YOUTH

青春とは人生のある期間ではなく 心の持ちかたを言う
by Samuel Ullman

4月の読書

2020年05月02日 | Weblog

世は covid-19 騒ぎで、外出もままなりません。
本来、うつさない、うつらない様に過ごせばよいはずが、過剰に反応する正義の味方が、
家から出るな、公園に行くな、遊具で遊ぶなと叫んでいます。
もはや第2次世界大戦末期の様相です。

読書には絶好のチャンスですが、そうなると不思議なことになかなか進まないものです。



ラスト ラン (角川文庫)ラスト ラン (角川文庫)感想
74歳にして250ccの真っ赤なオートバイ「オオタ」に乗る。いや「オオタ」というメーカーは知りませんが、かっこいいオバァちゃんですね。私の免許証にも「大自ニ」と記されています。風を切って走る感覚は本当に楽しいものです。今の私はロードバイクで楽しんでいますが、息子は3気筒1000cc超えのトライアンフで時々ツーリングに出かけています。二輪車市場はだいぶ下火になっているようですが、マニアは楽しんでいることでしょう。主人公のイコさん、来年からは認知機能検査を受けることになりますね。
読了日:04月01日 著者:角野 栄子


きいろいゾウ (小学館文庫)きいろいゾウ (小学館文庫)感想
大苦戦。読了に2週間もかかりました。文字の裏にある意図をなかなか理解できず、途中で何度も別ダナにあるコミックに逃げました。あれ、この登場人物は人間じゃないのか、と気づく場面も数しれず。途中でこの作品はファンタジーではないかと感じました。そもそも「愛」はファンタジーの一部だと思うから。他の方の感想に目を通したところ、苦労したのはどうやら私一人ではない様でホッとしております。
読了日:04月09日 著者:西 加奈子


日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ感想
先に家人と一緒に映画を観ておりました。黒木華、樹木希林ともなかなか素敵でしたので、あらためて文字で確認したかったからです。映画ではすーっと流れてしまう場面も、文字では繰り返し確認できて茶道に向かう姿勢が感受性に影響する様子がよく理解できました。「思いや感情に、言葉が追いつかないのだ。言おうとすると、虚しくなる。言ってしまえば、きっとシラける。」お茶の深い精神世界を覗かせていただきました。
読了日:04月09日 著者:森下 典子


好日日記―季節のように生きる好日日記―季節のように生きる感想
40年以上も取り組むお稽古。それだけで感心してしまいます。茶器のイラストもとても素敵。お茶に不案内な私には水舎すら検索をかける始末で、その設計が千利休まで遡ることに驚いてしまいます。そんな深いお茶の世界ですが、茶花のお話にはちょっと気を引かれます。「小暑」の項でスイカズラがでてきます。私がその花を初めて知ったのは高校の応援歌の歌詞でした。社会人になったあと、薬草園でスイカズラに初めて接し、その甘い香りにうっとりしました。現在はある病院の前庭に大きなスイカズラの塔があり、夏の来るのが待ち遠しい気持ちです。
読了日:04月14日 著者:森下 典子


総理の夫 First Gentleman (実業之日本社文庫)総理の夫 First Gentleman (実業之日本社文庫)感想
とても楽しめた作品です。総理大臣に関する小説では池井戸潤著「民王」、中山七里著「総理にされた男」がありましたが、この作品は総理の夫としての視点で描かれています。当然総理は女性で、その女性視点でのアレヤコレヤもとても楽しい。政界暗部の謀も、あれっ!という感じで解決。久々に楽しい時間を過ごしました。
読了日:04月16日 著者:原田マハ


サクリファイス (新潮文庫)サクリファイス (新潮文庫)感想
緊急事態宣言で図書館もクローズ。蔵書再読第一弾は近藤史恵氏の自転車シリーズから。ロードバイク愛好家がチームを組んでレースに出る場合にもチーム戦略があるわけで、ライダーの個性をどう活かすかということが前提になります。NHK BSPのチャリダーでのロードレース部はその見本ですね。本書を最初に読んだときは題名がアシストを指しているのかと思っていたのですが、改めて読むと犠牲として身を投げだしたのはエースだったのですね。封をしてあるワインにエフェドリンを入れることや、香乃の性格づくりなどちょっと安易かな。
読了日:04月18日 著者:近藤 史恵


