ときの備忘録

美貌録、としたいところだがあまりに顰蹙をかいそうなので、物忘れがひどくなってきた現状にあわせてこのタイトル。

斬新なランチ

2007-12-11 | 砂時計
隣に住むお姑さんが、腰を痛めて入院したものだから、毎日走り回っている。
もともと自分の食事に気を遣わないひとであるが、忙しくなるとそれがますますエスカレートする。
お姑さんが入院した病院は、会社から近いので毎日行き帰りか、もしくはお昼休みに顔を出している。
ほんとに、この人の献身ぶりには頭がさがる思いである。
自分とご主人の結婚に反対し、結婚してからもなにかといちゃもんをつけて、節子さんをいびったお姑さんである。
それでも、年老いたお姑さんに、いまさら仕返しをするのもなんだかかわいそうだと、自分の時間を削って走り回っているのである。

そんな節子さんが、今日のお昼に持ってきたのは、なんと食パン2枚のみ。
節子さんが会社に持ち込んだ、オーブントースターでパンを焼き始める。
「え!今日のお昼ってそれだけですか?」と尋ねると
「うん、何も家になかったから、とりあえずお腹がおきればいいと思ってこれだけもってきた。でも、XXさん(私)になんか言われるから、ブロッコリーとにんじんは持ってきたし、会社にどっかからもらったインスタントのお味噌汁があったよね。それを食べようと思って・・」という。
「またぁ、そんな食事・・。タンパク質をとらないと身体がまいっちゃいますよ。
せめてスライスチーズくらい持ってきて、チーズトーストにでもすればいいのに」と私が言えば
「そのチーズも冷蔵庫になかった・・」
「ダメですってば!免疫力が落ちてしまいますから!なにかおかずになるものを買ってくればいいじゃないですか!!」としつこく勧めて、ようやくタンパク源を求めて買い物にでることにした節子さん。
会社のそばには、コンビニもスーパーも、お総菜屋さんも、デパ地下もなんでもそろっている。
だが、自分の口に入れる物にお金をかけるのがもったいなくもあり、面倒でもあると感じる節子さんなのである。

そんなすったもんだを私とやっていると、別の部署の若い子がはいってきた。
「あら、なんか香ばしい匂い。。えっ!!会社で食パン焼いてるんですか!!
これ、何するんですか??」と素っ頓狂な声を上げた。
節子さんが、おずおずと
「私の昼ご飯。家になんにも無かったから、とりあえずパンだけ持ってきたの・・」と言えば
「うっわー!!す、すっごい・・・斬新なランチですね~・・・すごすぎる・・」
と舌を巻いて引き上げた。
斬新なランチ・・・
確かに、今の若い子たちにしたら、そんなお昼はお昼じゃない、ってことなんだろうな。
いや、節子さんに年齢が近い私でも、それは斬新すぎる発想のランチである。
お願いですから、もう少しまともな食事をとってください。
それだと食事ではなくて、食餌ですから。

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