数ヶ月前、祖父が逝った。
あらかじめ献体の意思を示していたので、告別式後に火葬場への霊柩車ではなく、大学病院から依頼された業者が遺体を引き取りに来た。彼の妻である祖母が、先に逝って、各種ボランティア活動に熱心な人だったので、同じ流れだった。
というわけで、数日後に行われる慰霊祭、すなわち、この1年間に預かった遺体と、解剖が終わって遺骨が返納される遺族に対する式典に出席予定である。
だが、心境は少し複雑。
最近の「終活」ブームで献体が選択肢のひとつとして注目されているらしい。
当然、登録者は増え、そのため、献体された遺体は、医学部医学科および歯学部歯学科のカリキュラムの解剖実習のためでけなく、コメディカルの分野の学生/現役従事者にも活用されつつある。
もちろん、それは歓迎されるべきだし、医学部・歯学部での解剖実習は、将来への覚悟というか倫理観を養成する大切な通過儀式でもある。でも、もっと有益に使えないのだろうか。
個人的には、標準的健康体の解剖は3Dプリンタあたりで人造したものを使って、粛々と。成績をつけるのも簡単になるだろうし。
そのうえで、献体された遺体はオートプシー・イメージング(Ai)した上で、本当の遺体解剖実習。とか。現役の従事者の「非破壊検査」(工学的用語。医学的にはなんていうの?)的技能も高められると思うのだけれど。
以上、医療に素人な遺族としての思いでした。