東葛人的視点

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「ソフト開発は基幹ビジネス・プロセス」に賛成

2004-11-05 19:57:26 | ITビジネス
 日本IBMが最近、面白いことを言い出した。いわく「ユーザー企業にとって、ソフト開発は基幹ビジネス・プロセスである」。その意味するところは、ビジネス全体のIT化が急速に進み、環境変化の速度も早まったことで、IT化したビジネス・プロセスを作り出す“ソフト開発というビジネス・プロセス”の重要性が飛躍的に高まったということだ。いかにもIBMらしい、e-ビジネスやオンデマンドに通じるマーケティングちっくな物言いだが、一面の真理を突いている。

 EC(電子商取引)やインターネットを使ったマーケティングがもはや当たり前になっている現在、ビジネスの基盤となるIT、もっと具体的に言えば、ソフト開発の生産性や品質の低さがビジネスの桎梏になりつつある。だから、ソフト開発を基幹ビジネス・プロセスに位置づけて、生産性と品質の向上に取り組まなければいけないというのが、このソフト開発=基幹ビジネス・プロセス論の主旨だ(IBMに言わせれば、だからラショナルの開発ツールを使いましょう、という話になるのだが)。

 昔、と言っても、つい最近までだが、抽象的な経営論と結びつけてITの重要性を説くのが流行った。ERPはその最たるもので、単なるバックオフィス業務の集合体で管理会計的な意味合いしかないにも関わらず、最良のビジネス・プロセスが詰った“魔法の経営ツール”的な幻想がふりまかれた。だから私などは「基幹・・・」などと聞くと、それだけで気持ちが引いてしまう。

 だが、ますますITと現場の業務が密接に結びついていく中で、業務で実現しなければいけないことが、ITが桎梏となってできないといった事態は避けましょう、という意味で、ソフト開発は基幹ビジネス・プロセスだというのは大いに賛同できる。現場のユーザーの要求を正確に定義して、高品質なソフト(=ビジネス・プロセス)を短期間で作る。これができるかどうかが、企業のオペレーション力を決め、競争力を本当に左右する時代になりつつあるからだ。

 システム・インテグレータにとっても、顧客の基幹システム(往々にして本当は“基幹”でないのだが)を作っているのではなく、顧客の基幹ビジネス・プロセスを担っているとの自覚に立てば、違う風景を見えてくるような気がする。