ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

えっとボク幸太です。

2006-09-30 21:38:12 | つれづれ

こんばんは、みなさんお久しぶりです。こうたです。
今日はおかーさんが「ほんとはハギレの記事を書くつもりだったけど、
ちょっと忙しいから、こーた変わりになんかお話して」というので、
ボクがお話します。こーゆーのは「ピンチヒッター」っていうんだよね。

ボクがとんぼ家のコになったのは7月の暑い頃、もうすぐ2ヶ月になります。
少し涼しくなってガード「ワ」ンのお仕事も、ラクになってきました。
おかーさんのことも、いろいろわかってきました。
おかーさんはあんまり出かけないけど、出かけるときは、
「こうた、お留守番頼むね、いってくるよ」とアタマをポンポンとしてくれます。
ぼくは声を出してしゃべれないけど、心の中で「任せてっ!」と答えます。
でも、すぐには「いってらっしゃい」って言いません。
だっておかーさんは、一回で出かけたためしがないから・・。
玄関のすぐ横に車が止めてあるんだけど、たいがい戻ってきます。
「ケータイ忘れた」「メガネ忘れた」「電気消してない」・・・。
この前は、ものすごい勢いで鍵あけて玄関にとびこんだので、
どうしたのかな、と思ってたらGパンにはき替えて出てきました。
その前まではいてたの、あれ・・パジャマだ・・・。

いつも元気なおかーさんだけど、このところちょっと難しい顔したり、
今まで夜でかけたことなんかなかったのに出て行ったり・・。
なんかへんだなぁと思っていたら、少したっておじーちゃんがきました。
ボクのすぐ前でおかーさんと二人で何かお話していました。
「ながちょうばだから」とか「ににんさんきゃくで」とか、
ボクの知らない難しい言葉を使っていました。なんだかわからないけれど、
何かあったんだなって思っていました。
それから少したって、今度はおばーちゃんもいっしょに来ました。
おばーちゃんは、歩くのがゆーっくりゆーっくりです。
そしていつも、ボクを見て「おまえはええこやな」と言ってくれます。
その日、おじーちゃんとおばーちゃんが帰ったあと、
おかーさんがボクの前にすわって、いつものようにアタマをポンポンしながら
「こうた、おばーちゃんね『物忘れ病』になっちゃったんだよ。
もしかしたら、いつかこうたのことも忘れちゃうかもしれないけど、
こうたが嫌いになって忘れちゃうんじゃないからね」といいました。
おかーさんは寂しそうでした。おかーさんが夜でかけたりしたのも
おばーちゃんのびょうきのためだったんだね。
忘れられちゃうのはさびしいけれど、嫌いになったんじゃないならいいよ。
びょうきならしょうがないもんね。でもだいじょうぶだよ、おかーさん、
おばーちゃんがボクを忘れても、ボクはおばーちゃんのこと忘れないから。



ボクがおかーさんと会ったのは、大きなお店のフロアだったね。
ボクはおんなじところに、たくさんの仲間といっしょに並んでた。
他のコは、どんどん買われていくのに、ボクを買って(飼って)くれるひとは
なかなか現れなかったんだ。ボクを見て「かわいいね」って言ってくれても、
「ちょっと大きいよね」とか「耳の垂れてるほうがいいね」とか・・。
ある日、女の人が前を通ったとき、ボクを見たんだけど、
ずーっと見ながら行っちゃった・・。そのひとは帰るときもボクの前を通ったけど
おっきな荷物を両手にぶらさげて、見てただけで立ち止まらなかった。
それから何回も、そのひとは通るたびにボクを見てたけど、
いつもそれだけだったんだ。一緒に並んでた友達は、みんな売れちゃって
新しい友達がきたけれど、ボクはずーっとすわってた。
ある日、またあのひとが通ったんだけど、その日はボクの前にすわると
「待っててね」って言ったんだ。ボクはドキドキして待ってた。
でもちっともこないんだ。やっぱり連れてってもらえないのかな・・
と思ってたら、突然お店の服を着たおねえさんが来てぼくを抱えた!
ボクは心の中で「だめだよ、ボクあの人に待っててって言われたんだから」と
一生懸命叫んだけど、おねえさんには聞こえない・・。
どうしよう・・と思ったら、グルッとまわった大きな台のところで、
あのひとが立っていて「車だから、このまま連れて帰ります」と言った。
「やたっ!」ボクは心の中で「ワワワン・ワワワン・ワワワンワン」って
さんさんななびょうしで吼えちゃった!
「お包みしませんので、テープ貼っときますね」って言いながら、
おねえさんがボクの鼻のアタマに、お店のテープを貼ってくれた。
まわりにいたひとはみんな「あはは」って笑ったけど、テープはボクの勲章だ!
ちゃんと住むところが決まったんだもの。
おねえさんに運ばれて、ボクは銀色の車の中にいれてもらった。
「かわいがってもらうのよ」とおねえさんが言ってくれたので、
聞こえないとは思ったけど「がんばるよ!」って答えたよ。
大きなバッグに入った野菜やお肉と一緒に車に揺られて、
ボクはここのうちに来たんだ。女のひとは、ボクを抱えて玄関のところにおろすと
「今日からここのうちのコだからね、え~~っとぉ・・コーギーだったしねぇ
オマエの名前は『こうた』」にしよう!こうたのこうは幸せって字だよ、
あたしはおかーさん、よろしくたのんまっせ」って言ったんだ。
よくわかんない言葉もあったけど、ボクはこうたって名前をもらったってことと
ここでオシゴトするんだってことはわかった。がんばるぞっ!って思ったよ。
おかーさんは、それから車にもどると、おっきな荷物をおろしてきた。
「こーたぁ、手伝えっ!」(そりゃムリだってば)そういいながら笑ってた。
ボクは荷物を運んだりできないけど、ここでしっかり門番するんだって思った。
ときどき、あのお店のフロアで、おかーさんがいっつもボクを見ながら
通り過ぎていったころのことを思い出す。あの頃、ボクの上の棚にいた
「ふくろうさん」が「おまえさん、きっとあのひとのところへ行くよ」って
言ったことがあったっけ。どうしてって聞いたら「えんってもんさ」って・・。
「えん」ってなんだかわかんないけど、ふくろうさんの言う通りになったんだから
「えん」って、とってもいいもんなんだと思う。
ぼくは「えん」ってことば、大好きだよ。

