新・まちづくらーの地域づくり日記

日々取り組んでいるまちづくりやむらづくりの様子をご紹介していきます。

田舎、農山村でのビジネスが持続するには・・・その1

2014年04月17日 11時53分02秒 | 技術論など
今日は朝から大阪・梅田に参っています。午後からは本町に移動して打合せです。

さて、今年度、ひょうご21世紀震災記念研究機構の研究「人口減少下の多自然地域の魅力づくり~シニア世代を活用した新たなビジネスの展開~」というものに関わらせていただくこととなりました。
これは研究リーダーに、我がNPO地域再生研究センターの理事である三宅康成教授が就かれるということで、三宅先生から直々にお声がかかり、実務者、現場に携わる専門家として参画することになったものです。

そこで今日は、多自然居住地域(兵庫県ではこう呼んでいる)=所謂、中山間地域、農山村地域(小規模高齢化集落やそれを取り巻く地域地区)におけるビジネス展開について考えてみたいと思います。(とりあえず、“その1”として・・・)

私は現在、ブログでも紹介していますが豊岡市竹野町の『すのたにや』さんという、地域が運営されている湯豆腐料理のお店のカイカクに携わっています。ここでの諸々の課題から、特に“シニア世代”といったときに大きくぶち当たるハードルについて、まず一つ採り上げてみます。

さぁ、何でしょう?? 何だと思います?

すのたにやさんでは、昨夏からの議論の末、コース料理のメニューを刷新することが決まりました。
新たな一品として、旬のデザートが付くことになります。
柚ようかん、豆乳プリン、梅ゼリー・・・まぁ、地域の食材、豆腐づくりの際の副産物を巧く活用した新メニューです。
そして、価格も見直します。
まぁ、地域が運営する事業、ビジネスでは、なかなか変革というのは難しい・・・これも一つの課題ですが、これについては、また次の機会に考えるとして。

どのようなビジネスでも共通するのは・・・お気づきになりましたか??
我々のNPOでも、毎年毎年、ここが結構面倒なのですね・・・
そう、会計処理の問題なのです。
スタッフに企業勤務経験者が居れば、まだそうでもないのですが、個人(専業)で農業しかしたことがないとか、集落の奥さん方が中心になって取り組んでいるとかいう場合、この会計処理が問題となってくる。法人格を持とうが、法人格を有しない団体であろうが、ビジネス=収益事業を行うと、だいたい税務処理が発生する。しかし、このような税務処理の経験が無いと、なかなか上手くできない。
これが案外、経営を圧迫するのですね。多くの団体さんが、いちおう税理士さんなどの専門家にお願いして処理をしているのが実状だと思います。
まぁ、日々の管理を自分たちでちゃんと行っていれば、年度末の処理、チェックだけ専門家が関わるというので、経費的にはそう掛からない場合もありますが、これが常の管理も含めてお願いするとなると、結構大きな経費=報酬が必要となってくる(場合がある)。
今時なんで、パソコン使ってソフト使えば、簡単に誰でも会計処理ができる!!というのは、我々側の発想なのですね・・・
田舎の、しかも前述のような方々は、まだまだ今でもパソコンなんて使えない。メールさえ四苦八苦・・・というのが当たり前だと思った方が良い。

せっかく自分の時間と労力をかけて取り組み、やっとのこと僅かながらの売り上げを上げたとしても、ここから結構なウェイトで会計処理に掛かる費用が出ていく・・・自分の報酬さえもカットして工面する。収支トントンにする。

地域づくりの専門家が入っても、この裏側の部分は、なかなか見せてもらえない。しかし、このような悩みを抱えておられる事業体が結構多いのも事実。

多自然居住地域におけるシニア世代のビジネスを考えた場合、ここを劇的に改善する、簡素化簡便化する・・・
私は、事業の持続性、継続性を考えると、この問題をクリアしないと成立しないと感じています。

私自身は、今回の研究機構での研究では、ビジネスモデルやビジネススキームの構築はもとより、この部分を改善するビジネスツールの開発と提供も大きなテーマに取り組んでいきたいと思っています。
すると、『すのたにや』さんでも間違いなく、今よりみなさんの収入(賃金)が上がります。

まぁ、既存の汎用ツールを巧く改良してシステム化することになろうかとは思いますが。
どのような業種業態でも利用できるような会計処理システム、パソコンの不得手の方でも簡単に利用できるツール。

これ、ほんとうに大事なところだと思います。
みなさん、どうですか?

