この炭は、元なんだかわかりますか~?p^0^q。。。
...
答え:みかん【美炭(みたん)】
黒光りのあんばいが、実に綺麗な、素晴らしい炭になりました。。。
【第一回:「SOMAP歴 13年」】(名寄新聞:2011.1.8掲載)
「人間に必要なものは、みんな森にある」。「大切なことは、みんな森から教わった」とは、東大富良野演習林から「林分施業法」を生涯にわたって発信し続けた、「どろ亀さん」こと、故・高橋延清東大名誉教授の名台詞です。
そして、故・原田四郎前下川町長の、徹底的に地場の森林にこだわった、「町有林法正林施業法」と言う、流域の森林を基盤とした地域振興思想・発想・施策に基づく「原田イズム」。
更には、町内外から志を下川の森林へ向けて、試行錯誤・創意工夫・切磋琢磨する諸先達方。日々奮闘する同志たち。
そんな森林に魅せられて、下川の民となって満13年。私は、森林組合で森林管理の現場一筋で、ここまで来ました。
私はいま、「人間が森林へ向かっていく」のではなく、「人間が森林に受け入れてもらう」と言う視点で、森林を見つめています。
「持続可能な山村地域社会とは?」「森と人との多角的・多面的関係性とは?」「循環永続的かつ、多様な恵みとしての森林資源とは?」の答えと、進むべき道を探っている過程にあります。
ですので、私の文章は、ひとつも理路整然たるものではありません。ひとりのSOMAP(杣夫)の想いを、つれづれなるままに綴った「ツィート集」と思ってお付き合いいただけたら幸いです。
さて私は、森林にこだわり続けて生きる人たちのことを「森籠りと言う引き籠り」と、表現しています。
それは何故かと申しますと、私の満13年間の森での生活は、実にこの「森籠り」と言う言葉がピッタリと符合するからです。
日々、森林から「何を感じ」「何を知り」「何を考え」「何を実践」してきたか。
ほぉ~ら、これだけでも充分「森籠り」っぽいでしょう。
目の前にある森林は、実に「広くて深い」ものであることに気付かされたのです。
その、森林の持つ「無限大な可能性と許容量」を、感じ取ったた時、自分の中で何かが「再起動」し始めたのです。
(つづく)
【第二回:「森林の潜在パワーと、国家国策プロジェクト」】(名寄新聞:2011.1.15掲載)
森林保育管理の現場は、実にバラエティーに富んでいて、毎日がドラマチックです。同じ現場も、同じ樹木もありません。毎日が新発見に満ち溢れています。
しかし、そんなドラマチックな現場にいても、何故か膨らむ「これでいいのか?」という疑問。その狭間で揺れ動く心。
現場を指揮する班長になってからは、特にその疑問が勢いを増して湧出してきます。
そもそも、「森づくりってなんなんだ?」。この疑問の壁は高くて厚いのです。
旧来の北海道の林業は、森林の利息・元金の伐り尽くしていくことで成り立ってきました。
それからおよそ半世紀。国策「拡大造林」で一斉に植えられた、椴松や唐松などの針葉樹林が、いま間伐期、或いは収穫期を迎えています。
しかし、長く続いた外国産材輸入と木材価格の低迷により、国産材の需要は伸び悩み、下川町での「法正林施業」も、数字合わせの上滑り感が否めないのが実状です。
92年の地球サミット以降、森林の果たす役割とその重要性が語られるようになってきました。
「環境と経済の両立」の模索と実践です。
いま世界的(COP)に、地球環境・生態系維持保全問題が考えられるようになり、森林の持つ「潜在的パワー」にもスポットライトが当てられています。
下川町はそれらに、率先早期的に取り組み、「FSC(国際基準森林認証)取得」「環境モデル都市選出」「ゼロエミッション」「木質バイオマス実践」「CO2排出権取引(カーボンオフセット)」「ネーミングライツ(企業の森制度)」などに力を入れています。
しかし、その大元素材の「森林自体」に対する「処方」はどうだったのでしょうか?「森林の在り方そのものの議論が置き去りになったまま」と言った感が否めないのが現状です。
そうした中、民主党政権が09年末、「コンクリート社会から木の社会へ」国家新成長戦略として「森林林業再生プラン」を打ち出してきたのです。
(つづく)
【第三回:林業は国家成長戦略の柱となり得るか】(名寄新聞:2011.1.23掲載)
「林業は成長戦略の柱だ」。政府は平成21(2009年)年12月「森林林業再生プラン(素案)」を打ち出しました。低迷する林業の「工業化」を推進し、国産材自給率を50%へ導き(平成20年現在24%)、林業を成長産業として再生を図る、と言うものです。
