十勝の活性化を考える会

     
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家父長社会

2022-04-09 05:00:00 | 投稿

フランシス・フクヤマ著『歴史の終わり』の本によれば、男性が権力を独占している家父長社会が、日本社会の独特の制度だという。それが武士道を特徴とする日本文化を作っている源だという。現実的に、国会議員になっている女性は、先進国と比べて極端に少ない。2022年の内閣府のデータによれば、国会の衆議院の約10%が女性で、参議院とあわせても14%、地方議会では15%が女性となっている。この衆議院の女性議員の割合を世界比較すれば、190カ国中で168位と下位になっている。これは、いかに日本が遅れた社会であることを示している。

 

彼は1952年生まれの日系3世でハ―バード大学で学位を取り、国務省の要人にもなった国際政治学者。アメリカにおける重要な国家戦略を担ってきただけに、自由民主主義を褒めたたえている。『歴史の終わり』の論文とそれを基にした本は、歴史上で続いてきたイデオロギー闘争が、自由民主主義の勝利で終わるだろうと主張し、世界で議論を巻き起こしたことで有名である。

彼の議論は、自由民主主義に対抗できるイデオロギーが、現在でも出てきていないことを考えると、いまだに説得力ある主張であろう。彼が『歴史の終わり』の本を書いたのは、東西冷戦が終結に向かっていた1980年代末期から1990年代初期で、1980年代末期から1990年代初期は、以下のとおりである。

・1989年から90年にかけて、東ドイツや東欧社会主義国が崩壊

・1991年にはソ連が消滅しロシア連邦が誕生

つまり、自由民主主義VS共産主義という長く続いたイデオロギー の対立がソ連の崩壊によって終結し、結果的に自由民主主義がイデオロギー闘争に勝利したという時代だった。

しかし彼は、アメリカのイデオロギーの勝利を単に正当化したわけではなく、自由民主主義が、共産主義を含む過去のあらゆるイデオロギーより優れており、最終的に勝利するということである。理想の世界をめぐってのイデオロギー闘争は、今後はもう現れないという。これが「歴史の終わり」の意味である。

資本主義経済は効率的であるという議論は、近代経済学を少し学んだ者にとっては自明の理であろう。なぜなら、“神の見えざる手によって資本主義は、資源の最適配分が図られ、労働者は競争原理にもとづき働いて一人当たりの生産性が高いのである。

一方、共産主義国家、すなわち権威主義的国家では、一般的に利益団体が政治と癒着し国家が非効率な産業を保護することで生産性が低く、経済発展が遅れるようになる。自由主義国家では、自由な経済活動が認められ国家が経済に介入しないので、民主主義国家が優れているというのが彼の主張である。(民間企業が国家との癒着は、日本にもある。)

彼は民主主義が優れているという理由を、人間の本性のひとつである「気概」や「自尊心」に求めている。人間は、「自分のことをもっと知って欲しい」という認知をモチベーションにして行動し、その結果として歴史が発展するということを述べている。

人間はこの自分中心主義の本性があるからこそ、戦争という非合理的な行動をとり、それが歴史を動かしていくのである。ロシア軍のウクライナ侵攻を見れば分かるであろう。イデオロギー闘争は、自由民主主義の勝利によって終結し、イデオロギー闘争という歴史は終わったのだとフランシス・フクヤマ氏は主張している。

ところで、30年前に出版されたガルブレイスとメンシコフ共著“資本主義.共産主義、そして共存”の本は、資本主義と社会主義の違い、核・原発の脅威、戦争、貧富の拡大などを書いている。ガルブレイス氏は、1908年カナダ生まれの「経済学の巨人」と評されている。

ゆたかな社会”、“経済学と公共目的”、“不確実性の時代”などの著書は、日本でも広い読者層を獲得してきた。ハーバード大学教授として戦後経済学の潮流の中で異端的な立場から、現代資本主義をめぐってシャープな問題提起を行なっている。

一方、メンシコフ氏は、1927年、ソ連生まれ。ソ連、アメリカ、日本の計量経済学的な比較研究を行ない、西欧諸国の長期循環の分析に取り組んできた。アメリカのリベラル派、ソ連のマルクス主義者ということで、両者の立場は自ずと異なっていたが、この本を読んで、次のように思った。

世界には、アメリカに象徴される資本主義やロシアや中国に象徴される共産主義があるが、100年も経つとお互いが良いところを取り入れるらしい。現に、資本主義国では福祉に、共産主義国では市場経済に力を注いでいる。

世界で2千万部が売れている著書『サピエンス全史』を書いた歴史学者ハラリ氏は、人間はますます個人主義化し“戦争と競争の時代に突入し、10年後の世界は予想できないと語っていた。世界は一体、どうなるのだろう。なお、以上で書いていることは検証していないが、一部は事実であろう。

「十勝の活性化を考える会」会員