ばあちゃん(父ちゃんの母)は、
9月の終わり頃、救急車で運ばれて
入院生活が始まりましたが、
ちょっと前に容態が悪化しまして、
お医者さんから、
「個室に移して、特別に面会を許可
しますから、会いたい人に合わせて
あげてください」
とか言われちゃいました。
父ちゃんは、ちっとも良いトコを
見せられないままばあちゃんに
死なれてしまう事がつらくて
たまりません。
人に会うなら少しでもきれいにして
あげようと思って、耳くその掃除を
始めたんですが、少し頭を傾けて
もらわないとうまく掃除できません。
「母ちゃん、ちょっと向こう向ける?」
って声をかけると、目玉だけきょろって
向こう向きました。
「それじゃだめでしょ」って、
父ちゃんが笑うと、ばあちゃんもつられて笑います。
二人でこんなふうに笑うのもこれが最後なのかな、
こんなに良く笑える人が死ぬなんてことあんのかな、
と思いましたが、やっぱりあっけなく回復しまして、
大部屋に戻って行きました。
「奇跡が起こりましたね」
と、先生は言ってましたけど、
あきらかに見立て違いだろうと思っています。
この先生については、ホントいろいろ文句が
あるんですけど絶望的にどーしょもない人で、
洒落にならないので書けません。
ただ、
「奇跡なのは、おまえが医者の免許持ってる事だ!」
とは言いたい。