利子率が2%以下になると、その領域から別の領域にシフトする…それは産業の次元であったり、空間的な領土であったりする…。たとえば一次産業の利子率(利益率)が2%以下になれば二次産業へ、植民地Aからの利益率が2%を下回れば別の植民地へ…。資本主義の発達と展開を利子率の低下にともなう移動だと説明する水野和夫氏。博学強覧の社会学者大澤真幸氏はマックス・ウェーバーの思索をさらに探究しつつ資本主義への経路を提示…とスリリングな対談です。
P228)水野和夫
なぜ、バブルが頻繁に起きるかといえば、
新しい「実物投資空間」がなくなったからです。
「実物投資空間」の膨張がインフレで、
「電子・金融空間」の膨張がバブルです。
つまり、インフレが生じなくなったから、バブルが繰り返し起き、
バブル崩壊が同じだけ生じるのです。
バブル崩壊でデフレが生じるのですから、
そのデフレをインフレを起こして解消するというのは倒錯した議論です。
P231)大澤真幸
市場経済を、それとは異なる原理で「是正」しようとすると、かえって悲惨なことになりうる。
その例が、失敗した「フェアトレード」です。
資本主義という謎 (NHK出版新書 400) 著:水野 和夫 , 他
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P236)水野和夫
ノアの方舟以来、ヨーロツパ人の蒐集には終わりがないわけですね。
でも、今必要なのは、「蒐集」からいかに混乱なく撤退するのかということです。
人類は有史以来はじめての課題に直面していることになります。
あるいは、経済学的に言えば、
「供給は自ら需要をつくる」というセイの法則を否定することからスタートすることだと思います。
「蒐集」の概念を経済学的に表現したのがセイの法則だと言えます。
供給は過剰消費をつくるだけで、人々の生活水準の向上にはほとんど役だっていませんし、
資源の過剰消費は、原子力を含めて地球の持続性を脅かしているのです。
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