・・・こちらから 辞めると言ったのですが 前から 社長は煙たがっておられたようだし・・何時までも繰り返し 凍死 飢え死に寸前の野良犬を 救ってやったのだぞという態度を取られると 修業の足りない余は 逃げ出したくなります・・・・・故阿部勉の舎弟 新藤厚はさすがに義理堅く ホテルの社長に対して体を張って 余を慰留せよと迫って呉れました その結果 同経営の塩原神谷旅館の専務取締役に就任予定だったのが また 白樺湖のホテルにお勤めの 実は別れていなかった 元夫人も 二人とも 余を弁護したために せっかくの栄転を 棒に振ってしまったようです・・・・・ご免な・・・新藤は 阿部勉を兄貴と呼ぶと同時に もっと昔から 余の事も兄貴呼んでくれていた その兄事してくれる 姿勢は余がすっからかんに為ってからも変わる事無く続いた・・・・・・ああぁ 厚よ また迷惑かけちまったな・・・・・・あっはははは・・・これを機に 余とは 金輪際 縁を切るんだよ・・・・・