夫の誕生日

今日は夫の４７回目の誕生日である。
若い頃には、身に着ける物（例えばシャツやネクタイ、ベルト、財布など）を贈り、二人でちょっと張り込んだ外食をしていたものだ。
しかし子どもが生まれ、エンゼル係数がぐんぐん上がるにつれ、夫婦のものは後回しになり、お互いそういった贈り物のやりとりをするのも面倒になってしまった。
この最近は、好物を食卓に供し、いつもより少し上等のお酒を買う、というようなことでごまかすことが多かった。

が、今年は夫からのリクエストが早くにあった。
何かと思えば「育毛剤」である。
先日会った友人から「やっぱ、リ●ップのもんやで！」と聞いたのが着火剤になったらしい。
お求め安いお値段か、といえばどうだろう。シロガネー●の奥様御用達の化粧品に比べればずっとリーズナブルな価格ではある。
まぁ、ささやかな抵抗であるかもしれないが手をこまねいているよりマシだろう。
はげ！と指さされるほど後退してはいないが、それでも「あんたもトシね。」と言いたくなるような状態である。アートｘｘチャーや、アデラｘｘに比べればずっと安いし、買って上げることにした。

さて、誕生日と言えば、昨秋逝った舅の日記を思い出す。
病床にあっても、毎日一言ずつ綴っていた．
その日記の裏表紙には私達家族の誕生日が記されてあり、遺品を整理していてそれを見つけた時にはこみあげるものがあった。
毎年、必ず夫、私、こどもの誕生日には義父母からのお祝いとメッセージをもらっていた。
病院に入ることになった時、長丁場になりそうだと予感した舅が、それを記していたのだ。
去年の夫の誕生日には、ベッドの上から義母に「忘れずに電話しておいてやれよ。」と命じたそうだ。
いくつになっても子どもは子ども。
頭の薄くなってきた息子の誕生日を、今年は空の上から祝ってくれているのかな。
「上から見たら、光っているから見つけやすかったで。誕生日、おめでとうさん。」と。