ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

小紋の続き2です。

2013-03-27 21:12:00 | 着物・古布

 

小紋のお話の続きですが、はてさて、今日で終わるのか…またしても長ーいですので。

そのかわり写真もいっぱいです。

なのに、トップ写真は、全然関係のない「ウチの八分咲きさくらちゃーん」です。きれいになってきました!

 

さて、以前にも書いたと思いますが、着物や反物を買うときは、

鏡の前であててみて、50センチ、1メートル、3メートル以上…で、見るのがコツ。

50センチは鏡では倍になりますから1メートル以内、誰かと一緒の距離です。つまり家族とか友人とかの目線。

1メートルはつまり2メートルくらい、そばにいる人、例えば電車やバスなどを待っているときとか、

喫茶店で少しはなれた席にいる人とか…の目線。

3メートル以上は、かなり離れている人からの目線です。

柄の細かいものは、だんだん無地っぽくなりますし、大きな柄でも色の濃いところがあるものは、

そこだけ目立ちます。ゴチャゴチャした柄は、色が前に出ます。          

反物で見ているときはわからない「見え方」に気をつけないと、着物にしたらなんかハデ、なんかジミ…

なんてことがありますので、じっくり見てください。

 

同じ小紋でも、柄がうんと少なく、ぽんぽんと飛んでいるようなものは

「飛び柄小紋」或いは「飛び小紋」などと呼ばれます。

これは、柄が少なくても必ずしも地味とは限りませんし、一つ一つの柄の大きさなどでも、印象が変わります。

私物です。まだ仕付け糸ついたまま。遠くから見ると、なんか白いものが飛んでる…。

わかりづらいのでちょっと白っぽくしました。実際には真っ黒…です。

下の仕付け糸が袖、すそを半分から折り返して重ねています。

地色は黒ですし、柄が小さいし数が少ないので「ハデ」には見えないと思うのですが…何の柄かは、またあとで。

 

                  

 

同じ柄の数が少なくても、一つの柄が大きい場合は「カマ柄」といわれます。

これは頂き物の洗い張り、実は縫い取りお召しなので「小紋という染柄」ではないのですが、

柄の大きさということで出しました。

なんとかコートにして着たいと、画策しているのですが、まだ妄想中。

あまりに柄が少ないので、背が低い私は、着物にすると柄が二つくらいしか出ないし…です。

 

           

 

染ではなく織りですので、コレだけ見ると帯みたいですね。

 

   

 

こうなると、一つでもすごいハデ、ですよね。 

これは以前カマ柄の説明で書いておりますが、正解ではないかもしれないということを踏まえてのお話で、

「カマ」は「ユニット」のこと。つまり昔は人間が二人がかりで手で動かして織っていた帯などが、

ジャガード織り機というものが発明されて、織るための指示を出す「紋紙」というパンチカードのようなものを

入れるだけで、格段に早く織れるようになりました。この機械を並べて織る時、

例えば帯5本分の経糸をかけて、1ユニットごとに同じ柄を織る…。

染の世界では、一度の染を一釜という言い方をします。毛糸で言うロットですね。

この「一つの釜で、ひとつの染め」から、反幅にひとつの柄をカマ柄というようになった…というもの。

この大きく一つ…というのものも、特に昔の縫い取りお召しなどでは見かけます。

 

そして「総柄」と呼ばれた「びっしり全部豪華絢爛」がこちらです。

明治のジミさから抜け出して、大正から昭和にかけて、こんなのが大流行しました。

これはオトナ着物の繰り回しで作ったらしき、女の子の着物です。

これも昨日ご説明した「一方付け柄」、なのでこれは背縫い部分ですが、右と左の身頃で

反対につき合わせて、柄が一方向であることを目立たなくしています。

 

        

 

そして昭和30~40年代は、今風の「小紋らしい小紋」がたくさんあった時代です。

昭和40年の、例によって婦人雑誌の付録。「婦人倶楽部」のものから。

これは「普段に着られる小紋」として紹介されているものです。

佐久間良子さんお若いですね。左は榊原るみさん。

 

        

 

右の佐久間さんの着物は、ウールにもありそうな、言葉はわるいですが「よくある柄」、

アップするとこんなです。

 

      

 

るみさんの方は、私の好きな「町の風景柄」、雲取りのなかに俯瞰した町の通り。

色が金のように見えますが、薄い茶色です。佐久間さんの柄と比べるとなんとなく「格調」という言葉が浮びますね。

 

