東葛人的視点

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IT商談におけるコンサルティングの重要性を改めて考える

2005-03-28 17:19:09 | ITビジネス
 IT企業にとってコンサルティングの重要性を、今ごろになってようやく認識した。ユーザー企業に経営コンサル、ITコンサルで入ると、システム開発案件が受注しやすくなるのは当たり前だが、私はその理由を「コンサルの内容が良かった」ぐらいにしか考えていなかった。しかし、それは理由のうちの半分でしかない。むしろ、もう1つの理由の方が大きいぐらいである。

 コンサルティングに入ると当然のことながら、ユーザー企業の経営トップやCIO、あるいは情報システム部門やユーザー部門のキーマンに接触する。このとき出来る彼らとの強力なコネクションやりレーションの方が、実はコンサル内容よりも後のシステム構築商談にとって重要なのだ。

 ITサービスの商談には、その前提としてユーザー企業との信頼関係が不可欠である。ユーザー企業にとって情報システムへの投資は巨額で、構築まで時間もかかる。特に経営者やユーザー部門の人たちにとってシステムは難解で、ソフトやサービスという目に見えないものも買わなければならない。しかも、ITベンダーの技術者がどれほどのスキルかも分からないのに、もっともらしい理由でお金を支払わなければならない。そんな商談だから、ユーザー企業は最も信頼できるITベンダーに仕事を任せたいと思うものである。

 新規ユーザーからシステム構築案件を獲得することの難しさは、ここにあるわけだが、コンサルティングに入るとその状況を一気に覆すことができる。コンサルの過程で経営トップや現場のラインなどから信頼を獲得すれば、最も仕事を任せたいITベンダーになれる。システム案件の受注も最短距離に立てるわけだ。

 だから、ITベンダーから見たコンサルティングの目標は、コンサル結果というコンテンツではない。ユーザー企業から信頼を獲得するということである。ある意味、コンサル内容などは何でも構わない。コンサルタントは最強の営業パーソンである。そう考えれば、ITベンダーがコンサル強化を図らなければならない理由は明らかだ。こんなことはIT業界の常識かもしれないが、私はコンサルの重要性を過小評価していたので、あえて書いておく。