ということで、今年の研究テーマに絡めて、少し田舎でのビジネスを考えてみました。
豊岡出石・奥山の交流拠点施設「一輪亭」でも、これから事業に取り組んでいくことになりますが、ここでもきっと活かせるものと思っています。

ということで、また次回続きをお楽しみに。次は、その他諸々の課題について考えてみたいと思います。

ではでは。

「小さな拠点」づくりフォーラムin高知(その2)

2014年04月10日 17時35分16秒 | NPO活動
いよいよ4月に入りましたね。私は公私ともにバタバタと過ごしております。
今日は夕方から京都に参っております。学芸出版社でのセミナーに参加するためです。

さて、今日は以前第1弾としてご紹介した高知での小さな拠点づくりフォーラムの後編。
前回は初日のフォーラムの様子を中心にご紹介しましたが、後半は2日目の視察の様子です。

視察は高知市から北東に位置する津野町と、そこから南下して海辺の中土佐町に参りました。
次のような場所です。(視察のオフィシャルサイトはこちら
◾森の巣箱(津野町)…廃校を活用した農村交流施設
◾満天の星ほか(津野町)…学校跡地での特産品加工販売など
◾企画・ど久礼もん(中土佐町久礼)…大正町市場を中心とした企業組合
「満天の星ほか(津野町)」とありますが、津野町の本店ではなく、実際には高知I.C.にほど近い街中にあるアンテナショップの方です。

津野町は、農村というよりは山の中。
ですから森の巣箱は、どちらかというと“山村”交流施設ですね。
山の中らしく、木の建物ですね。
交流施設とありますが、宿泊機能などの来訪者と地域との交流施設という機能だけでなく、いわゆる“村のコンビニ”のような日用品の物販施設も併設した、地域内の交流機能も兼ね備えた施設なのです。

とは言え、扱っている商品は限定的であり、とても住民のニーズを満足するものとは言い難い・・・(私の個人的見解です。あしからず。)
まぁ、施設としては、そう特別なものとは感じませんでしたが、この施設で特筆すべきは、やはりイニシャルとランニングのかけかた。
整備にはおよそ9,000万ぐらいかかったそうですが、なんと100%行政負担・・・だそうです。あぁ、羨ましい・・・
兵庫県豊岡市出石町奥山も、交流拠点施設と滞在型拠点施設が開設されましたが、こちらは1/4を地元負担・・・総事業費は、そう変わりませんが、この地元負担を如何に回収していくのか。奥山では、今まさにこの部分が大きな障壁となっていますが、高知県は羨ましい・・・

そして、整備後の運営については、住民が各戸数十万円ずつ出資して、400万ぐらい集めて、それで運営しているそうです。しかも、日用品はここの物販施設で買うことが原則??とのこと。(ほんとかうそか、存じ上げませんが・・・)そうやって、辛うじて維持しているようです。

地元の人間にとって、それが本当に幸せなのかどうか・・・ちょっと考えさせられます。(住民個々人のご意見をうかがえなかったのが、ちょっと残念でした。)
奥山の交流拠点施設も、如何にオペレートしていくか。苦心しているところです・・・

それと、もう一つ「満天の星」
とても立派なアンテナショップです。
幹線道路に面し好立地。客足も上々のようです。レストランも併設されています。
芸能人に紹介された饅頭が有名だそうです。

どちらも、たいへん羨ましい限りの施設でした。
中土佐町の方は、正直、私の興味外の施設だったので割愛。(ごめんなさい)

ということで、高知での視察のご紹介でした。
ちょっと時間がないので、今日はここまで。

ではでは。