ドイツの森林林業経営に学んだ、国家戦略室内閣府審議官の梶山恵司さんは「林業は自立して競争力を持てる産業になりうる。再生プランは、日本林業の明治維新だ」と言います。
再生プランの内容は「拡大造林で植栽された全国の人工針葉樹林、(道内ではトドマツ・カラマツなど)1000万ヘクタールを間伐し、毎年5000万立米の木材を大量安定的に搬出供給する」。「全国の林地を44大流域・158中流域という管理の網掛けを施し、集約化・団地化を図る」。そのための具体的施策として「搬出のための高密度路網を開設・管理人材(フォレスター・プランナー)の育成配置・森林組合改革と新規事業体の育成・国産材の効率的加工と流通を目指す」と言うものです。
しかし、「地域の森林林業現場に生活する私たち」が見る再生プランには、「山村地域社会の持続性、人と森林の関わりの歴史、森林の持つ多面的機能、森林の保育育成などが包含されていない」と言う事が浮き彫りになって見えてきます。更に「再生プランの実効性をどのように担保するのか」と言う肝心な点に疑問と危惧を抱きます。
そもそもとして、再生プランは「国益重視」なのか。「公益重視」なのか。「市場経済活性化として」なのか。「持続経済活性化として」なのか。本来その両立を図ることが、再生プランにとって重要なはずです。しかし、再生プランでは「軸足」が偏っている感が否めず、地域小流域の実態や現実は度外視されて進んでいます。
そうした中、SNS(mixi)のコミュニティー「林業現場人会議」に集う、全国の「も~りんぐ娘・SOMAPたち」による「現場目線のボトムアップ議論」が始まったのです。
(つづく)
【第四回:ネット上の、林業現場人会議】(名寄新聞:2011.1.24掲載)
これまで「林業現場第一線」に従事する人たちの「横の連携」は、「農・酪・漁」などの他の一次産業と比較しても、極めて少なかった経緯があります。
全国全産業従事者人口6千万の中で、林業従事者は、全国でたった5万人ですから尚更です。
その5万人の中に、「地域の森林と真摯に向き合い、様々な軋轢の中にあっても、問題提起をし続け問題解決に向かって孤軍奮闘している現場人」が、少なからず存在していたのです。そんな全国の仲間たちとのネットツールを介した、各地の現場人たちとの意見交換・情報交換は実に新鮮なものです。
それぞれの地域の森林を取り巻く状況や環境ステージこそは違うものの、林業現場人たちの中に「共通する想い」がいくつか見えてきます。
それは、「自然生態系と森林業の持続的協調関係性保全」「森林林産物の循環維持と資源適正管理」そして、「中山間地域社会の恒常的持続のための森林業活性化」です。
山村社会においては、「地域社会と地域小流域森林管理」は密接な関係性無くしては考えられません。うまくバランスをとってこそ、成り立つものなのです。
普段から森林を「蟻と鳥の目線で見る」ということを念頭に置いて現場作業に従事してきた私ですが、インターネットでの「林業現場人会議」に集うメンバーたちから、「森林の持つ無限大な可能性と許容量(懐)の大きさ」を改めて知りえることができます。(mixiコミュニティー、林業現場人会議参照。2010年末現在41名在籍)
そこへ、「市場競争原理に基づく、経済再生」を旗印に突然やってきた「森林林業再生プラン」は、「林業現場人会議」に大きな波紋を起こしていきます。
コミュニティーのトピックが一気に活気を帯びてきました。
再生プランの素案を、「森林と人間との交換不可能な関係性の復活」と言う視点論点から活発な議論が展開され始めたのです。
(つづく)
【第五回:緩やかな、森林クラスターの輪が広がる】(名寄新聞:2011.1.30掲載)
ネット上の「林業現場人会議」は、「森林林業再生プラン」に対し、敏感に反応していきます。それは、「単純な反対論・批判論」ではなく、「国が森林林業に目を向けてきたのだから、これを飛躍のチャンスにしていこう」と言う姿勢です。
林野庁発の「改革の姿(案)」を、咀嚼し、一つ一つ「現場主義目線」で、課題・問題を精査する議論を重ねていきます。
