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あるがままに ~ Let it be as it lies.

ゴルフ・ごるふ・Golf
ゴルフについて日々感じたことを綴ってみます。

全米オープン マイケル・キャンベル優勝

2005年06月21日 | Weblog
ということで予想はまたも外れてしまった。レティーフ・グーセンが3打差をつけて最終日だったのでそのまま逃げ切るだろうと思っていたが、思わぬ展開、面白い展開になった。キャンベルの優勝の最大の要因はグーセンの自滅だろう。自滅したひとつの理由はやはり先週のトーナメントに出たことから来る「疲労」ではないか。今年はガルシアも最終日に6打差のリードがあって勝てなかったしレナードも大量リードをほぼ吐き出して何とか優勝したという試合もあったので、最終日最終組のプレッシャーというのを改めて感じた年とも言える。キャンベルも何回もトイレへ駆け込んでいたが(文字通り走って行っていた)、もしかしたらプレッシャーで吐いていた、のではと邪推している。

キャンベルはアプローチとパットが良かった。昨年のグーセンもそうだったし、やはりある程度の距離のパットが入ることと、ティーショットをミスしてラフに入り刻むことを余儀なくされパーオン出来なかった場合に如何にパーを拾えるかがポイントだなあと思った。もっともラフに入ってもタイガーみたいに直接狙うという手もあるけど。キャンベルは保守的なプレーをしていた。あとゴルフのセオリーどおり手前から攻める、ということか。前に彼とフレッド・カプルスのマッチを見た時にキャンベルはプレッシャーがかかった時に左へ引っ掛けるくせがあるなあと思っていて、昨日もそれが後半に何回か出ていた(ティーショット数回とセカンドで数回)がその後をうまく処理していた。

キャンベルは苦労人で10年前の全英オープン3日目トップという鮮烈なデビューを果たしたもののその後不振で一度は欧州ツアーのシード権を失っていた。ゴルフを止めることを考えていた時期もあったがそこから復活し勝利を重ね米ツアーへ参戦したものの全く肌にあわず欧州ツアーへ戻っていった。今年も最初の5試合連続で予選落ちの後ここ数ヶ月は10位以内に何度も入る等調子は上向きだった。

他にも最終組のゴアは世界ランク818位だがお金が無いのでツアー(米2軍ツアー)を家族と一緒に自家用車で転戦。途中強盗に入られてカーステレオを盗まれても直す金が無いと言ってそのまま。3位に入ったヘンズビーも数年前にプロゴルファーになるためにアメリカに来た時はゴルフ場の駐車場に車を止めてそこに寝泊りしていた。

キャンベルは今年から開催された海外予選を経ての出場・優勝となった。始まる前に書いたとおりこの大会はアメリカ一を決める大会というのが本音だったので、非アメリカ人の優勝は非常に少ない(ここ50年で6人しかいない)。全英オープンが世界各地で予選を開催し正に「オープン」として世界一を決める大会を目指しているが、全米ゴルフ協会もやはりイギリスに対する対抗意識かより海外に開かれたオープンを目指して今年からイギリスと日本で地区予選をはじめた。そういうわけでキャンベルの優勝は全米ゴルフ協会にとっては象徴的であり一面好ましい結果かもしれないが、本音としては上位にアメリカ人が活躍しなかった、という点で複雑な気持ちなのではないだろうか。

ヨーロッパの選手はやはりガルシアを除いて上位に来なかった。暑さと「アメリカの大会」ということだと思う。ペイビンやニック・プライスなど必ずしもロングヒッターでない選手が上位に入っておりやはり全米オープンはアプローチとパターなのだろう、と思った。

上位に喰い込んだガルシア、ラブ三世は最近調子を上げてきており、特に難しいコンディションでのスコアメークが良いので、次のメジャー全英オープンではウッズとともに大いに注目される選手だと思う。トムズは3日目の最後のダボ・トリが最後まで響いた。

日本人では、今田の健闘が光る。先週も10位だったし、確実にしかし急速にステップアップしている感があり今後に期待したい。米2軍ツアーでもまれた今田が丸山よりも順位が上で、日本での予選を勝ち抜いて出場した深堀が、昨年の日本ツアーの賞金ランクで出場した片山・谷口よりも順位が上だった、というのは今の日本ツアーの現状を象徴的に表していると思う。

全米オープン初日

2005年06月17日 | Weblog
実力者がきっちりと上位に入ってきている非常に面白い展開となった。「何位」というのは余り意味が無い。何打違うか、が問題。2-3ストロークはグリーン周りで簡単に崩れてしまう。最近調子を落としていると見たビッグ5もやはりメジャーに焦点をあてて調整してきたということか。