エデン (新潮文庫)エデン (新潮文庫)感想
蔵書再読第二弾、近藤史恵氏の自転車シリーズから。本書初出の2009年、ツール・ド・フランスではなんと二人の日本人が初完走を果たしました。フミとユキヤです。完走はできなかったものの史上二人目の日本人は今中大介。私のはじめてのロードバイクは彼の「インターマックス」です。本書でも大きく取り上げているドーピングですが、自転車ではなぜにこんなに多いのでしょうね。ツールを連覇したアームストロングが永久追放されたのは2012年のことでした。チカウは山岳賞でポディウムに登りましたが、ユキヤが登ったのは敢闘賞でした。
読了日:04月18日 著者:近藤 史恵


サヴァイヴサヴァイヴ感想
蔵書再読第三弾、近藤史恵氏の自転車シリーズから。ロードバイクで一般道を走るときは左端を選ぶのですが、たまに舗装が轍のように凹んでヒビが入っていることがあります。ガタガタしてハンドルが振れるので嫌いです。パヴェは古い石畳ですから私から見たら飛び石の舗装のようなものでとても自転車で走る場所とは思えません。そんなパリルーベ、チカが無事にフィニッシュしてホッとします。本書は六篇の短編ですが、最後の「トウラーダ」は闘牛の意。ツール・ド・フランス前夜の話で、自転車愛好家としては目を離せない展開です。
読了日:04月19日 著者:近藤 史恵


キアズマキアズマ感想
蔵書再読第四弾、近藤史恵氏の自転車シリーズから。定年してから乗り始めたロードバイクですが、何回か転倒し肋骨骨折をしています。その時は一ヶ月乗れませんでした。元自民党幹事長の谷垣禎一氏はお気の毒に脊椎損傷までされたました。身一つで車道を走るロードバイクはやっぱり危険な乗り物なのかもしれません。本書は前三冊とは異なり大学の自転車部にフォーカスしており、運動による怪我にフォーカスしています。柔道での友人の怪我はパワハラで大問題だと思いますが。これからはいい季節、怪我には注意してライドを楽しみたいですね。
読了日:04月19日 著者:近藤 史恵


スティグマータ (新潮文庫)スティグマータ (新潮文庫)感想
蔵書再読第五弾、近藤史恵氏の自転車シリーズの最終巻。今年2020年のTDFはcovid-19の影響を受けて二ヶ月間後ろずらした8月29日から開かれると発表されました。それまでに終息しているといいのですが。本書を読んでいると毎年のTDFテレビ中継を観ているような感じになります。老若のいかんに関わらず自転車を駆るモチベーションは何なのか、脚種の違いを解説しながらもその動機を探る作品でした。今回主人公チカウは自転車競技によらない傷跡を残すことになりました。それがstigumataでしょうかね。それとも・・・。
読了日:04月21日 著者:近藤 史恵


カゼヲキル 1助走カゼヲキル 1助走感想
蔵書再読第六弾、増田明美さんの3巻シリーズから。今やスポーツコメンテーターでとんでもない情報まで調査しているのでびっくりする増田さん。オリンピックでは成果を挙げられませんでしたが、その経験を活かしテレビ界を縦横無尽に泳ぎ回っておられます。本書を執筆の際も、多分にご自身の経験が生かされただろうと思います。14歳の少女、体の変化が大きくなる年齢なので、指導者にとっては種目のデータのみならず、食事や精神面のサポートも重要な場面。その辺もっと切り込んで欲しかった。クロカンで骨折するほどヤワではありませんよね。
読了日:04月21日 著者:増田 明美


カゼヲキル(2)激走カゼヲキル(2)激走感想
蔵書再読第七弾、増田明美さんの3巻シリーズから。故障の原因がライバルとされるランナーの斜行であるのか?そしてそのライバルも自身がサポートに回った競技中に故障する。ツール・ド・フランスでカベンディッシュに当たったサガンを思い出します。そのライバルが京都で開催される高校女子駅伝の1区。自分は2区。最高の舞台で美岬は輝けるのだろうか。都道府県対抗駅伝の場面で、増田さんご自身が解説で出てきているのが楽しい。
読了日:04月21日 著者:増田 明美


