この時期やたらと耳に入ってくるのが、桜を歌った曲だ。ラジオでは「桜ソング特集」みたいな企画も多い。そういう時に必ず取り上げられるのが、aikoの『桜の時』である。もはや桜ソングの定番と言っていいだろう。
前にもどこかで書いたけど、この曲を聴くと切なさで胸がいっぱいになってしまう。悲しい状況を歌っているわけじゃない。最愛の相手に出会えた喜びと感謝と気持ち、そして、その幸せがいつまでも続くようにという願いを綴った歌だ。曲調も明るく、aikoは伸びやかに歌う。なのに、聴くたびに泣きそうな気分にさせられるのだ。こういうのを名曲と呼ぶんだろうね。aiko、おそるべし。
この曲と同じくらい大好きなのが、つじあやのの『桜の木の下で』だ。タワーレコードの試聴機で初めて聴いた時、不意に周りの景色が消え、静かな湖の底から響いてくる歌声を聴いているような錯覚にとらわれたものである。
『桜の木の下で』で歌われるのは「君と一緒にいたい」という願いだ。だが、自分と「君」との関係は語られていない。「君」に自分の想いが通じているのかどうかも、歌詞を読むだけでは分からない。でも、だからこそ聴き手の想像力を刺激し、一人ひとりが自分の気持ちを託すことができるのだ。こういうのを名曲と呼ばずしてどうする。つじあやの、おそるべし。
画像は、つじあやのの直筆サイン。4年半前、名駅のタワーレコードでのインストアライブの時に書いてもらったものだ。
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