「斜陽化著しき林業と疲弊する山村地域を、経済効率最優先で結びつけていく発想では、地域山村社会は足元をすくわれてしまうのではないか」。「木材の大量安定供給ばかりに目を奪われると、これまで培ってきた山村地域社会の土台が覆されるのではないか」。「そもそも、森林経営とは、木材搬出がすべてではないはずだ」。「地域の林家が長年守り紡いできた森林と人との関係性は簡単に集約化・工業化は出来ないはずだ」。「川下(木材消費側)の論理だけで、川上(木材供給側)を推し量ると、森林資源の持続管理は難しくならないか」。「全国一律画一的な再生プランではなく、市町村レベルでのマスタープランの底上げと、ボトムアップが必要ではないか」・・・。
mixi(ミクシー)での議論は口コミで全国の現場人に広がり、更には世界的ミニブログ、Twitter(ツィッター)へも広がっていきます。それぞれが、それぞれの現場の「いま」を、ネット上に発信していくことで、「課題や問題を互いに共有し合う」という緩やかな連帯が生まれてきます。
林業現場人はもとより、林学研究・学生・森林環境NPO・造園・木工クラフト・建築工務・地域振興などに携わる人々が、自然と集まって「森林クラスター」が形成されます。とりわけ、「林業女子会」「も~りんぐ娘」など、女性の積極的な参加が目立って増えてきたことは、新しい一幕でもあります。
そこから「森林林業再生とは、あくまでも、森林と人との関係性を問うことが第一義である」と言う共通ワードが見えて来るのです。
(つづく)
【第六回:霞が関農林水産省合同庁舎と森林林業現場をつなぐ】(名寄新聞:2011.1.31掲載)
ネット上で「森林と人との関係性の在り方」が語られる中、霞が関では「森林林業再生プラン」が、基本政策検討委員会など、5つの委員会で議論が進行していきます。林野庁のホームページを見ると、それらの委員会は、「抽選で15名の傍聴が可能」であるらしいのです。早速、有志たちで日程を調整しながら、各々傍聴に応募し、私は2010年4月から6月にかけて、計5回の委員会を傍聴することが出来ました。
「ネット林業現場人会議での議論をなんとか各委員会に反映させたい」。傍聴者は原則的に発言権は与えられていないので、休憩時間や委員会終了後に林野庁長官や内閣府審議官、外部委員に直談判するほかありません。初めは、けんもほろろでした。しかし、5月下旬に「森林林業再生プラン各委員会を傍聴しての意見書」を、林野庁長官に提出したあたりから反応が表れて来ました。
一連の枠組み作りを担当する「内閣府国家戦略室の梶山恵司審議官」から、直接電話があり対談を申し込まれたのです。
対談は2010年5月末、霞が関での委員会終了後に実現しました。
梶山審議官は「林業は産業として自立でき、世界的にも競争力を持ちうる。それをやるかやらないかではなく、どう実現させるかである。
現代工業社会で、持続可能な木材資源を利用するためには、林業の工業化が不可欠。そうでなければ、これだけの膨大な森林を適切に管理することは到底できない。
国家財政が極めて厳しい中、環境を名目に森林を維持することは不可能。目指すのは、欧州で実践されている、効率性と公益的機能の高度な次元での両立だ。現国家予算と森林の状況を把握して、向こう10年間で地域の森林適正管理計画を樹立することを具現化させる。」と、熱く語ります。担当省庁の「森林林業基本計画」見直しへの姿勢が煮詰まらない中で、梶山審議官の言葉からは「本気度」が見えてきます。更に、「林業改革へ向けて、現場からの率直な意見が聞きたい」と、申し出られたのです。
(つづく)
(梶山論は、日経ビジネスオンライン「誤解だらけの日本林業」で、詳しく論じられているので、興味がある方は、検索してみてください。)
【第七回:内閣府国家戦略室 梶山恵司審議官との対話】(名寄新聞:20112.6掲載)
梶山審議官に対し私は、「拡大造林以降、民有林施業は、具体的な経営管理計画が整わない中で、目まぐるしく変わる国の施策に翻弄されて来た経緯がある。補助金に依存せざるを得ない仕組みの中で、場当たり的に採算がとれる施業をやらされきた。その背景に鑑み、単純に民有林林業の工業化を推進して、国産材利用を拡大するという新自由主義的市場原理では、現在の森林が国家の成長戦略の一翼を即座に担える状況になるとは考えにくい。日本の森林は、適正な資源管理の上に、持続的林業経営が成立し、その結果の産物として木材利用があるべきではないか」。と申し上げました。
対談以降も、幾度かメールでのやり取りをさせていただき、私は「森林再生を礎とするならば、まず軸足の理念と人と仕組みと資金源が必要だ。短絡的経済措置としての日本林業工業化論では、成熟した理論に基づいて森林経営を行っている欧州型とは似て非なるものになる。民有林と国有林も同時進行するべきだ。現業との意見交換の場を設置してほしい。」と申し上げました。
