最近、コンピュータ・メーカーや大手システム・インテグレータを称して“ITゼネコン”というらしい。しかし、これはとてつもなく失礼な言い方だ。もちろん、建設会社に対して、である。
少し前だが、ある中堅ゼネコンの情報システム担当者と会ったとき、そのゼネコンの社長がシステム・インテグレータに対して激怒したという話を聞いた。その“事件”の発端自体は、システム開発が遅れ納期に間に合わなくなったという、ITサービス業界にはお馴染みのものだ。しかし、その話を聞いた社長は、担当のシステム・インテグレータを許せなかったという。納期に遅れそうでも、どんなことしてでも間に合わせるのが仕事。その社長の常識からいうと、システムの納期遅れなど信じられない事態だったらしい。
「ゼネコンのプロジェクト管理能力はすごい。我々はその足元にも及ばない」。大手システム・インテグレータからも、そうした声が漏れてくる。実際、建設業界は法令で厳しい基準が定められていることもあり、プロジェクト管理には恐ろしくシビアだ。システム障害は許してもらえるが、建てたビルが崩れたら建設会社は終わり、それは完成物のシビア度の違いの反映でもある。
よくシステム・インテグレータは「ソフト開発は目に見えないから難しい」と言い訳するが、これはやめた方がよい。建設会社が「高層ビルは高さがあるので難しい」と言い訳するだろうか。失敗の理由を自らの商品の属性に求めるようでは、プロ失格である。
もちろん、ITゼネコンという言葉は、ITサービス業界の多層下請け構造や、公共分野という名の“公共事業”への依存の深まりという事象を端的に示すための表現である。ただ、ゼネコンの関係者がITサービス業界の実態を知ったら、ITゼネコンという言葉に怒り出すかもしれない。ITサービス業界は建設業界に比べ、プロジェクト管理をはじめ様々な点で遅れている。ITゼネコンと言うのは10年早い-----そんな声が聞こえてきそうだ。
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コメントありがとうございます。
随分前のエントリーへのコメントでしたので、ようやく気が付きました。
コメント頂いたお陰で、「失敗の理由を自らの商品の属性に求めるようでは、プロ失格である」の重要性を思い出すことができました。
> 言い訳するが、これはやめた方が...
そのとおりですね。
あと、「不具合の無いソフトなんて無い」って、システム稼動後に開発者自身が言うのもみっともないってか、ありえない。