WEB想音

音楽、小説、アート等、多趣味人間の日記です

久々にレビュー?

2016-04-12 00:55:43 | レビュー

ここしばらく、何を観ても連投ツイ程度だったのですが、

ちょっと長文を書きたかったのでこちらに上げます。

あ、まあ、ちゃんとしたレビューっていうよりは

長めの雑感という感じなのでご了承下さいw

 

映画「リリーのすべて」を観てきました。

先輩に誘われたのでご一緒したのですが、

トム・フーパー監督は「英国王のスピーチ」もレミゼも観てるので

割と好みの監督といえなくもないかな…?

で、今回アカデミー助演女優賞受賞のこちら。

受賞したアリシア・ヴィキャンデルは初めて見る役者さんなので

注目しようと思ったのですが、

やはり主人公に釘付けになりました。

レミゼ以来のエディ・レッドメイン。

チラシなど静止画像では、うーん、やっぱ三十代のオトコ…と思ってたのですが、

映画での彼は本当に美しくて、いやもう。

もともと首の長い人がバランス的に美しいと思うんですが、

当初不安げなスーツ姿の男性アイナーにハートを撃ち抜かれ(死語)ました。

そのスーツ男子がストッキングとバレエシューズ(これまたフェチな組み合わせ)を

嫁に渡され、恥じらいながら身に付けるシーンはこの映画のハイライトのひとつ。

それをきっかけに自分の中の女子を発見(厳密には再発見ですが…)したアイナーは、

悪ふざけと思った嫁の協力により、メイクやウォーキングの練習をして

従妹のリリーとしてパーティーにデビュー。

同性愛者の若者といい感じになってしまいます。

それは危機感を持った嫁に阻止され、

本人ものちに私はゲイじゃない…と自覚するのですが、

アイナーの中のリリーは存在感を増し始め、

彼の仕事や夫婦の関係に亀裂を生じさせていく…というお話です。

実話ベースのフィクション。

モデルは世界で初めて性別移行手術を受けた男性と、彼を支え続けた妻。

夫婦の無類の愛がコピーでは謳われてましたが、

実際に観た印象はちょっと違いました。

妻ゲルダに依存しながらも本当の自分であるリリーを抑えられないアイナー。

夫アイナーを支えつつも、リリーを認められず夫の男性の部分を求めてしまうゲルダ。

愛というよりエゴのぶつかり合いの方が比重として大きかったような印象です。

でもトランスジェンダーの〝治療〟に取り組む医師と出会い、

外科手術という手段を選んでからは

二人はそれぞれのあるべき姿に納得したように見えました。

それはもう、夫婦の絆とはまったく違う同志愛のようなものでしたけど…。

抗生物質もない時代、大がかりな外科手術は死を選ぶに等しかったけれども、

性別の違和感から解放されていくアイナー=リリーはとても満たされているように

見えました。

かつて堅苦しいスーツ姿だったアイナーの自信なさげな表情と、

だんだんメイクも薄くなり、最後には愛用のウィッグも捨てて

研ぎ澄まされたように本当の自分になっていくリリーの壮絶な最期。

美しいけれども、恐ろしいものを見た。

それが率直な感想です。

 

ただ、ちょっと違和感を覚えたのが

トランスジェンダーの方の気持ちを理解するのは私には本当に

難しいのですが、それでも、

主人公の考える〝女性〟が、美しく着飾り、恋をして、子を産むという

価値観を全面支持しているあたりがなー。

なんかそれに固執されると萎える自分がいる訳でして………。

時代背景を考えればそれが当たり前だったのでしょうが、

モデルとなった人物が、女性器の移植まで受けていたことを考えると

(このへんは映画では描かれませんでした)

当時のグロテスクな闇を見た感じは否めませんでした。

昔を舞台にした映画を撮ることが多い監督なので、

割と奥ゆかしい女性の登場が多く、評価も高いのですが、

ディズニープリンセスでさえ恋愛至上主義でなくなった昨今ですので、

いずれはそういったクラシカルな価値観を脱ぎ捨てた

生き生きとしたヒロイン像も見てみたいような気はします。

 

…うまくまとまりませんが、今回はこのへんで。

上映期間も残り少ないようですし、

ご興味をもたれた方はお急ぎ下さいね。

 

コメント
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