レンタルお姉さん…。
何やら意味深な言葉ですが,皆さんのご想像とはちょっと違うかも(いや,そのまんまかも)しれません。
オンディマンドの出版会社「オンブック」の橘川(きつかわ)さんから会社にメールがありました。
出版記念パーティーの案内です。
場所はなんと行徳。わたしの住んでいるマンションの近くです。
本を出されたのは田尾宏文さん。
NPO法人ニュースタートの関連会社の代表です。
NPO法人ニュースタートでは,今,もと「引きこもり」の若者が70人,寮生活を続けています。
寮生活を続けながら社会復帰への準備を行っているのです。
当然ですが,彼等を雇ってくれるところはありません。
ニュースタートでは,彼等の仕事の場も提供しています。
喫茶「縁側」とデイケアの老人介護を中心に行う総合福祉コンビニ「行徳センター」,普段料理「マンマ」そしてインターネット関連企業のタウンタウンという会社などなど。
彼等は,そこで料理を作ったり,ウェイターやデイケアの介護をしていたりしているのです。
NPO法人ニュースタートには,「レンタルお姉さん」が20人働いています。
なかにはイタリア人の留学生の女性もいます。
レンタルお姉さんとは,だから,引きこもりに陥った若者に手紙を書いたり,実際に会いに行ったりして,引きこもりから引き出し活動をしている女性達のことです。
イタリアにもニートはいるそうですが,引きこもりはいないそうです。
イタリアにあるニュースタートの支部でその活動を知り,レンタルお姉さんの活動をすることを条件に入寮した彼女達は,新鮮な驚きをもって,レンタルお姉さんの活動をしています。
「なぜ,引きこもっているの?」とか,「東京ディズニーランドに連れてってよ」など,日本のお姉さんでは絶対言えないことを引きこもりの若者にぶつけるので,レンタルお姉さんとしての成績もよいそうです。
レンタルお姉さんをはじめ,NPO法人ニュースタートの活動については,田尾さんが今回出版した「ニートという生き方ー自己実現の病に冒された社会のなかでー」という本の中で詳しく紹介されています。
この日の出版記念パーティーでは,その田尾さんと寮生の皆さん5人とのディスカッションも組まれていました。
寮生の皆さんの中には,自分から進んで,NPO法人ニュースタートの集まりに出てきた人もいますが,やっぱりレンタルお姉さんに連れて来られた人もいました。
彼等に共通しているのは,働くことがカネを稼ぐ手段としか捉えていないのと,そのために,寮から脱出したあとの彼等のプランが「ノープラン」なことです。
仕事って,確かにカネを稼ぐために仕方なくする仕事もあるかもしれませんが,そうではない仕事や,やりがいのある仕事もあるし,自分でそのように変えていくこともできるはずです。
それを具体的に示してあげると,彼らも社会に出ていけるのではないかと思いました。
田尾さんが『ニート問題は、需要と供給に単純化するとわかりやすい。供給側においては、次の一歩が踏み出せない若者たちを生み出し、かつそれらの若者は自分には完成した個性があり価値が備わっているという「自己実現の病」に感染している。
そしてこの病は社会全般を包んでいる。中高年者も、若い人たちと同じく自己が他人や集団との関係のなかで形成されていくという考え方は乏しい。あらかじめ「開花すべき潜在的な自己がある」という思い込みがある』と書いているのもその意味からだと思いました。
ところで,出版記念パーティーではいろいろな人に会いました。
隣にはこれからレンタルお姉さんになろうと思っている女性が座っていましたし,ホームレスしか販売できない雑誌「ビッグイシュー」の関係者も,販売の方を連れて来ていました。
NPO法人の二神代表もとっても魅力的な方です。
とにかく,自分が住んでいる,こんな近くにとても魅力的なNPO法人があるなんて,大きな発見でした。
毎週水曜日に,ここで行われている鍋会にぜひ顔を出してみたいと思います。
NPO法人ニュースタートの事務局の皆さん,よろしくお願いしま〜す。
参考URL
◎ 無料出版「オンブック」
http://www.onbook.jp/news/index.html
◎ ニートという生き方〜自己実現の病に冒された社会のなかで〜
http://www.new-start-jp.org/360-Book.php3
◎ NPO法人ニュースタート
http://www.new-start-jp.org/index.php3
◎ レンタルお姉さんのBLOG
http://blog.goo.ne.jp/ns_rental