東葛人的視点

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会社法施行でITサービス会社も外資の買収ターゲットに

2005-03-14 22:32:52 | ITビジネス
 ITサービス業界にとって、今年から3年間ほどが再編の季節なのは間違いなさそうだ。というのも、いま与党で検討されている会社法案により、外国のITサービス会社による日本企業買収が容易になるからだ。

 会社法施行は2006年の予定だ。この法律の一番のポイントは、合併対価で外国株や現金などを認可するという規定だ。ライブドアvsフジテレビ騒動の余波で、自民党議員が騒ぎ出し、この規定の施行は2007年になる見通しだが、この法律のインパクトは大きい。

 特にITサービス業界のように再編の必要性が叫ばれている業界の場合、会社法が大型再編に向けて背中を強く押しそうだ。そして、法律の施行前に再編の動きが表面化するかもしれない。独立系ITサービス会社の経営者を中心に、会社法施行後の外国企業による買収攻勢を警戒する声が出ており、その脅威から事前に身を守るために、日本企業同士の合併で企業規模(それと株式の時価総額)を大きくしておこうという意識も生まれ始めているからだ。

 今のITサービス業界は、明らかに過当競争。下請企業はもちろんプライムを狙う企業の数も多すぎる。合併などによりサプライサイドのプレーヤー数を減らして、ユーザー企業との価格交渉力を回復しないとどうにもならないところに来ている。ここに“黒船”の脅威が迫れば、業界は大変革期を迎えるかもしれない。

 ところで、外国企業でどこが日本企業の買収に乗り出す可能性が最も強いか。米国企業ではないだろう。最も有力なのはインド企業だろう。米国市場の拡大が難しくなりつつあるインド企業は今、日本市場に再び関心を強めている。そこで、日本の大手独立系ITサービス会社の買収に動いても不思議ではない。

 いや買収先は独立系ではなく、ユーザー系のITサービス会社かもしれない。グローバル展開する大企業にとって、グローバルで低コストでITサービスを提供してくれる企業がほしい。子会社の株式を売却して、その売却先にグローバル・サポートを任せるというのは、以前からあるチョイスだ。これまでならIBMだが、これからは分からない。