先日、私の好きな洋品屋さんの店員さんから、電話がかかってきました。いつもお世話になる方です。
電話は、お母様の着物を整理して、いらないものの先行きを…というお話。
着物は嫌いではない方で「実は欲しいものはみんな取り分けちゃったんです。残ってるのは…」と
そんなお話でした。捨てるのもどうもねぇ、というのは、たとえ地味で汚れていても、
お母様のものだと思うと、捨てるに捨てられない…それはわかりますねぇ。
幸い、私には、なんとか先行きを考えてあげられる情報がありますから、
どうぞ送ってくださって構いませんよ、と申しました。
それがドーンと届いたわけです。まさかこんなにあるとは思いませんでした。
よく「お母様の、お姑さんの」というものをお預かりしますが、着物が好きだった、といっても、
だいたいは10枚くらいのもの。それが今回はまぁ着物も羽織も、男物も女物も、
全部合わせて50枚くらいはあります。ひょえぇぇぇぇこんなに。
本当に着物が好きな方だったのだと思いました。繰り回しなども丁寧になさっています。
全部広げるのはこれからですが、楽しみです。
というわけで、これを書いている現在、玄関は箱をまたがないと表に出られません。
出たところにはもうひとつの箱が、デンと置いてあります。
何とかして今日中に、家の中に入れられる状態にしないと、
着物さんたちを一晩野宿させるわけにいきませんからねぇ。
というわけで、急にバタバタやっています。で、とりあえずみつけた「お宝」。
大島の男物羽織、表も状態よく、しかも薄くワタが入っています。
そしてなにより…羽裏。いわゆる戦争柄、でした。あいだの横段に入っているのは爆弾です。
こんなのが空から海から雨のように降り注いで、日本は壊されていったのですね。
男物ですから、ご主人様のものでしょうね。
この図柄からして、戦前のものと思います。ちょっとだけシミもありますが、丸洗いに出してみましょう。
ほかにもいろいろと、写真でご紹介したいものはたくさんあるのですが、
とりあえず玄関を通れるようにしないと、なので本日これにて!
一枚ずつ広げて見るだけでも時間が
掛かりますね。
またどんな素敵なものが出てくるのか
楽しみでもありますね。
戦争柄の羽裏ー素敵!
こうした柄がアンティークの魅力ですね。
でも整理も大変ーお疲れの出ないように頑張って下さい。
私も我が家にやってきて手をつけていない一山が廊下にずっと置いたままーー何んとか整理しなくてはと思いつつ重い腰が上がらない!!!
ずいぶんとふるい素材もあったりして、びっくりです。
大事に着られていたものもあって、
昔のヒトの手仕事のすごさを思います。
それにしても…作業場がほしいですー。
いやいやほんとにすごいです。
実際には、今ご高齢の方のところには、
こんな感じでまだまだ、たくさん着物が眠っているのでしょうね。
片付けを始めるとすわりこんでしまい、一枚ずつ広げて眺めたりが、
ながくなってしまうんですよー。
いつになったら全部終了することやら。
このお柄は、何となく日露戦争っぽいですね。
見渡す限りの平原に、砲撃が落ちている所とか、写真か絵で見たような風景です。
大正~昭和10年代というと、アールデコとかデザインもモダンな感じの時期ですよね。
「戦争柄っていうのはどうも…」と思いながらも魅力的に見えてしまうのは、そういう時代のデザインだからかなあと思います。
整理は大変でしょうが、古いものを色々手に取って見られるのは羨ましい限りです。
私も岐阜はシベリアに4年も抑留されていた人ですし、
戦争柄は好きかといわれれば、ちょっとね、と思います。
いまよりずっと「社会情勢」がこういうものにも影響を与えた時代ですから、
私は二度とこんな柄が作られないように、という思いで、集めたりしています。
勇ましいし、子供の柄などは、かわいいのですが、やはり「実際の戦争」を思えば(戦後生まれではありますが)
どこか物悲しさを感じますね。