梶山審議官は、「森づくりから木材生産、流通、需給などは、それぞれに独立性が強いと同時に相互間に密接に関係したサプライチェーンを形成していることから、林業個々の問題もどこまで相互間で共通認識があるか否か、を議論していきたい。民有林の施業集約化を推進し、森林組合の機能を正常化して、モチベーションを高めていきたい。先達たちが築いてきた森林を利活用し、地域発展の原動力にしたい。現業レベルとの意見交換会は、副大臣からも指示が出ているので、時期を見て開催したい。」と回答がありました。
これらのやり取りの中で、私は「梶山審議官の示唆する方向と、私たち現場人会議が議論している方向は、各論の議論内容は違えども、そんなに大きくかけ離れてはいないのではないか。」と感じ取れました。
大きく共通するのは、「日本の森林を将来につないでいくこと」なのです。
(つづく)
【第八回:森林林業再生プランをどう咀嚼して取り込むべきか】(名寄新聞:2011.2.7掲載)
「日本の森林を将来につなぐ」という、共通コンセプトがあるならば、森林林業再生プランの各項目ごとの議論も交通整理が可能なはずです。
私がこの地域で議論を深めたい点は至ってシンプルでして、「森林の多面的機能区分を明確にする。その目的別林分への、適調査計画・適営業・適地・適木・適人材配置・適作業、そして適検証考察・適経過観察。これらの仕組みを地域で確立させ、中長期的視点と展望を持って精査する。それらに基づいて、適正な予算配分を求めていく。」ということです。
これらを含めて、私は委嘱(2010年4月~2012年3月任期)を受けている「下川町林業振興審議会」第一回会合(2010年5月6日)において、「森林林業再生プランに対しては、下川町有林からのボトムアップを模索しながら連携連動を図るべき」と言った旨の意見を町行政へ投げかけました。しかし、回答は「それは考えていない」という驚くべきものでした。(この連載が新聞掲載された時点で、第二回は未だに召集されていない)
2010年6月に出された「中間とりまとめ」を経て、林野庁は2010年9月7日に「森林林業再生プラン公開ヒアリング」を開催しました。傍聴者側からの意見陳情もここで実現しました。ネット現場人会議のメンバーも何人か出席しており、それぞれに中間とりまとめに対する意見を述べました。(林野庁HP参照)
話は少し前後しますが、「人工林長伐期化への取り組み」を実践している林地への「道内実践現地検討会(2010年9月2・3日、鶴居村森林組合主催)」(林野官僚・内閣府審議官・関係行政機関担当者出席)にも参加をして来ました。東大富良野演習林・池田地区竹中山林・浦幌地区石井山林にて、カラマツ100年生の長伐期施業を視察して来ました。率直な感想は、「下川町内の民有林でも、将来木施業や恒続林施業を実践している人がいる。」と言うものでした。
この後、全国各地での綿綿たる取り組みを続ける人たちとの、リアル現場人会議開催へと進んでいきます。
(つづく)
【第九回:衆議院議員会館にて、林業現場人会議シンポジウムを開催】(名寄新聞:2011.2.13掲載)
林野庁での公開ヒアリングも、木材自給生産と流通拡大に重きがおかれ、「国民一人一人の生活の基盤の上に森林があり木材資源がある」と言う根本的議論が、合理的経産戦略の数字合わせに上滑りをしたような格好で終わりました。森林林業再生プランは、2010年11月中旬の最終取りまとめに向けて加速していきます。
ネット現場人会議に報告を持ち帰ったところ「実際にみんなが集まって一歩踏み込んだ実効性のある提言を現場から政府に届けよう」と言う機運が一気に高まりました。
そして2010年10月5日、衆議院議員会館にて「林業現場人シンポジウム」を開催するに至ったのです。出席者は、全国各地の現場人・ジャーナリスト・林野庁職員など16名。梶山内閣府審議官も出席くださいました。
現場人たちからは、「プランを地域の森林に則した形に組み換えてマッチさせていかなくてはならない」。「林業経済活性化のみならず山村地域の活性化改善策が同時進行で必要」。「効率化だけに特化すると地域の雇用は増えず地域資源収奪に終わる」。「成長戦略至上主義では小規模所有者・自伐林家は切り捨てられる」。「フォレスターは地域密着で信頼関係を築ける人材が必須」。など、項目ごとに議論百出します。
