◆対象となる生徒が異なる
なんとなく「中学校でちゃんと勉強できなかった子が行く学校」というイメージを持っているかもしれない。
が、エンカレッジスクールとチャレンジスクールには明確な違いがある。
今回はそれぞれの特徴を分かりやすく伝える。
◆エンカレッジスクールは全日制
足立東高校、蒲田高校、秋留台高校、練馬工業高校、東村山高校、中野工業高校の6校。
対象となる生徒は、遅刻や欠席は少なく毎日しっかり登校している。だけど勉強が苦手なタイプ。
決められた単位をとって 3 年間で卒業するのが基本。
言い切ってしまえば、
学校に行くのは好き。高校卒業後に進学したいけど勉強ができない。それ以外は心配ナイ問題ナイ生徒に向いている。のが普通科。
入試では学力検査がないので、調査書・面接・作文か小論文・実技検査で合否が決まる。
分割前期・後期で募集を行う。
実技検査は学校によってちがう。例えば蒲田高校では
10分程度の日本語による講話を聞き、その内容について印象に残ったことや考えたことを記述する検査です。
講話の内容をよく聞き、自分の考えをまとめる力などを評価します。
400字程度の記述をします（60分）。
＜出典 蒲田高校 平成31年度入学者選抜について＞
秋留台高校のみ実技検査を実施しない。
足立東高校は、過去の実技検査問題を公開している。
平成30年度の実技検査は上記をご覧いただきたい。ことわざや算数の問題が出されている。私立中学受験問題の基本内容といったところか。
普通科は男女それぞれの枠がある。
◆チャレンジスクールは定時制・単位制総合学科
六本木高校、大江戸高校、世田谷泉高校、稔ヶ丘高校、桐ヶ丘高校
対象となる生徒は、不登校の経験がありもう一度やり直したいタイプ。
3 部制なので自分に合った時間帯を選択できる。
基本は 4 年間で卒業だが、3年間で卒業することも可能。
これまでの学校教育の中では十分に自分の能力や適性を活かしきれなかった。 普通科目だけではなく、多数の専門科目の中から、自分にあった科目を選びたい子に向いている。
都教育委員会が示している各コースの説明は以下。
チャレンジスクール（定時制・総合学科）
小・中学校時代に不登校経験を持つ生徒や長期欠席等が原因で高校を中途退学した者等を主に受け入れる総合学科・三部制(午前部・午後部・夜間部)の高校で、他部履修により3年での卒業も可能とする。
エンカレッジスクール
小・中学校で十分能力を発揮できなかった生徒のやる気を育て、頑張りを励まし、応援する学校として、社会生活を送る上で必要な基礎的・基本的学力を身に付けることを目的として、既設校の中から指定。基礎・基本を徹底するとともに体験学習を重視。
◆入りやすさはどうなっているか
過去4年分の実質倍率を並べてみた。
倍率1倍以下(赤字)は、受験すれば必ず合格したということである。
水色はエンカレッジ、灰色がチャレンジスクールである。
2018年度を境に、入りやすくなっている。
もちろん理由は私立高校授業料軽減助成金であろう。
学力の低い都立高に行くくらいなら、面倒見のいい(と思われる)私立高のほうがいい。
と考える保護者が増えた結果だ。
六本木の倍率が常に高い理由は「場所がいい」からだろう。
2019年度のエンカレッジスクール分割後期募集の応募倍率は
蒲田（0.13倍）
足立東（0.43倍）
東村山（2.10倍）
秋留台（1.64倍）
足立東（0.43倍）
東村山（2.10倍）
秋留台（1.64倍）
蒲田と足立東は受験者全員が合格している。
一般入試や分割前期に落ちても、エンカレッジなら分割後期で受かる可能性は十分にある。
◆高校卒業後の大学進路率はチャレンジスクールの方が上？
各高校の2019年度学校経営シートから、進路実績を一覧にまとめた。
旧1,3,4学区普通科と工業科の偏差値最下位校も比較対象として並べてある。
（葛西南は発表されている数値がおかしいので除いた。以下はホームページ掲載の学校経営シートから）
4年制大学への進学率はエンカレッジよりチャレンジスクールの方が高い。これは意外だった。
エンカレッジ普通科の足立東、秋留台の大学進学率は一ケタ。
大森、練馬、大山はもとより、北豊島工業よりも低い。
大学へ進みたいのなら、エンカレッジスクールは得策ではない。
一方で「他」の割合は低い。「他」は浪人生やフリーター、ニートなどである。
何かしらの進路を決めて卒業する子が多いということだ。
チャレンジスクールはその逆。
大学進学の割合はどの高校も20％以上。しかし「他」は20～30％程度。
◆同じような境遇の子が多いのが特徴
不登校だったことが珍しい、と思われないのがエンカレッジスクールのいいところ。
「高校からやり直したい」と思う子は検討されたい。
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