      

 

こちらも「普段」となっていますが、岡田茉莉子さんの着物、なんかつけ下げか絵羽付けみたいに見えますね。

大谷直子さん、カオ、こわいです…。

 

         

 

でも実は袖を見るとわかりますが…見やすいように袖部分を横向きにしました。

反幅の左側に大きな松、真ん中から右にかけて小さい松を間をあけて飛ばしています。

つまり、うまく柄あわせをして縫い合わせると、前の部分が裾模様のような感じに仕上がるわけです。

小紋っておもしろいですね。

 

      

 

大谷さんの方は、柄は多色使いの「田菱」柄。

 

      

 

こんなに柄は大きいのですが、「菱」ということで、シャープな印象ですね。

紋柄ですし、お遊びの感じが薄れます。

ちょっといい文を見つけました。上の「ふだんに着られる小紋」の説明です。

<単に繰り返し、模様がつけられているふつうの小紋は、改まった席以外、自由にいつでも着られます。

ふだん着とは言っても、染の着物ですから相手に対して失礼になる装いではありません…>

つまり、どれも小紋は小紋だけど、大柄だったり、おとなしかったり、ちょっと格調高かったり…なので、

洋服で言うなら、それなりにきちんとした服装タイプ…ということですね。

 

こちらは「趣味の小紋」となっています。「趣味」ってこの前お話したことですね。

どこがどう違うか…ここでは、例えば草木染、ろうけつ、紅型…など。

つまり、ちょっと個性的でオシャレ度が高い感じ?難しいですよね。

 

         

        

 

いずれも、紅型風だったり、ろうけつ風だったり…つまり、気心知れた友人と、ワイワイおしゃべりしながら…

というような気楽な小紋…ということです。

 

最近は、着物で行く、というだけで「オシャレ」と思われたりしますから、

昔ほどうるさく言わないですが、例えば母の時代などは、休みの日にどこかへ遊びに行くとき、

相手が紬なら自分も…とか、相手が先輩格の人で、その人が小紋なら自分は紬は失礼…とか。

まぁそんなことも「気ぃ使ぉたもんや」と、母が言っていました。着物の格によることですね。

上の小紋でも、いきなり並べられて普段用とオシャレ用、どっちがどっち?といわれても、迷うものもありますね。

そこまで気にすることもないかと思いますが、それよりもなによりも…小紋って楽しい着物だと思いませんか?

 

紬はどうしても、ジミという印象があります。渋い、とも言いますね。

若い人はジミな色を着ても合わせるもので、若々しく装えます。

私くらいになると、ジミがピッタリアタリマエ…になりますから、紬も色の明るいものなどを選ぶ…

そんな風に変わってくる気がします。小紋はその点、それこそいろんな色柄がありますから、

どんな年代でも、自由に自分の印象を変える、自分の思いをアピールする…そんなことも可能なわけです。

例えば…最初の私の「飛び小紋」

柄のアップはこちらです。

 

       

      

      

 

へっへっへ…近くで見たら「かわいい柄」どっしゃろ…今、どなたか吹きました?

いえ、別に「アタシ、かわいいでしょ」とアピールしたいわけではないのです。

黒に白いものが飛んでいて、一見シャープな感じにみえるけれど、実はおサルさんだったりゾウさんだったり。

「そんなにカタイ人間じゃありまへんでぇ」と…、あっそんなことは、とっくに知られてましたねぇ。

    

また話が中途半端で終わります。

次回は「小紋を選ぶとしたらどうします?」なんてお話でもしてみましょうか。

実は私もいつも悩んでますが…。


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13 コメント

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付下げ小紋 (うまこ)
2013-03-27 21:55:24
昨年ヤフオクで落札した染め麻反物、
ぼちぼち仕立てでもと思って広げると
付下げになっていました。
初めて見ましたが、裁断場所がよくわかって、いいですね!
ただはっきりとした印はないので
裁断位置によって柄が上下するので難しいです。
柄は10cm位の庭の花(スミレの株など)が
所々に飛んでいるので、もし仕立て上がると
跳び柄の小紋風になるのでしょうか。
右のおくみにはほとんど柄がないので
左右の身頃はどちらが右か左か
おくみの柄とつきあわせて考えているところですが、
難しいです・・・・・(^^;)
反物のままではどうもよくわからないので
裁断に移ろうか・・・まだ決心できかねています。
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Unknown ()
2013-03-27 22:36:05
うまこさんのコメントに反応してしまった
菫が大好きな私
良いなぁ

