東葛人的視点

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IT業界における2007年問題とは?

2004-11-11 22:14:30 | ITビジネス
 高度経済成長期に大量採用されたIT技術者2007年をピークに定年退職を迎えるため、ユーザー企業においてはメインフレーム・ベースの基幹システムの運用に危機が迫っている----これが言い古された「2007年問題」である。「だからレガシーマイグレーションをやりましょう」とITベンダーがセールストークに使ったものだから、2007年問題はベンダーの脅し文句だとユーザー企業にはすこぶる評判が悪かった。それでも、ユーザー企業は2007年問題を中期的なシステム課題としてとらえ、多くの企業が抜本的な対策をとり始めている。

 一方「IT業界の2007年問題」とは、少し自嘲気味な話だ。ITベンダーがこれまで、飲ませたり、芝刈り(ゴルフ)に連れて行ったりするなどして、リレーションを築いてきた情報システム部長などユーザー企業のキーマンが2007年をピークに一斉に定年退職する。若い世代のキーマンはこうした接待だけのリレーション作りを好まない。そうではなく、経営課題に応えるソリューション提案を強く求めている。果たして、古い営業スタイルに慣れてきたITベンダーは彼らの期待に応えることができるのだろうか。

 これが「IT業界における2007年問題」である。そして、「だからソリューション提案をできるようになりましょう」というオチがつく。本来の2007年問題は、3年後となる2007をメドにした中期的な経営課題として、レガシーマイグレーションを考える必要があるということに真骨頂がある。決して長期的経営課題(=何もしない)ではないということだ。IT業界における2007年問題も、先送りにしてきた営業スタイルの変革が待ったなしのところに来ている、そのことを明確に示す意味合いがある。