一方、梶山審議官からは、「国家財政逼迫状況に鑑みて補助金制度の抜本的改正と森林経営計画の抜本的改革が必要」。「中小規模林家の集約化管理必須」。「改革無き森林組合には補助金を出さない」。「地域活性化との同時進行論や小規模所有者の処遇は理解できるが猶予なき林業事情に鑑み林業改革に特化したい」。と意見がなされました。
現場人会議では、国が進める制度改革を、地域山村社会が受け止める「キャッチャーミット」作りがカギであると一致をみました。そのために「地域の関係者ネットワーク強化」と「制度運用の意思決定の主導権を地域で持てる仕組み作りが必要である」ことを確認し、会議終了後に林野庁を訪ね、現場人会議の意向を示しました。
(日本森林技術協会発行の森林技術2010年11月号。日本林業経営協会発行の杣径2010年12月号に詳しい)
(つづく)
【最終回:森林産業クラスターの創造と具現化】(名寄新聞:2011.2.20掲載)
国際森林年の2011年、森林林業再生へ向けた制度改革は、政権政策の動向如何によっては予断を許さない状況にあります。昨今のTPP参加論に雲散霧消する懸念さえ感じます。外資系企業に民有林が買い占められてゆく問題も浮上してきています。今こそ、地域の森林林業の持つ社会的使命をしっかりと再認識しなくてはなりません。
2010年11月初旬に、鶴居村で開催された実践事業研修会で、私はドイツ型林業に触れ、ドイツフォレスターとの対話も実現しました。
ドイツフォレスターは「森づくりは、人づくり・道づくりである。森林経営管理とは、経済性と共に、多角的多面的立体的な公益性とのバランスを360度の視野でとらえることである。経済原理や機械化に特化したものだけではなく、森と人との関係性を深化させていくことである。それらは複合的なハーモニズムによって形成される。その実践こそが、森林と人間の持続可能性に通じる。」と言います。
これまでの経過を踏まえて、今後地域に必要なことは・・・
「森林の持つ無限なる可能性に鑑み、既存の価値概念から飛び出し、関係者の協働で選択肢のバリエーションを増やしていく。本来この地域にあった原生的な森林生態系を模倣し、調査から施業・アフターケアまでを含めた森林経営管理計画を立て直す。森林業を魅力ある産業へ導いていくためには、単元的価値観を改め、多元的価値観を産業構造の中に取り込んでいく。森林と人、森林に関わる人と人は、交換不可能な関係性によってクラスター化させていく」ことだと私は考えます。
これらを下川発信で、都市部とのパートナーシップを増強し、第三者機関としての森林林業システム構築を目指すことで、森林林業再生プランの受け皿として、また「森林環境未来都市下川」へ向けた大きな一歩となるはずだと信じています。
森と関わる人間の、極意の模索は続きます。森と人と大地を輝かせるために・・・。http://blog.goo.ne.jp/todoguma
Twitter:@todoguma
FaceBook:tatsuhiko tomioka
(終わり)
かつて、日本は自国の豊かな落葉広葉樹の森林資源の【元金】を伐り尽くした。
その後、拡大造林国策によって日本の森林は、単相人工林『大根畑』となった。
広大なる、単一樹種人工林は、生態系の多様性を忌避し、広大なる沈黙の森を形成するに至った。
その『大根畑』も、50年が経過し、いまようやく曲がりなりにも伐期を迎えた。
民有林に適用される【国策:国家経済成長戦略『森林林業再生プラン』】は、森林の循環可能な資源管理や、森林育成保育100年の大計はそっちのけで、川下の市場原理に則って、伐出こそが是という金科玉条の基に、川上からの木材大量安定供給を強制し、再び広大なるハゲ山を生み出そうとしている。。。
拡大造林で植栽された単一樹種の人工林が、成長過程あるとき、、、外国産材輸入自由化政策が導入され、日本は一気に世界の森林搾取に奔走することになった。
「世界人口の2%の国が、世界の森林の30%を食い尽くす」・・・と揶揄された。世界中の、熱帯雨林やタイガ、広葉樹林帯など、森林の機能回復再生が困難な地域にまでも、札束をちらつかせながらその豊かな森林を皆伐し、材木を湯水のごとく日本に輸入する手法。。。世界各地から【日本は、森林破壊テロリストだ】とのレッテルを貼られたことは記憶に新しい。
経済成長著しい中国での木材需要における不法・違法伐採がクローズアップされているが、その陰で日本企業による世界森林破壊は今もなお続いているのである。
以下、オーストラリアでの日本企業による森林破壊の一例を紹介する。。。