日本選手が比較的健闘しているので良いが、是非このままスコアを伸ばして全員予選を通過して欲しい。今田は昨年米ツアーの2軍ツアーで上位に入り(賞金ランク20位までが昇格できる)今年から本ツアーに参戦している。先週の試合で10位に入っているが昨日のエントリーの通り4日間暑いなかで上位で戦った疲れが出たのではないかと思う。もっと今田みたいに2軍ツアーに参戦する日本選手が出てもいいのに、と思う。この2軍ツアーの方が日本ツアーよりも日程が長く試合数も多いので、日本ツアーとの掛け持ちは十分可能だし、2-3回上位に食い込めば本ツアーの資格がもらえるのに。

首位のブラウンは予選で59を出した選手で過去に米ツアーで2勝している(ちなみに59なのに5年前に丸山が同じコースで58を出しているのでコースレコードではない)。日が経つにつれてグリーンはどんどん硬く速くなるしプレッシャーもかかってくる。若手のスコットやドナルドなども含めて(日本選手も)、初日だけでなく今後スコアを伸ばしていけるかが問題だ。

最下位のポール・ケーシーは85をたたいている。彼は若手有望株で昨年のメジャーでも上位の成績を収めており今年も欧州ツアーで勝っている。しかし昨年のワールドカップの際に「アメリカ人は尊大でばかだ」という発言をしたと新聞に書かれて以来アメリカではブーイングがひどくてノイローゼになってしまい全く振るわなくなってしまった。

コースの設計者ドナルド・ロスはアメリカで非常に人気がある。スコットランドの北のはずれのロイヤル・ドーノックというゴルフ場のそばで生まれ育ち、アメリカで多くのゴルフ場を設計した。日本で言えばアリソンにあたるでしょう。アメリカでは設計者がひとつの「ブランド」になっていてドナルド・ロスというのはトップブランドに該当する。

まあ、週末が楽しみですね。

全米オープン 優勝者予想

2005年06月16日 | Weblog
マスターズに引き続き全米オープンも優勝者を予想してみる。考慮すべき点は下記の3点。

1.全米オープンの特徴は「暑い!」と「アメリカ一を決める大会」ということである。とにかく暑いので体力がそうとう無いと集中力を持続できない。ただでさえ繊細なタッチが要求されるのに。特に今年はアメリカ南部のパインハーストが舞台だからなおさらだ。そしてメジャーとは言えどもアメリカのナショナルチャンピオンシップであり、アメリカ人に対する応援が凄い。だからヨーロッパ選手の優勝は30年以上も無いわけだ(モンゴメリーはそれで何回も粉砕されている)。

2.マスターズと異なってビッグ5が調子を落としているイメージがある。特にビジェイ・シン。エルスも先週のトーナメントでティーショットをかなり左右に散らしていたし。ミケルソンも2-3月の勢いは無い。ウッズも先月予選落ちしたし。

3.前週の大会(ブーズアレン・クラシック)はかつて全米オープンを開催した(また数年後に開催予定)「コングレショナル・カントリークラブ」(名前の通り代議士が中心になって作ったゴルフ倶楽部)が舞台でありコースの雰囲気(南部の古い林間コース)もパインハーストと似ており事前の調整としては良いところだったと思う。パインハーストにも近いから移動も楽だし。しかし問題はこちらも暑かったこと。だからこの大会に出場した選手はかなり疲弊消耗していると思う。1で述べたように体力が大切なので前週の大会に出たことはマイナスだと思う。


ということでずばり優勝者は前週の試合に出ていなくてアメリカ人でしかも今年(特に最近)それなりに調子が良く世界ランキング上位の、タイガー・ウッズかデビット・トムズだ。

ヨーロッパ選手は無いと思う。コースセッティングが欧州ツアーと余りに違いすぎる。ガルシアは前週に優勝したしこういう古い林間コースが得意な上(NY郊外のウエストチェスターで2勝している)全米オープンで上位に食い込んだ実績もあるので、ダークホースだと思うが、残念ながら前週の試合と全米オープンと2週続けて勝った人が誰もいないので、外しておく。(ちなみに同じく若手成長株のアダム・スコットは新しいコースが得意、TPCのコースで多く優勝している)。

前回のパインハーストでの全米オープン(1999年)を勘案しまた昨年のことも考え、ミケルソンを対抗に入れておこう。

ということであまり代わり映えのしない予想になってしまった。


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このパインハーストは8個のゴルフ場を持つ巨大リゾート。アメリカのセントアンドリュースというべき存在(実際交流がある)。さらにこのリゾートの周囲に多くの別経営のゴルフ場があって、この地域はゴルフリゾートとして有名な地域となっている。全米オープンが来ることで宣伝にもなるし、今回も全米オープンとタイアップした宿泊プランがあった。何よりもこの全米オープンを開催したコースを誰でも廻ることが出来る(ただしグリーンフィー4万円)。

