私が今まで出会ってきた独創的な人達に、”作り「上げる」”などと大仰な言い方をする人はいなかった。かれらは静かに粛々とことに取りかかって、ふとした時にとても喜んだり驚いたり何かを見つけたりしていた。一方、「作り上げる」などと力んで主張する人達には、ペテン師や詐欺師や虚飾だけで中身がない人が多く見られた。
hollow inside. Pretenders speak LOUD.
それで私は先の記事(:クリエイティブという言葉)でCreativeと書いていた綴りをcreativeに書き直し、Innovationと書いていたのをinnovationに書き直した。
私が出会ってきた創造性溢れる人達は、「いざ作り上げん!」と挑んだりはしていなかった。ただいつもやっていることの積み重ねが、独創的な状態を作り出していた。目を見開いて奇抜なポーズで「芸術は爆発だ!!」と世に訴えることは、人々を芸術から遠ざけてしまうように思える。芸術は爆発だと仮に言えるとしても、それは誰のすぐ傍にもあるもので、ああいった奇を衒う態度で叫ぶことで、却って誤解を生むように思う。
また、かれら独創的な人達に、完全無欠の完璧を求める人もいなかった。
"Perfectionism is the enemy of creation." 詠み人知らず
その手から紡ぎだされたものは、どこか不完全であり、四隅が整えられてはいなかった。一方で、人真似をしたり、既存の価値基準や流行りのスタイルを周到になぞっただけの物や、その中で最上を行こうとしているだけのもの、あるいは逆張りをキメて屁理屈を形にしただけのものは、こちらが窒息するほど完璧に整えられていた。
関連:ジョン・ラスキン