とどぐまさんの、社会の窓♪


たまに、社会ネタ・政治ネタ・環境ネタなどの記事を書きます。

【黄色いドラム缶で厳重管理が必要なものが日本中に拡散されている】

2012年12月03日 17時17分06秒 | 放射性物質含有瓦礫広域処理

放射性物質は、【封じ込め、拡散させないことが原則】です。これは、世界の常識です。


その観点から、東日本大震災前まではIAEAの国際的な基準に従って、放射性セシウム濃度が1キロあたり100ベクレルを超える場合は、特別な管理下に置かれ、低レベル放射性廃棄物処分場に封じ込めてきました。(クリアランス制度)

ところが日本政府においては、東日本大震災後、福島県内限定の基準として出された8000ベクレル(従来の基準の80倍)を、この度の広域処理の基準にも転用しました。
十分な説明も、情報開示も、論理的根拠の明示も無いままにです。

現在原子力発電所の事業所内から出た廃棄物は、『100ベクレルを超えれば、低レベル放射性廃棄物処分場で厳格に管理されている』のです。
ところが、福島県内限定基準とされてた基準値の転用に伴って、8000ベクレルを放出する放射性物質含有瓦礫や焼却灰が、東京都をはじめ全国各地の自治体で焼却・埋立処分がなされています 。

ここでひとつお考えいただきたいのは、≪この8000ベクレルという水準は【国際的には低レベル放射性廃棄物】として、【厳格に管理】されている≫ということです。

例えば、フランスやドイツでは、低レベル放射性廃棄物処分場は、国内に1カ所だけです。
これは、不用意な放射性物質の拡散を防ぐためです。
しかも埋め立て処分をする場所での管理方法も、放射性物質が水に溶出して外部にでないよう、地下水と接触しないよう、厳重な管理の元で保管されています。

群馬県伊勢崎市の処分場では『1キロ当たり1800ベクレル』という、国の基準よりも大幅に低い数値の焼却灰を埋め立てていたにもかかわらず、大雨により放射性セシウムが水に溶け出し、排水基準を超えたという報道もあります。 


瓦礫の量も阪神淡路大震災の時よりも多いとはいえ、その総量が環境省発表の通りであるならば、やはり瓦礫は広域処理せずに、現地にできるだけ近いところで処理することが復興支援のためにも適切だと思います。
放射性物質含有瓦礫や、除染作業で出た廃棄物は、決して「無主物」ではありません。出した責任は、原子力政策を推進してきた政府と東京電力にあります。ですから、それらの有毒なゴミは、東電にお返しするのが筋です。運転を停止している東電福島第二原発の敷地内にて、厳重に管理をしてもらいましょう。

マイレージコストをかけてまで、全国に放射性物質含有瓦礫や焼却灰を拡散する事が、本当に被災地の復興に必要な事なのか否か・・・。
わたしたちは、しっかりと見極めていくことが求められているのではないでしょうか。

復興予算の使途が、とんでもないところに充てられていることも発覚しています。瓦礫処理運搬処理利権談合も発生しています。

前:原発事故担当大臣・環境大臣の細野豪志氏は、北九州市での瓦礫受け入れを要請する際、受け入れ反対派の女性に対して『・・・みんな被曝しているんですよ!』と、語気を荒げたセリフは、ネット上ではかなり有名な実話です。

この大臣の発言は、ともすれば【こうなったからには、甘んじて一億総員被曝せよ!】という言葉にも置き換えることができるのではないでしょうか。

大切なことは、【民族の絆】というおかしな言葉にスピンさせられてはならない・・・と言うことです。『情緒的な感情論や、放射性物に打ち勝つといった根拠なき精神論』或いは、『放射性物質安心大丈夫神話』に、短絡的に流されない事です。

復興とは、単純に3.11の震災前の状態に戻る事ではありません。
3.11の震災は、それまで抑え込まれてきた『日本社会の病理』を顕在化させました。
日本を、被災地を、本当に復興へシフトさせていきたいならば、『誰も犠牲にならない・誰も殺されない』という、「命と未来と環境を徹底的に護り、持続しうる社会システムの構築」に向けた思慮思考と適正行動が求められているのだと思います。

とにもかくにも・・・《これ以上、国土環境を放射性物質で汚染しない》という事を選択することが重要です。