送った。
ちょうど入荷したという。買う気満々、明日のライヴで使う気満々で楽器店に出向いた。
ところが、まるで違うのだ。どのツマミをどういじっても、自分の音――ラヂデパの音が出ない。焦って冷汗をかいた。
なぜこういう現象が起きるのかといったら、要するに、あるアンプの単純な拡大版や縮小版など物理的に存在し得ないからなのだが、それにしても品番が同系列だったら、少なくとも同じバンドで使えるだろうと思うじゃないか。
ギターアンプから出る音色は基本的に二種類ある。澄んだ音と歪んだ音。僕は歪んだ音用のチャンネルは使わず、澄んだ音用の回路を無理やり歪ませるという、古典的な方式で音を作ってきた。A回路でaの音、B回路でbの音ではなく、A回路でbに近い音を出してきたわけで、これをメイカーは自社の音色だと感じていないということなんだろう。
YCV40WRJはもう手許に無い。ライヴはどうする? 返してもらうか?
ほかにこのサイズの、ヴォクスに近いアンプは無いのかと問うと、他でもない同社のAC15を指差された。中国製なので実に安い。六万円くらいの差額を覚悟していたところ、一万円程度で済んでしまう。
見た目は昔のヴォクスよりずっと安っぽい。しかし鳴らすと、たしかにヴォクスの音――ラヂデパの音がする。機能も的確で、なんだか悔しいのだが良いアンプだった。前述の「絞り込み」が上手く出来ているとしか云いようがない。ただしスペック上の重量は21kg強。40Wのトレイナーより微妙に重い。
なんのための下取りだったのか、自分でもよくわからなくなってしまい、一切を保留にして店を出た。バーンズ・スティアへのブースター搭載が上手くいき、音色をずいぶん手許で変えられるようになっているので、明日はライヴハウスのアンプでも大丈夫だろう。
僕は二十四のとき中国製AC15七台ぶんくらいのお金を払ってAC30を買い、のちの修理でも三台ぶんは注ぎ込んでいる。にもかかわらず公言するけれど、目をつぶって聴いたら、まずどっちだかわからんよ。
それから、もし池袋のファッションビル内にある有名楽器店にYCV40WRJの中古が出ていたら、それは僕が使っていた物です。そのサイズのアンプを求めている人にはお買得だと思う。綺麗にオーヴァホール済みです。
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