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[情報] かつてバズワードとして一世風靡したOpenStackの今と今後
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ところで、OpenStackって最近どうしてるの?
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2010年に生まれたOpenStack。 クラウドがバズワードとしてフィーバーしていた2013年ごろ、OpenStackもまたバズワードとして盛んに語られていました。「クラウドするならOpenStackでしょ」的な感じで。IBM, HITACHI, HPE, Fujitsu, NEC, Ubuntu...などといったいろいろな会社がOpenStackファウンデーションに出資して「俺たち、ナウいクラウド基盤をやってるぜ!」ってアピールを盛んにしていました。
その後、クラウドが当たり前になるとともに、OpenStackの話題も聞かれなくなりました。 最近どうしているのかな…?と思っていたところにこの講演があったので聞いてみました。
2018年6月に開催されていた「Interop 2018 Tokyo」のセミナーの中に OpenStack に関するものがありました。
Interop 2018 Tokyo
OpenStackの現状と今後 -サミットから読み解くOpenStackの行方-
講演者 日本OpenStackユーザ会 元木顕弘氏
講演では、2018年5月にカナダバンクーバーで開催された「OpenStackサミット」での話題から、OpenStackの最近の動向と今後の方向性について語られていました。 聴講してみて感じたこと。 2014年ごろは毎年新版がでて、毎年機能が増えて、そのたびにプロジェクトとモジュールが増えてゆき、広報互換性はなく…という実用品とは言いにくい状況をやっと脱し、安定版の提供が始まり、今後は大幅な機能強化はなくなりそうだ。というのを感じました。 変なたとえですが、VMware VSphere でいうと Ver4 が登場したときに感じた「完成形ができた」という感じに近い気がします。 普通のIT屋が安心して使うなら、これからのバージョンかな…と。
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講演の走り書き(書き切れた分だけなので全部を網羅していません)
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OpenStackとは
・OpenStackの概要
OpenStackは管理層のみであり、下位の実行層(hypervisorとか)とはAPI経由で連携する。
OpenStackはプライベートクラウドとしての利用も多い。
最新版はQueens
・Queensにおける機能強化
実験的実装ではあるが、VGPUがサポートされた。 従来はパススルーだけであった。
ボリュームのマルチアタッチが可能になった。 これは複数VMが単一のボリュームをマウントするもの。
ただし、両方のVMからのIOを調停する機能はないので注意が必要。
・新プロジェクト
BlazarはAPIをスケジュールで発行するもの
CyborgはGPU, FPGAなどのアクセラレーションの管理フレームワーク(始まったばかり)
など
バンクーバーサミット(2018/5/21~24)の話
参加者は2016年春の約8,000人をピークに減少。 今回は3,000人だった。 バズワードの時期を過ぎ、参加者が「興味がある人」から「実際に使っている人」に絞られた結果だろう。 最近ではOpenStackが単体で語られるのではなく、"オープンインフラ(コンテナ、CI/CD、IoT、エッジなど)"の一部をして位置づけられるようになってきた。
2014年と2018年では、スポンサーも様変わりした。 現在は中国系の企業が多くなっている。
※所感
スポンサーの比較ではかつてバズワード時代をにぎわした会社の動向はこんな感じでした。
ワールドワイド企業ではHPE, IBM, Ubuntuが消え
国内企業では日立が消え、NECと富士通は残った
現在、50以上に増えてしまったプロジェクトをユースケース毎にベストプラクティスとしてセット化する方向にシフトしている。
※所感
ようやく…という感じです。 OpenStackは実は部品(モジュール)の集合体で各部
品は別々のプロジェクトで開発されています。
よく言えば、ユーザは自分が必要とする機能のモジュールだけ組み合わせればいいの
ですが、各モジュールを理解しないと、何を組み合わせるべきかすらわからない…
関わる人も変化しており、開発者主導からユーザの参加が増えてきている。
※所感
バズワード時代にOpenStackと比較されていたCloudStackはコミュニティへの
ユーザの参加が多いことが特色とされていました。
・細かい話として、以下のようなトピックスが紹介されました。
Kata container 1.0のリリース
コンテナの弱点であるOSを共有するというセキュリティ上の弱点を解決するための