おかーさん、お話こんなでいいのかな。ボクおシゴトに戻らないと。
それじゃみなさん、またおあいしましょう。




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7 コメント

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Unknown (陽花)
2006-09-30 22:09:34
お久しぶりです、こうたくん!

こうたくんはお利口さんだからお留守番も

おかあさんのお手伝いも出来て偉いね。

おかあさんを守ってあげてね。



こうたくんのお話を読んでいて光景が眼に

浮かびます。

とっても素敵な本だと思います。
返信する
こうたくん、はじめまして♪ (因幡のうさこ)
2006-10-01 11:34:57
はじめまして、わたしはりさこさんちの下駄箱の上にいる「うさこ」と申します。うさこは、りさこさんちの玄関番をしていますが、ポケットに靴ベラを持ってるので、それを渡すお仕事もあります。でも、りさこさんは最近、下駄や草履ばかりで靴ベラを使ってくれないの。旦那さんは毎日、わたしの靴ベラを使ってくれるから、最近は旦那さんになついてます(^^;こうたくんも、玄関番のお仕事頑張ってね♪
返信する
こうたくん♪ (蜆子)
2006-10-01 18:14:38
そう、ごえんなんです。

こうたくんがとんぼさんちにごえんがあったごとく、わたくしもとんぼさんにごえんをかんじてます。

ごえんのわって、なんとなくつながり、ひろがっていくものとおもってます。

こうたくんともごえんをむすんだきになってます。

こうたくんのおしごとはかわらぬつぶらなひとみをとんぼさんのかぞくにいつもむけ、みまもりそれとなくげんきをあげることです。ごえんのわでこうたくんもおうえんしています。
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幸太くん (マロウ)
2006-10-01 20:08:42
とてもいいお話をありがとう。



うちに犬がやってきた11年前の

出来事を思い出したよ。

それもごえんだったんだね



“おばーちゃんがボクのことをわすれても

ボクはおばーちゃんのことわすれないよ”

その言葉

胸がキュンとなっちゃたよ



ずーと可愛がってもらってね

そして、みんなを守ってね
返信する
Unknown (こうた)
2006-10-01 20:40:16
今日はこうたがお返事書きます。



陽花さま

いつもおかーさんがおせわになってます。

ボク、がんばっておしごとします。



因幡のうさこさま

はじめまして、こうたです。

うさこさんも、おしごとがんばってるんだね。

おとーさんは、ボクのケガふさふさなのが

うらやましいんだって。そーいえば・・・。

お互い、がんばろうね。



蜆子さま

おかーさんとも、ボクともごえんをありがとう。

ごえんってふしぎなものなんだね。

もっともっと「ごえんのわ」っていうのが

ひろがりますように。



マロウさま

マロウさんちのわんちゃんも、

とってもかわいがってもらっているんだね。

ボクもがんばっておしごとして、

ずーっといっしょにいます。





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幸太くん はじめまして (ねね)
2006-10-02 21:08:03
わたし ねねの実家に17年も住んでいたアバラと

申します。ずいぶん前にお星様になっちゃったけど

ねねは わたしのこと時々思い出してるみたい。

とんぼさん一家を癒してあげてね。
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Unknown (こうた)
2006-10-03 00:04:58
ねねさまのアバラさんへ

きっとずっとアバラさんのことは忘れないと思うよ。

長いこと家族だったんだもの。

ボクもずっと家族でいるよ。がんばるからね。
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