電子書籍プロジェクト,はじめました!

電子書籍の出版にトライしている,ある印刷会社のブログです

レンタルお姉さんってご存知ですか?

2006-10-27 13:17:10 | 出会いに感謝!


レンタルお姉さん…。
何やら意味深な言葉ですが,皆さんのご想像とはちょっと違うかも(いや,そのまんまかも)しれません。

オンディマンドの出版会社「オンブック」の橘川(きつかわ)さんから会社にメールがありました。
出版記念パーティーの案内です。
場所はなんと行徳。わたしの住んでいるマンションの近くです。

本を出されたのは田尾宏文さん。
NPO法人ニュースタートの関連会社の代表です。

NPO法人ニュースタートでは,今,もと「引きこもり」の若者が70人,寮生活を続けています。
寮生活を続けながら社会復帰への準備を行っているのです。
当然ですが,彼等を雇ってくれるところはありません。
ニュースタートでは,彼等の仕事の場も提供しています。

喫茶「縁側」とデイケアの老人介護を中心に行う総合福祉コンビニ「行徳センター」,普段料理「マンマ」そしてインターネット関連企業のタウンタウンという会社などなど。
彼等は,そこで料理を作ったり,ウェイターやデイケアの介護をしていたりしているのです。

NPO法人ニュースタートには,「レンタルお姉さん」が20人働いています。
なかにはイタリア人の留学生の女性もいます。

レンタルお姉さんとは,だから,引きこもりに陥った若者に手紙を書いたり,実際に会いに行ったりして,引きこもりから引き出し活動をしている女性達のことです。

イタリアにもニートはいるそうですが,引きこもりはいないそうです。
イタリアにあるニュースタートの支部でその活動を知り,レンタルお姉さんの活動をすることを条件に入寮した彼女達は,新鮮な驚きをもって,レンタルお姉さんの活動をしています。

「なぜ,引きこもっているの?」とか,「東京ディズニーランドに連れてってよ」など,日本のお姉さんでは絶対言えないことを引きこもりの若者にぶつけるので,レンタルお姉さんとしての成績もよいそうです。

レンタルお姉さんをはじめ,NPO法人ニュースタートの活動については,田尾さんが今回出版した「ニートという生き方ー自己実現の病に冒された社会のなかでー」という本の中で詳しく紹介されています。

この日の出版記念パーティーでは,その田尾さんと寮生の皆さん5人とのディスカッションも組まれていました。



寮生の皆さんの中には,自分から進んで,NPO法人ニュースタートの集まりに出てきた人もいますが,やっぱりレンタルお姉さんに連れて来られた人もいました。

彼等に共通しているのは,働くことがカネを稼ぐ手段としか捉えていないのと,そのために,寮から脱出したあとの彼等のプランが「ノープラン」なことです。

仕事って,確かにカネを稼ぐために仕方なくする仕事もあるかもしれませんが,そうではない仕事や,やりがいのある仕事もあるし,自分でそのように変えていくこともできるはずです。
それを具体的に示してあげると,彼らも社会に出ていけるのではないかと思いました。

田尾さんが『ニート問題は、需要と供給に単純化するとわかりやすい。供給側においては、次の一歩が踏み出せない若者たちを生み出し、かつそれらの若者は自分には完成した個性があり価値が備わっているという「自己実現の病」に感染している。
そしてこの病は社会全般を包んでいる。中高年者も、若い人たちと同じく自己が他人や集団との関係のなかで形成されていくという考え方は乏しい。あらかじめ「開花すべき潜在的な自己がある」という思い込みがある』と書いているのもその意味からだと思いました。


ところで,出版記念パーティーではいろいろな人に会いました。
隣にはこれからレンタルお姉さんになろうと思っている女性が座っていましたし,ホームレスしか販売できない雑誌「ビッグイシュー」の関係者も,販売の方を連れて来ていました。
NPO法人の二神代表もとっても魅力的な方です。



とにかく,自分が住んでいる,こんな近くにとても魅力的なNPO法人があるなんて,大きな発見でした。
毎週水曜日に,ここで行われている鍋会にぜひ顔を出してみたいと思います。

NPO法人ニュースタートの事務局の皆さん,よろしくお願いしま〜す。


参考URL
◎ 無料出版「オンブック」
http://www.onbook.jp/news/index.html

◎ ニートという生き方〜自己実現の病に冒された社会のなかで〜
http://www.new-start-jp.org/360-Book.php3

◎ NPO法人ニュースタート
http://www.new-start-jp.org/index.php3

◎ レンタルお姉さんのBLOG
http://blog.goo.ne.jp/ns_rental

電子書籍「傾いた鳥かご--アフリカ難民達が綴る詩と物語」が発売になりました。

2006-10-12 19:44:44 | 弊社制作物紹介

著者は「わかちあいプロジェクト」です。

わかちあいプロジェクトは1992年フェアトレードを行う目的で立ち上がりました。
活動方針は人種、宗教にかかわらず、人間としての必要条件と尊厳が失われている世界の人々がより人間らしい生活ができるよう、経験、技術、財を「わかちあう」ことです。

今回発売された「傾いた鳥かご〜アフリカ難民達が綴る詩と物語」は,以前,二人のオーストラリア人がまとめて出版したアフリカ・ケニアにある難民キャンプで生活をしている難民たちが書いた詩や物語の翻訳版です。

自費出版として発売していたのですが,もう在庫がなくなったので,電子書籍にしてもらいたいとの依頼を受けて,出版が実現しました。

難民たちが書いた生の英語のテキストと、それらを日本語訳した文章とによって構成されています。

皆さん,難民というと,それだけでひとかたまりで捉えていませんか?

致し方なく難民になった人々には,恥ずかしさもあるし,ひとりひとりそれぞれ違った悲しみをもち,絶望のうちに一筋の希望をもっています。もちろん,物語も詩もあります。

「私が逃げた日」

それは空に光る稲妻のように突然だった
空が変わり、太陽は月のようだった
そんな太陽の下、一日中辺りは暗闇に包まれた
水は、まるで灰を混ぜたかのように苦く
森は、隠れるところもない砂漠と化した

男たちは恐ろしい怪物のように凶暴で
母親たちは子供のことも忘れ、蜘蛛の子を散らすように逃げた
砲撃の恐ろしさで胎内は張り裂けた
道は糸のように細く狭くなった
涙がナイル川のように溢れた

世界は変わってしまった
まるで終わりのときが来たかのように
【作者:John Kibira 35歳男性 自動車技師(ルワンダ難民)】

この本は難民と呼ばれる人々のこころの声です。
食糧配給を待つ「難民」というひとかたまりではなく、私たちとなんら変わりのない一人一人の人間の声。
日本人にはなかなか想像できない難民の実像を彼らの生の声が教えてくれる貴重な一冊といえます。

KeyringPDF形式で税込み525円で発売中!
http://www.papy.co.jp/act/books/1-40173/