男物襦袢です。しゅるんとしたキモチのいい絹です。状態もヨシ。
黒主体なので、ジミと言いますか、全体に暗いんですが、
汚れ目立たなくていいですね。女物に作り変えてもいけるなぁ…と思っています。
「入れ物の柄」というと、巾着は宝尽くしの中にありますが、
あとは煙草入れ、印籠などが一般的、これは珍しくも「財布柄」です。
ガマ口財布がありますから、比較的新しい柄ですね。
描いてある「銭」も古いものの中に「五十銭」もありますから。
お金が入りますように、という縁起かつぎの柄なのでしょう。
今のポーチのようなふたを閉めるもの、紐つき巾着、周りのお金も江戸時代のもの。
この縞の巾着の紐先についた根付、かわいいですねぇ、奴さんですよ。
こちらはガマ口いろいろ、ちょっとおしゃれですね。
昔、母親が買い物に行くとき前掛けのポケットに入れたりしていたのは、
右下のような感じだったと思います。
あのころの「おかあさん」たちは、みんな「ガマ口」でしたね。
札入れというのは男性しかもたなかったのではないでしょうか。
さて、財布の歴史…となりますと、これは「貨幣の歴史」ということになります。
まずお金というものは、その価値によって「モノと交換できるもの」です。
昔々はほしいものがあれば「物々交換」していたわけですね。
それは、自分の持っているものと相手が持っているものを交換しても損はしないだろうか、
という「価値判断」によるものです。どうしてもほしければ、多少こちらが損をしても替えたことでしょう。
そういう中から「価値の基準」みたいなものができたわけで、例えばゼッタイ必要な米や塩は、
どれとでも交換できるものになっていく…つまりモノだけどお金と同じ力を持つわけです。
これを「物品貨幣」といいました。
やがて「金属」の中で価値が高いとされるものが、何とでも取り替えられるものとして定着したわけです。
日本で最初に使われた貨幣は「和同開珎」と、学校で教わりました。
しかし、ごく最近になって「富本銭」というお金が奈良の遺跡からみつかったということがありました。
この「富本銭」というのは、あることは分かっていたのですが、「和同開珎」より先に作られた事は、
そのときまで確定していなかったそうです。実際には流通しなかったらしく、
いわゆる呪術的なものだといわれています。
実際に社会の中で「貨幣」としての価値を持って使われた、つまり「通貨」として使われたのは
やはり「和同開珎」だということは、変わらないようです。
さて、お金はこの「和同開珎」以降は、貨幣ごと中国から輸入というカタチで、これはずっと続きます。
秀吉の時代にようやく「貨幣」が作られましたが、このころの貨幣というのは全国共通ではありません。
それぞれ金山や銀山を持つ地域で、独自に作りました。武田氏の甲州金は有名ですね。
秀吉で有名なのは「天正大判」などですが、実際に通貨にはなりませんで、
こういうものは「重さ大きさ」で価値がありますから、戦の功績に対する報酬報償として使われました。
ですからはっきり同じ形にできていたりはしなかったのです。
貨幣というものがきちんと制度化されたのは江戸時代になってから。
このとき、全国流通の通貨のほかに、各藩で藩内だけ流通する「藩札」というお札を出しました。
これが「紙幣」の始まりです。
つまり、札入れというのはこのときから必要になったわけですね。
それまで「銭」だったわけですが、古来より日本で使われた「銭」には、穴がありました。
そのため、何枚かの小銭だけを持ち歩くときは、巾着のような袋、皮袋が重宝されたようです。
そして、たくさん纏めておくときは、紐の先に結び玉をつくり、ここに何十枚、何百枚という単位で、
銭を通してオシマイのところも結び玉にして、いわば「1本2本」と保管したわけです。
日本では「結ぶ」ことについては、たいへん素晴らしい文化を作り上げてきましたが、
たとえばボタンとか金具を留める…という文化は、ごく一部の特殊な衣装や道具だけで、
一般的な日用品では、普及しませんでした。
それで、みんなが貨幣というものを持って歩くようになったとき、一番使われたのは「巾着」です。
この図柄の巾着は、今ふうに口をきゅっとすぼめていますが、実際に使われたのは、
ちょっとカタチが違って、縦長の袋の口に長い紐をつけ、銭の入った底の部分から、袋をくるくるとまき、
それを紐でまたグルグル巻きにする…というカタチが多かったようです。
一般の人は、大判小判なんてものは縁がありませんでしたから、一文銭やせいぜい一分銀くらいなら、
小さい袋で十分だったのですね。
一方「札」を使う身分の人は、紙入れが必要になりましたが、これは「茶」の世界で、
懐紙いれなどの技術がありましたから、今の札入れのようなものを作るのは簡単だったんですね。
ガマ口は近代にはいってからのものですが、パカッとあけると「ガマガエル」の口に似ているところから
ガマ口といわれるようになったわけです。実はこういうパカッと空くのは「ワニ口」とも言うのですが、
財布に限って言えば「カエル」は「お宝かえる」「無事かえる」…のあれです。
だからお金がまた返ってきますように、と縁起もこめて「ガマ口」としたんでしょうね。
私はすでにガマ口を使ってはおりませんが、結婚したてのころは使ってました。
お財布ってなんか捨てられなくて、今でもとってあります。
どっちにしたって、中身のほうは、いつの場合も「長期滞在」はなさってくれず…ですねぇ。
小銭だけは、なぜ底にたまるようにして、いつまでもあるのでしょう…。
お金は天下の回り物と言いますが、本当に
通り過ぎるだけです。
子供の頃からでも、お金は随分変わりましたね。
満月の日に中を空っぽにして月の光でお清めするといいとかで
話のタネにとやってみたら…ちょこちょこ貯まりました。
意識もあるのでしょうね。
ご参考に^^
おそくなってすみません。
ほんとにおもしろい柄です。
こんな財布ほしい…とか。
なんだか今月は特に崩すといつの間にか…。
小銭ばかりがたまります。
聖徳太子の1000円札、今でも持っていますが、
出してみると、なるほど今の「偽札防止」の技術はすごいと思います。
日本のお札って古いものでも外国のものに比べると、
とてもきれいな気がしますね。
台所に置かないというのは聞いたことがありますが、
「月光消毒?」は初めて聞きました。
よしっツギの満月は、一晩中がんばってみるかっ!
風邪ひいて医者代が高くついたりして。