全米ゴルフ協会は、全米オープン開催のゴルフ場を(1)排他的だが伝統のあるカントリークラブ(2)リゾート(3)市営・州営のパブリック を順番に廻ることを決めている。例えば昨年のシネコックヒルズは開場から100年以上、会員100名程度、会員になるために数年かかるという倶楽部であり、一方、2002年・2009年に開催のベスページ・ブラックは州営のパブリック・ゴルフ場で4000円程度でラウンドできる。2008年もパブリックゴルフ場だし。パインハーストとぺブルビーチはグリーンフィー4万円のリゾートゴルフ場。

このようなローテーションをすることでゴルフの関係者が一丸となってゴルフという産業を盛り上げていこうという姿勢をかもし出している。排他的倶楽部のメンバーも、4000円のパブリックのゴルフコースに通う人も、巨大リゾートを経営する人達も、みなが一緒になって盛り上げて産業全体として成長し更なる利益を生み出していこうという姿勢がある。凄いと思うし、日本のゴルフ再興のひとつのアイディアとしても良いと思っている。

スロープレー

2005年06月15日 | Weblog
スロープレーはどのゴルファーも嫌いなもの。ティーグランドで待たされる、セカンドで待たされる。ラウンドがリズムにならない。

先週末の米ツアーで事件が起こった。最終日の、ベン・クレインとローリー・サバティーニの組。ベン・クレインはスロープレーで有名だそうで、一方サバティーニはプレーが早い。この組はラウンドの途中で前の組との間があいたのでオフィシャルから2人に対し警告が発せられ、さらにオフィシャルが時計を持って監視し2人の一つ一つのプレー時間をチェックする事態になった。それでペースが改善されなければ罰打と罰金が科せられる。

たまりかねたサバティーニは17番(パー4)でついに行動に出た。先にセカンドショットを打ったサバティーニはそのままグリーンへ向かって歩き出し、クレインがセカンドを打つときにはグリーン脇で次のショットが打てる状態になっていた。クレインがセカンドを打ちグリーンへ向かってくる間に先にアプローチとパットを済ませクレインがグリーンに着くころにはクレインのプレーを見ずに次のホールのティーグランドへ向かって歩いて行った。18番(パー3)ではグリーン上でたっぷり時間をかけたクレインがバーディで2位タイフィニッシュ。サバティーニはパーで6位。最後にごく簡単に握手をした。

プレーの後クレインはインタビューに応じ、スロープレーな自分が悪い、サバティーニは悪くない、彼の気持ちはわかる、と答え、サバティーニをかばった。

ooooooooooooooooooooooooooo

この事件は、プレー後のインタビューでクレインが「うまく(politically correct)」応じたこと、そしてサバティーニが「天狗」として有名なこともあって、サバティーニが全て悪い、という人も多い(日本語のゴルフダイジェストのHPとか)。

しかしそんな簡単な問題ではないと思う。確かにサバティーニの17・18番の行為は許されるものではない。なんといっても同伴競技者のプレーを見ていないわけだからスコアを付けられない。17番ではグリーンの脇にいたことで明らかにクレインのセカンドショットに影響を与えただろう。テレビの前、多くの観衆の前で手本になるべきプロゴルファーが堂々とエチケット違反をしてはいけない。前の組がスローだからと言って打ち込んで良いと言うわけではないのと同じだ。

しかし、プロとしてしかも優勝を狙える位置にいて、同伴競技者のせいで警告を発せられたというだけで精神的なショックは大きいと思う。ましてそれで罰打や罰金は論外だとサバティーニは思っただろう。その気持ちは当然だと思うし、プレーが早いサバティーニがスロープレーで責められるというのは少し酷な気がする。しかもクレインは自分がスロープレーヤーだとわかっているならばなぜ最初から警告が発せられないように努力しないのだろう(警告の後少しペースをあげたのでオフィシャルの監視は中断になったらしい)。

スロープレーというものにゴルフ場もPGAも比較的寛大な気がする。二クラスはスローだし、ビジェイ・シンもミケルソンもハリントンもあまり早くない。マスターズのタイガーも非常にスローだった。そしてそれらに触発された一般ゴルファーも十分に時間をかけてしまう。

だからこの事件をただ単にサバティーニへの罰金なんかで済ませずに教訓にして、スロープレー撲滅へ動いて欲しいと思う。もちろんこのエントリーはスロープレーをしている私自身に対する戒めでもあるが。(でも難しい問題だ。前の組がスローだからと言って打ち込んで良いと言うわけではないから。)