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マニュアルを賜る、ということ

2014-07-03 23:44:17 | Weblog

 80歳代の女性が20歳代だと装い、海外で怒られた模様。
 もちろん、嘘です。

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宮崎市の20代女性が旅券(パスポート)を申請した際、「平成」とすべきだった生年月日の年号を誤って「昭和」と記載したのを見落とし、実際より63歳年上となる生年月日のまま旅券を交付した
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とのこと。

 日本のアンチエイジング技術と、女性に対して年齢を問うのはマナー違反であるという認識が勝利したのに、海外では通用しなかった。悔しい...


という、笑い話ではない。

 発行過程で幾重ものチェックが行われ、パスポートが発給され、受け渡しの際にも本人に間違いがないか確認させた、のであろう。
で、誰か特定の人が悪いのではない。
悪いとすれば、最終的に入国時に拒絶されたパスポートに押してあるハンコの最高責任者だ(外務大臣?)。

 

 「幾重ものチェック」も大事だけれど、それは様々なコストを考えると不可能なので、最終的なハンコ(決裁)を部下に預ける、ということは普通に行われる。
 預ける者は、部下がその信頼に値するか審査する必要がある。そこには何のマニュアルもない。
 その後、 信頼に足る業務を行っているかも審査する必要があり、それにもマニュアルはない。

 あれ? 預かってる人ですが、その手のマニュアルが目の前にあって履行してますよ?
そのとおり。あります。ハンコを預けるにおいて、個人的な信頼の代用として、なんらかのマニュアルに沿って業務を行っている、こと、とする、合理的な判断。
 そのマニュアルを完璧に履行していれば、適宜出世するでしょう。そして、ハンコが授与されます。膨大な書類が降ってきて、いちいちチェックはできないので、部下に預けるでしょう。
その際、部下だったころのマニュアルを思い出して、そのまま継承しますか? より、自分がラクになるように改訂しますか? お客様だったり、会社全体だったりを考えて、自分への負荷の質が変わるように改訂しますか?


 そこで。
 例えば情報セキュリティの分野では「情報セキュリティマネジメントシステム」(ISMS)という仕組みがあって、その基準があって、準拠とか認定されていないと入札もできないぞぉ~、と恐ろしい。
 風の噂では、この仕組みに沿った取り組みを行っている、と 認定してもらうためには監査員への賄賂が必須、とか言われていて、さらに恐ろしい。

 ISMS自体はセキュリティの向上を目指すために、最低限のルールを決め、それが徹底されているかを点検し、ルールの矛盾や最近の周辺状況への対応の遅れを自覚し、ルールを作り直す、という仕組みなのに、監査は「ルールの点検」だけ。ルールを作り直すことは、被監査側はもちろん、監査する側にとっても面倒なので、むしろ抑制される。

 

 パスポートの話に戻すと、あからさまに20歳代にみえる人が80歳代と申請して窓口に現れ、窓口の担当としては「失礼ですが、年齢を詐称して査証を得ようとしておられませんか?」とオヤジギャグのひとつも発せようとするも、「女性に年齢を問うと窓口が統計上、xx分滞って、あなたの窓口処理のノルマが達成できなくなります」というマニュアルを思い出してそうしない、という状況が想像されて、恐ろしいことこの上なし。

 もちろん、ISMSの監査の際の訓練として、「改元が行われた」という仮題を提出しても、不敬だ、と一蹴される。先延ばし主義も克服されるはずの仕組みなのに。


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