そんなわけで川端康成を「日本的情緒を繊細な筆致で描いた文豪」という風に思っていたので、この映画の第1話で科学者が火だるまになった時は驚いた。しかも、一昔前の特撮映画みたいな感じで、男の全身が炎に包まれるのだ。そして、その後、男はミイラ男みたいに全身を包帯で覆われる。川端康成じゃなくて江戸川乱歩が原作だったっけ、なんて思っちまった。
第3話では、美人姉妹たちがヤクザに敢然と立ち向かう。高尚な純文学ではなく、いかにも通俗小説、という物語だ。無論、悪い意味ではない。考えてみれば『伊豆の踊り子』や『雪国』だって観念的な内容ではなく、しっかりとした枠組みを持つ物語だもんね。こっちが勝手に「文豪の作品→高尚で高級→敷居が高くて取っつきにくい」という印象を持ってしまっていたわけである。なーんだ、川端っちの小説、親しみやすそうじゃん。映画自体の出来映えはいまひとつだったけど、「川端康成ってこういう物語を書いてたんだ」ということが分かっただけでも、観た甲斐はあった。
なんて書いてから言うのもナンだけど、この映画がどれくらい原作に忠実に作られているのかは全然分からない。なので、近いうちに原作を読んでみようかな。……と思って調べたら、2年ぐらい前にあの新風舎から出た『夕映え少女』新装版は、もう絶版になってるじゃん。がっくり。
『夕映え少女』公式サイト→http://www.fnm.geidai.ac.jp/yubaeshojyo/
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