ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

お仏飯

2018-06-23 01:44:30 | つれづれ

 

母は話の中では「おぶっぱん」と呼んでいた気がします。ふだんは「仏様のごはん、さげといで…」でした。

昨日、ちと下げるのが遅くなりまして…それでこんな話題になりました。

 

トップ写真は、借り画像、いつも「好物ロウソク」など買わせていただいている「庵心堂」さんから。

あ、無断借用です。ごめんなさい担当のT様…。

せめてご紹介で、このセットは現代仏膳で、従来のものより高さがないのだそうです。

小さ目の仏壇を高い位置に置く家庭が増えているせいでしょうね。

大きさは、お箸の長さが17センチ、台はそれより少し小さいですね。プラ製でこのサイズだと4500円だそうです。

これはまぁご供養のときやお彼岸などでの使用になりますが、我が家には…ありまへん…。

更に見つけたのが「お彼岸などで、精進料理をおそなえするのが手間なとき」用の、

なんと「フリーズドライ精進料理」、出し汁や水でもどしてレンチンだそうです。世の中進んだ…。

 

         

 

我が家には供物台は主人の実家のものがあるのですが、大きすぎて、それに何かのせて置くと、

御位牌やら何やらみんな隠れてしまって…なので何かお供えの時はいつも普通の小皿使用です。

 

我が家では毎朝ご飯を炊くわけではないので、申し訳ないけど夕食の時でも「炊いたとき」にお供えです。

よく、仏様は「湯気を召しあがる」「香りを召しあがる」「気を召しあがる」といいます。

湯気の立つようなものは、それがおさまってしばらくしてから下げるわけですが、

たまに忘れることがある…昨日それでした。でへへ。

朝のご飯は昼前に下げて、昼食でいただく…と聞いたのですが、

実家にいたころ母は忙しい人でしたから、忘れて固ぅなったらあかんし、と、早めにさげていました。

たまに煮物でもなんでもさげるのを忘れておそくなってしまうと、仏壇に手を合わせながら

「すんまへん、手ぇがかったるぅ、ならはりましたやろ」といいながらさげてましたっけ。

まぁ煮物や汁物なら、レンジでチンでもなんでもいいのですが、ご飯となるとねぇ、です。

表面がパリパリになったりして…そやから早よさげぇて、ゆーとるに…と母に叱られそうですが、

乾燥する時期に忘れたりすると、上全部パリパリ…。

で、昨日はそこまで行かなかったのですが、ちと乾いたところができてしまいました。

そういうときは、まず小さい器にご飯を移し、熱湯入れてラップして…です。

これでだいたい大丈夫なので、あとはカツブシかけておしょうゆちょびっと、でいただきまーす。

 

そんなにしょっちゅうやるわけではないのですが、たまーにそれをしたとき、

必ずふわりと脳裏に浮かぶ風景があります。昔々の大昔、母が寝込んだ時のこと。

父の気配の記憶がないので、たぶん12歳くらい。母と二人暮らしの時代です。

学校から帰ると、めーったに風邪もひかない母が、熱を出して寝ておりました。

枕元に「富山の薬箱」があったのを覚えています。頓服でも飲んだのでしょう。

「だいじょぶやで、すぐよぅなるしな。ちょっと寝かせてな」と、トロンとした目で言う母は弱々しく見えました。

何もすることもできず、なにかとても不安だったことを覚えています。

しばらくたって母が呼びました。半身起こして「熱さがったしな、もう大丈夫」(大丈夫そうには見えなかったのですが)。

そのあとで「なんぞ口に入れなあかんしな」と、仏壇を指さし「仏さんのごはん、きれいにとって、

ちっさい鍋にいれて、ひたひたの水いれてきて」といいました。朝お供えしたご飯はすでにパリパリ。

当時、母の手伝いは台所でもよくしていましたが、まだ一人で「火」を使うことは禁じられていました。

言われたとおりにして鍋を持って行くと、火鉢にそれをのせるように言われ、

「そば離れたらあかんよ、じーっと見てグツグツしたらもっておいで」と。

そのあとどうしたか、実ははっきりした記憶がありません。母がそのおじや風になったご飯を

茶碗に移して、つけものの残りだったかでやっと食べたような気がします。

 

強靭な?母は、次の朝にはいつも通り「はよしなさい!」と、セカセカと動いていました。

私は学校へ行く途中の道々「カッパのすもう」の昔話を思い出していました。

カッパが毎日のように、川原で村の子供たちとすもうをとるのですが、強くてだれにも負けません。

ある男の子がどうしても勝ちたくて、おじいさんに「どうしたら強くなれる?」と聞きます。

おじいさんは「明日川原に行く前に、仏様のご飯を頂いてからいくといい」と教えてくれます。

男の子は言われたとおり、仏様のご飯を食べてすもうに臨むと、見事勝てました。

カッパが「いやぁ今日は強いなぁ、仏様のご飯食べてきただろぅ」と言い当てた…と言うお話です。

私は「あんなに熱が出てボーッとしてたおかぁちゃんが、たった一晩でもとに戻った。

あれはきっと仏様のご飯を食べたからだ。お父ちゃんも一緒に治してくれたんだ」と、思ったわけです。

仏様のご飯をお湯でふやかしておじや風にして食べるとき、必ずそのことを思い出します。

そして、普通にいただいたときより、なんか元気になる気がするのです。

 

そうはいっても、ちゃんとやわらかいうちにさげなアカン…なんですけどね。

我が家には母の位牌はありませんから、仏壇とは別に母の遺影と主人の遺影を並べてあるところの前に、

毎朝「母にお茶・主人にコーヒー」を供えています。そしてすーーっかり忘れほうけ、

冷めきってお茶もコーヒーも、つめたーくなってから「あらぁ、ごめんねぇ、手がかったるいよねぇ」とさげてます。

いつまでも変わらない私…お供えされる側になった母は、どう思っていることでしょう。

 

母「Yはん、アンタ、よぅこんなん嫁にしてくれはりましたなぁ」

主人「…いや、えっといつもコーヒーは自分で入れてましたから」

母「…すんまへーん」


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4 コメント

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おはようございます。 (あけ)
2018-06-23 08:28:29
ブログ読みながら、母を思い出しました。私も、ご飯を炊いたら、冷凍するので、毎日、仏前に、お供えしませんが、ちょっとした、お菓子や、飲み物を買うと、仏前に、お供えします。昔、おつくりを、お供えして、母に、生物は、あかんと怒られました。母も、去年亡くなり、お腹を、すかせないように、お供えは、からにしないようにしてます。
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Unknown (陽花)
2018-06-23 09:44:39
うちは おぶくさんと言っています。
お茶とお水は毎朝あげて下げたら頂いています。
おぶくさんは早く下げるとご飯無しでお仏壇が
寂しくなるのでつい固くなるまで置いていることが
多いです。
返信する
Unknown (とんぼ)
2018-06-23 20:55:01
あけ様

自分と直接かかわっていた人のことだと、
より一層、生きているかのように、
「これ好きだったから」とか、思いますねぇ。
つい忘れておかしなんか食べてしまうと、
あっごめん…なんてやっています。
返信する
Unknown (とんぼ)
2018-06-23 20:59:42
陽花様

おぶくさん、というのですね。
私も使わせていただこうっと。

仏壇が極小の上、手前にものがあまり置けないので、
ついつい「小さいもの」「ちょっとだけ」になってます。
仏様を大事にというのも、
伝えていくべきことなのだと思いますが、
仏壇のない家もありますからねぇ。
あまり「簡素」にしすぎるのもなぁなんて、
自分のことを棚に上げて思っています。
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