「一大決心」をして老母と共に沖縄に引っ越して1週間、やれやれと思
った途端に、母が自室で転倒。坐骨骨折で近くの病院に40日余りも入
院しました。
西も東もわからぬうちに那覇市の病院に入院しちゃった母は、痛いわ、
ビリビリ動きもできないわ、言葉もよく聞き取れないわで、大変でした。
しばらくは心身のケアに私も一日3回病院まで自転車で通って往生しま
した。
でも、沖縄の人たちの親切さ、情けの厚さは聞きしにまさるもので、病
院のお医者さんから看護師さん、リハビリ職員の方々、同室の患者さん
たち、皆さんに親切にしてもらって、母は感謝感激、すっかり「沖縄贔屓」
になってしまいましたよ。
「沖縄の食べ物は豆腐からお野菜から豚肉、なんでもおいしい。気候は
暖かいし、人情はいいし、ほんまにエエとこへ連れて来てもらってよか
った! 私はここに骨を埋めます。孫もいるし・・」だそうで、そう思えた
のは、よかった、よかった。
(若い時から超・病弱の母が、老後に土地を変えて暮らせるなんて、親
戚の人も誰も思ってもみなくて、一時は暗に反対の意見もた~んとあっ
たので、私も必死ではありました。
「おいおい、お母ちゃん、来た途端にコケルか~!? 早く治って歩け
るようになってもらわんと、半ば強引に連れてきた私の立場がないがな
~」というわけで・・・)
ちょっと痛い思いをしたかもしれないけれど、この入院は母の「沖縄デ
ビュー」としては格好の機会だったかも、と今は思います。
歩行器でまた歩けるようになって、ほんとうによかった!
母の病室は、高齢の方ばかり4人部屋だったのですが、同じ部屋の人た
ちは、みんなとても親切で、本土から来たばかりでウチナーグチ(沖縄
の言葉)の全くわからない母には標準語でわかるように話してくださっ
たり、何かと親切に教えてくださいました。
そんな同室の人たちとの会話。
Aさん:「私は去年『かじまやー』の祝をすませたよ」
Bさん:「あ、そう。私は今年の秋に『かじまやー』さ!」
私:「あの~、『かじまやー』って何ですか?」
皆さんが説明してくださった所によると、
「かじまやー祝」というのは、97歳を迎えた人の長寿祝
だそうです。(旧暦の9月7日に祝うらしい)
「かじまやー」には、二つ意味があって、ひとつは「風車(風に舞うも
の=カジ・マヤー)」、もうひとつは村や町の「十字路」のこと。
(母がショートステイした施設でもらってきた「カジマヤー」。
これは写真撮影用に歩行器に取りつけたものです。
いつもこうして歩いてたら、ちょっとアブナイ!)
97歳もの高齢になったら、「風車」で遊ぶ子供のような純真な心に戻
る、仏心に近づくという意味だとか・・。
昔は、カジマヤー祝のご老人を駕籠や馬車に乗せて、集落の七つの十字
路(カジマヤー)を練り歩いて、お祝いをしたそうです。
時々、新聞で各地のカジマヤー祝の光景が報じられます。
今は、オープンカーに乗って赤や黄色の衣装や頭巾をかぶって沿道の人
たちに手を振っておられる写真が多いようです。
琉球新報2008.10.21
(自分でオープンカーを運転する97歳のおじいさんも! す、すごい!)
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沖縄県民になったからには、
お母ちゃん、めざせカジマヤーだ!!
カジマヤー祝にはベロタクシー(自転車に屋根のついた車)を借りきって、
国際通りを盛大にパレードしようぜ!!
あと8年! がんばれ。(私が先にヘタらんように気イつけんとあかんのだが・・)