「メジャーの打法」~ブログ編

野球、ゴルフを中心とするスポーツ動作論
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イチロー(5)

2009年09月25日 | 打法

 NHKの『スポーツ大陸』がイチローを取り上げていた。

 印象に残ったのは素振りだった。ウェイティング・サークルでやっている例のやつだ。自宅でもあれをバットがうなりをあげるくらいに力強くやっていた。

 下の動画にもあるが、あのような素振りはかつてスティーブ・ガービー(LAD)あたりもやっていたと記憶する。素振りだから実践とそっくり同じことをやるわけではないが、一部を忠実にやろうとすると、実践とはスイング軌道を変えたほうがいい―ということなのだろう。

 あの素振りの左腕の使い方はまさにオースチンのThrowだ。この動画の5:20頃にある。イチローが下の動画で比較している「最短距離でバットを出す」打ち方というのは日本流のダウンスイングを想定すればいいだろう。しかし、「腰を切りつつからだを割って、最後は右手(トップハンド)を球に向かって突き出す」という日本でごく普通の打法はかれの眼中にないようだ。左手(トップハンド)をThrowして、バットを『引く』(長軸軸方向に力を加える)というやり方が特殊なものだという認識を本人が持ってないのだ。

アメリカで主流のB型もバットを『引いて』いるが、腕はThrowではなくPushだ。腕の振り方まで含めるとA型が近いということになる。ボンズもThrowということばを使っている(”・・・using the top hand to throw the barrel at the ball.”)


 かれは幼いころ父親の指導を受け、そのとき手本にしたのがゴルフの岡本綾子らしいから、バットを『引く』ことが自然と身についたのかもしれない。

かれの父親がその点を、知った上で、継承させのだとしたら、コーファックスのまねをさせてリンスカムをあそこまでにした父親同様たいしたものだと思う。


 しかし、普通の日本人には違和感がある。右手はバットを『押し』(バットの長軸に直角に力を加えて)、腕の動作はPush(突き型、球に向かって突き出す)が普通だからだ。あの素振りを見て、ストレッチかせいぜい軽いウォームアップぐらいにしか思っていない方も多いだろう。しかし、あれはちゃんとした素振りなのだ。あの素振りが動作様式の中枢部分を正しく反映していて、忠実に真似ることがイチロー打法習得の第一歩だ―ということを理解する必要がある。

 

 


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