学生時代のこと
急用ができて
京都から北海道に
行くことに。
浅虫海岸では
列車はしぶきがかかりそうな
すれすれのところを
走っていました。
そしてーー
青森についていざ青函連絡船に
乗るときになってアナウンス
「津軽海峡に魚雷が発見されたので
今夜は運航中止」・・・
お客はみんな青森駅のあちこちに
寝そべって一夜を明かしたのでした。
三月でしたから
まだまだ寒い。
だれかが毛布を貸してくれました。
あれはだれだったのか
どうして毛布を余分に持っていたのか
それとも自分の分を
貸してくれたのか
親切な人たちのいた
北帰行でした・・・
そして朝になると船は
私らを乗せて無事
函館に着きました。
北海道への道が
海の上だったころのお話です。
それにしても
北の人たちは
なんと暖かい心を持っていたことか、
寒い空の下では
ひとの心は暖かくなる
のでしょうか。