東葛人的視点

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米国で大ブームのEPM、「経営陣の日常業務」の視点で考えると面白い

2005-02-17 19:52:57 | ITビジネス
 米国では昨年に続き今年も、EPMが企業ITのキーワードになるらしい。EPMとはEnterprise Performance Management(企業パフォーマンス管理)の略称で、「経営情報(各種指標)をビジュアル化し分析する機能を提供することで、経営戦略や意思決定へのフィードバックを支援する」ものだそうだ。これだけ聞くと「BIと何が違うのか」「BIでも同じことを言ってたぞ」とツッコミを入れたくなるが、米国では既に8割の企業がEPMを導入済みか、導入を検討しているという。

 日本でも日立システムアンドサービスやSAS Institute JapanなどがEPMソリューションの提供を表明しており、今後続々と同様のソリューションが登場するだろう。とはいえ、EPMは“胡散臭い三文字ワード”だ。BIとの差異もよく分からない。まあ現実のBIが実績データをビジュアル化するツールに過ぎないのに対して、EPMはBIなども使いこなして経営管理を実現する、より大きなコンセプトと仕掛けといったところか。それにしても、日本のユーザー企業に受け入れられるのは難しいのでは…。

 いままでそう思ってきたのだが、あることに気付いてから日本のユーザー企業にも、提案次第で受け入られるかもしれないと思うようになった。あることとは「誰が使うのか」だ。EPMは経営情報システムであるから、経営陣であることは間違いない。だが、経営陣や経営という言葉ほど曖昧なものはない。だから経営陣がユーザーというだけでは、何のメッセージも伝わらない。

 EPMを使う人とは、実は執行役、あるいは執行役員と言われている人である。取締役ではなく、CEOを筆頭に業務執行に責任を持つ上級オフィサーたちである。しかも、彼らの日常業務を支援するための仕掛けがEPMである。経営=戦略と紋切り型に結びつけるから分からなくなるが、執行役には日常業務がある。つまり、経営戦略に基づいて執行する業務に責任を持ち、各種指標を常にモニタリングし、問題があれば即座に解決策を決定する。場合によっては経営会議に図り、戦略自体の修正を加える。EPMは、そうした執行役の日常業務に資する情報を提供するものである。

 これまで日本では、戦略決定などにコミットする取締役と執行役の機能分化が進んでおらず、経営情報といっても、実は何のことだか曖昧模糊としていた。しかし、最近では多くの企業で、執行役という経営機能の分化が進んでいる。従って、執行役の日常業務に必要な情報という観点でソリューションを考えれば、EPMのニーズを顕在化できる気がする。えっ、役員のリストラのために執行役員制度を設けた企業には、どう提案するのかって。それは、ちょっと…。