さて 30年代40年代(昭和ですよ)となると
まさしく 嫁入り前に着物を作って貰っていた時代ですので
写真の様な小紋がありました。
正月に友達の家に着て行ったら 鳩?と言われた鶴の柄とか
(岡田茉莉子さんが着ている写真の松の小紋柄にも似ています)
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こんばんは (露草)
2013-03-27 23:13:40
「ザ・小紋」な柄、好きです。リサイクルショップなどに行くとけっこうたくさんあったりするんですけど、いざ買うとなると「着るかなぁ?」となってしまって…f^_^;

40年くらい前までは、電車に乗ってちょっと大きい街のデパートなんかに行くのにも、わりときちっとしたワンピースやツーピースにハイヒールなんか履いて出かけましたよね。「小紋」てそういう場面で着るイメージです。あと学校の参観日とか。
今はどっちもジーンズで行っちゃうので、小紋を着る場面が減ってしまっている感じですね。


私も菫、大好きです。パンジーとかじゃなくて、普通に道端に咲いているのが。

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Unknown (天鼓)
2013-03-27 23:33:07
始めの小紋、動物柄かな?(尻尾があるような感じだったので)と思ったのですが、随分かわいらしいのが…。
薔薇柄のに似た柄行きのお召し、母からの着物にあります。
同じくらいの大きさの薔薇ですが、花のすぐ下に葉が2~3枚付いている柄が飛んでいまして、赤紫にちょっと濃い同系色で柄が織り出されています。
柄が大きいので、やはり膝下にかろうじて3つ花が見える程度です。
赤紫はあまり好きな色ではないのですが、祖母の好みで数枚も回ってきていて、悔しいことにこれが似合うという…血のつながりって怖いなあと毎度思います。

中ほどのピンクの着物、昨日の竹柄の着物と同じく、昭和初め頃までの着物って華やかで、すごく思い切った柄が多くて見ていて楽しいですね。
「婦人倶楽部」のものは、1枚目の2着はともかく、その他は結構色鮮やかで、今の着物雑誌では見かけないタイプですね。
古いの、あるんですが…今の誂えの方たちと出掛けるときは、ちょっと着にくい…って感じです。
着付けも、今の雑誌だとだいたい誰でも同じように着てますが、襟合わせ・衣紋・帯の高さもちょっとづつ違っていて、着物がまだ生きていた時代という感じがします。
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追加です (天鼓)
2013-03-27 23:34:22
鉢の桜、きれいですね。
満開の姿もぜひ、拝ませて下さい。
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Unknown (陽花)
2013-03-28 00:01:54
桜の盆栽とっても綺麗ですね。

黒地の小紋、遠目からはゾウさんが
分かっただけでした。
多色使いじゃなくて可愛い柄で幅広く
着られる感じでいいですね。
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小紋 (kitty)
2013-03-28 12:01:18
そういえば 昔(若かりし頃)
お茶のお稽古の時に良く着ていました!
でも お茶のおけいこもしていない今は
小紋を着る機会が 格段に減ってきています!
昔良く着た大柄の手書き小紋は 色は紫がかったピンクなので 今でも充分着られる色なのですが
なにぶんにも柄が大きく派手に見えるので
ほどいて洗って 長襦袢候補として お仕立てされるのを待っている状態です!
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Unknown (とんぼ)
2013-03-28 20:41:49
うまこ様

とび柄は、最初の柄の位置決めが難しいですね。
左おくみを決めるところからはじめる…と、
なんとなそれでやっています。
片身代わりとか、浴衣のような柄とか、難しいです。
よーく見てお仕立てください。
それにしてもスミレ柄、珍しいですね。
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Unknown (とんぼ)
2013-03-28 20:44:22
惠様

すみれがお好きでしたものね。
珍しいと思います。拝見したいですね。

はと→鶴…わらっちゃいけませんが、
見るほうがわからないと言うのもありますよね。
いつぞやの留袖のように、かるがも→おしどりだったりとか。
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Unknown (とんぼ)
2013-03-28 20:46:45
露草様

最近はおもしろい小紋を見かけません。
一番自由で楽しいんですけどねぇ。
オシャレ着として、いつでも着られるものですから、
楽しんでお召しになってください。

すみれ、自然に生えているのは、なかなか見なくなりました。
ぺんぺん草はあるのになぁ。
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