カゼヲキル(3)疾走カゼヲキル(3)疾走感想
蔵書再読第八弾、増田明美さんのカゼヲキル3巻シリーズから最終巻です。実業団で長い準備の期間を過ごし、美岬はロンドンオリンピックマラソンコースのスタートラインについていました。増田さんにしか書けなかった女子マラソン選手の作り方。あとがきで「一番伝えたかったことは、マラソンで五輪や世界陸上などのスタートラインに立つまでに少なくとも十年以上の歳月がかかるということです」と記しています。ロンドンから8年。東京オリンピックは少なくとも1年の延長が決まりました。選手の再選定もあるのか、目が離せません。
読了日:04月22日 著者:増田 明美


一瞬の風になれ 第一部 -イチニツイテ-一瞬の風になれ 第一部 -イチニツイテ-感想
蔵書再読第九弾、一瞬の風になれ全三巻の一巻目「イチニツイテ」。高校陸上部の青春物語。私には経験のない世界なので、地区予選や県予選、そして高総体と続く一連の大会と、三年生の引退に続く新人戦など、大会の連続を興味深く読みました。主人公のサッカー少年が陸上短距離に鞍替えして、どこまで伸びていくのか、指導者の大人のあり方と異性への興味など、続きが楽しみです。
読了日:04月23日 著者:佐藤 多佳子


一瞬の風になれ 第二部 -ヨウイ-一瞬の風になれ 第二部 -ヨウイ-感想
蔵書再読第10弾、一瞬の風になれ全三巻の二巻目「ヨウイ」。高校二年生となってからの新二と連。陸上部の仲間、他校のライバル、そして身近な家族。それぞれで様々な事態が起こる一年間を表現しています。
読了日:04月23日 著者:佐藤 多佳子


一瞬の風になれ 第三部 -ドン-一瞬の風になれ 第三部 -ドン-感想
蔵書再読第11弾、一瞬の風になれ全三巻の三巻目「ドン」。高校生アスリートの心理面に迫った作品とでも表現しようか。まぁ実に細かく一レースごとの分析が行われています。
負ければ負けたで、勝てば勝ったでそれぞれの思いがこみ上げてきます。陸上競技は個人戦ですが、リレーは団体種目の感覚になるのでしょうか。謝辞で「未経験の私に何年にもわたりイロハのイから陸上の詳細を教えてくださった」とありますから、その準備は相当のものだったことでしょう。現役の高校生たちに読ませたいですね。
読了日:04月25日 著者:佐藤 多佳子


見事な娘 (講談社文庫)見事な娘 (講談社文庫)感想
蔵書再読第12弾は本棚の奥の方から出てきた本です。今どきの方は源氏鶏太をご存じないと思うのですが、戦後のサラリーマンの悲哀を潜めたユーモア小説でたくさんの作品を発表しています。本作品は昭和29年から「婦人倶楽部」に掲載されたものです。主人公は22才のミス丸の内と呼ばれるほどのOL。父親が経営していた会社が倒産すると、好きだと思っていた男性の母親が、お付き合いに反対する素振りをする。家柄ということが強く残っていた時代を思い出させます。周りの登場人物もいい人でありながら、それぞれの悲哀を感じさせます。
読了日:04月26日 著者:源氏鶏太


吉原手引草 (幻冬舎文庫)吉原手引草 (幻冬舎文庫)感想
蔵書再読。吉原で最上位に位置した花魁葛城の失踪事件を追う形で、吉原の仕組みやそこで職を得ている人々の姿を描いた作品。終わりに近づくにつれて、当事者からの真相が明かされるのがちょっと残念に思えました。初めて読んだ気がしました。
読了日:04月29日 著者:松井 今朝子


大江戸神仙伝大江戸神仙伝感想
検索では文庫しか出てきませんので新規に作成しました。手元にあるのは第2刷昭和54年発行のもの。文字は小さく、ISBNもなし。このシリーズは全巻購入したのですが、残したのは本書のみ。この作品は江戸の様子をとても丁寧に描写しています。参考資料もとても多く、並大抵の調査ではなかったようです。時代を超えた不倫と捉えるとちょっと残念ですが、徒歩しかない交通機関や、武士や町民、農民の有り様を見事に描き出しています。言葉にもこだわっており、それもまた楽しい要素でした。
読了日:04月30日 著者:石川英輔


読書メーターにて読了後にアップしています。

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