ウッズが勝ったがウッズ復活というよりウッズの時代がやはり終わったとの感が強い。
これまで最終ラウンドをトップで迎えた場合の勝敗は30勝3敗。メジャーは8勝全て最終日最終組で回っている。3打差で最終ラウンドをリードしていたのに一緒の組で回っていたディマルコに追いつかれてしまった(メジャーでは初めて)。16番のスーパーショットが無ければ負けていたわけだ(もちろん18番のセカンドの時に駐車場の車のアラームがけたたましくなってショットをバンカーにいれボギーにしたというのもあるが)。マッチプレーが得意で先日のドラールの時のように一緒に回っている直接の競争者を完膚なきまでに叩き潰す、というのが今までのウッズのスタイルであり、今回は全くそういう風にはならなかった。即ち2000年シーズン時には最終ラウンド首位で迎えた場合はテレビを見る必要が無いくらいだったが今回ウッズもその状況でも負けうるということが示されたわけで2000年とは違うということだろう。ウッズの16番とプレーオフのグリーンでの喜び方(=ガッツポーズ)は近年見られないものだった(前回のプレジデンツカップのプレーオフ以来でしょう)ものであり、ウッズの必死さがわかりウッズ自身が他の競争者との差が無いことを自覚していることを示していると思う。つまりウッズも人の子、圧倒的で無くなったということ。
しかし16番のチップショットは凄い。ラフがバックスイングにかかるところでグリーンが池に向かって下りになっている所でグリーン上のごく限られた落とし所を探しスピンをかけてそのポイントの落としたわけで凄すぎるが、ウッズの他のスーパーショット(例えばTPCソーグラス17番で10mくらいのスネークラインのパットを入れたもの)と違って狙っていた以上の結果が出た、つまりラッキーだったのだと思う。
しかしウッズはスロープレーだった。それが後半の悪いスコアにつながったと思う。やはり今までと同じくらいの自信はなかったのだろう。もちろん比較的ペースの早いディマルコのペースを崩すという狙いがあったのだろうが。
ディマルコは落胆よりも自信につながったと思う。ウッズと最終組一緒に回ってあのプレッシャーの中ウッズについて行ってウッズよりも良いスコアだったわけで(メジャーでは2000年全米プロのボブメイのみ)、ウッズにも勝てる、と思ったようだ。プレジデンツカップとライダーカップの経験が自信になり自分のステージを押し上げていると繰り返し言ってきた。胃を口から吐き出しそうなプレッシャーの中でキャプテンの二クラスが来て肩を叩きながら「君のポイントが必要だ」と言われる状況を経験したことが、タイガーなにするものぞ、という気持ちにつながったようだ。最終ラウンドの前のインタビューでもウッズを気にしている様子の報道陣を笑っていた。但し前日午前3時までしか寝られなかった、というのが午前の41につながったと思う。
ディマルコを見て、2つ思ったことは、1つはドライバーの距離は関係無いこと。平均260ヤード程度と日本人と変わらないわけでそういう点で日本人にもチャンスはある。2つめはプレジデンツカップとライダーカップのような経験が日本人プロには少ないこと。やはりもっと海外出ないと。野球もサッカーももっと海外に出ているのだから。
その他の選手は2人があまりに走るので戦闘意欲を失ったというところか。ウィアーは一時3位までいったが。エルスは2週間ずっと重い風邪なのだそうだ。
全米オープンはパインハースト、ウッズは前回3位タイ、全英オープンはぶっちぎりで優勝したセントアンドリューズ、ということで、そうは言っても今年のメジャーはタイガーウッズを中心に回るのでしょう(最初の一行と完全に矛盾するけど)。