ものであり、カーネル単位でVMのように別々に独立させるようにしたものだそうで。
CI/CDツール Zuul
パッチのテストやパッチ間の依存の管理を支援するツール
Edge向けプロジェクトAkrainoが発足
2018年2月にEdgeコンピューティングのためのホワイトペーパーを発表
エッジ向けソフトウェアスタックの整備をAT&Tが主導して2018年2月にスタート
サポート期間の延長
コミュニティ版のサポートが従来の12か月⇒18か月へと延長された。
18か月以上のサポートも条件付きで可能となった。条件とは「ボランティアがやれる
範囲で」という意味。
Open Labo
OpenStackの品質向上を目指すものだが、クラウド技術の組み合わせにおける検証
が主であり、OpenStackそのものの品質向上とは少し異なる。
AirShip
AT&Tによるクラウド環境のデプロイツール。 手順型でなく宣言型のツールであり、
こういったクラウドがほしいと宣言する。
StarlingX
Edge用運用ツールであり、Intel、Wind River により開発された。
クラウド運用へのAIの活用
TelcoクラウドによるNFVでの事例がある
アップグレードの議論のいコンセンサスが取れてきた
FFU (Fast Forward Upgrade)
従来は半年に1回のアップグレードにはついていけない。まとめてアップグレードする
ことを想定するとモジュールの組み合わせが沢山ありすぎて検証ができない。
このため、順次ではあるが早くあぷぐれーどできるFFUが導入された。
FFUではコントロール系は止まるがVMは稼働させたままアップグレードが可能。
所感
OpenStackがついに長期継続的実運用サービスでの利用を前提にした運用機能を
実装するようになった。昔はOpenStackで作られたクラウドは使い捨てで、UG
する時は新しいクラウドを作り、古いのは捨てる! という発想だった。
CloudStackが2014年という早い時期にローリングアップデートという名で
サービス提供しつつupgradeを可能にしていたのとは対照的。
次版はRocky
あまり新機能満載感はなく、エンハンス的な機能強化となっている。
今後は安定化、成熟化を目指して運用機能強化、品質向上の方向で成長する。
OpenStackは単独というよりもオープンインフラの一部となってゆく。
所感
かつて、安定志向のCloudStack、機能拡張のOpenStackと言われていたが…
安定化、成熟化というキーワードがOpenStackから出てきたのは感無量。
一方で、OpenStackのモジュール単位で機能を変更でき、他のモジュールとの
連携でクラウド基盤となることを目指すという志向は健在で、今度は外部モジュ
ールとの連携をさらにつよめて、自身すら部品になってゆく方向性を目指すようだ。
次回のOpenStackサミット、日本におけるOpenStack Days
次回OpenStackサミットはドイツ ベルリンで 2018年11/13~15 に開催される。
日本のOpenStackユーザ会は月に1回程度の頻度で勉強会を実施している。
日本におけるOpenStack Days Tokyo 2018 は 6/18から受付を開始する。
従来は無料だったが、今回は有料となる。
というようなことを説明されていました。
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総括
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OpenStackの(2013年から2018年までの) 変化を見て感じたのは、「OpenStackはどうやらやっと安定完成形になって来たらしい」ということです。CloudStackが2013年ごろに言っていたこと(新機能の強化を抑え、安定化、運用性(稼働中アップグレードなど)を重視する)を今、OpenStackが言っていることが印象的でした。
2013年ごろ、クラウドフィーバーに乗って時代の寵児となっていたOpenStackですが、一般化に伴いクラウドがメガパブリッククラウドプロバイダ(AWS, Azure, GCP)の独り勝ちとなり、彼らがCMS(Cloud Management System)を独自開発した関係で中小プロバイダやプライベートクラウドへ活路を見出すことになりましたが、これらももしかするとメガクラウドへと吸収されるかもしれないような勢い… 5年間という時の流れの速さを実感してしまいました。
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OpenStack Days Tokyo 2018
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OpenStack Days Tokyo 2018
http://openstackdays.com/
予告通り有償となっています。 事前登録による参加費用は1万円だそうで。 結構高い。
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