よみがえるケインズ

ケインズの一般理論を基に日本の現代資本主義を読み解いています。
カテゴリーが多岐に渡りすぎて整理を検討中。

GDP統計から見た株高と景気停滞感の原因  消費者物価を分析する

2024年03月11日 | 先進国の経済学
 物価とはなんだろう?
 消費者物価の総額は輸入+付加価値だ。付加価値は賃金と利潤に分けられる。当たり前だが重要だ。これ以外にケインズの言う使用価値が含まれるがここでは深入りしない。

  消費者物価指数は、財とサービス、財+サービスの総合と三つに分けて公表されている。
財とサービスについてはこちらを⇒https://www.stat.go.jp/data/cpi/2010/mikata/pdf/fu3.pdf


 
 2023年の結果は財が111.1、サービスが100、総合が105.6という結果になっている。

  財とサービスにはそれぞれの特徴がある。

 財:大資本による供給の割合が大きく、価格支配力がある(値上げがしやすい)うえに人件費比率が小さい。
 サービス:その逆で価格支配力が小さいうえに、人件費比率が極めて大きい。

 この4年間でみるとさらに見えてくるものがある。


 
  コロナ禍の下での「巣ごもり需要」は製造業にとっては追い風となり、サービス業については向かい風となった。我々の体感通りだ。2023年12月では財112.7に対してサービス100.8。サービスはようやく2020年基準に戻したものの財価格の上昇には全く追いついていない。実質では売り上げは下がっているわけでサービス業の従事者は「貧しくなっている」と言っても過言ではない。

 こういう議論の行く末は、「サービス業の生産性向上を」といったものがこれまでの「常識」だった。サービス業の生産性向上ってどうすればいいの?ということを置いておいても、実はこういう議論こそ、経済の実相を見ない机上の空論である。

 次回は、では実相とは何か?サービスとは何か?から政府の財政のあり方を探る。

その前に、補足:
 一国の消費者物価の総額=輸入+賃金+利潤である。輸入財の価格か、労働力の価格である賃金が上昇しない限り消費者物価は上昇しない。

 現在起きている消費者物価の上昇は輸入財の上昇によるものであることに異論はあるまい。それが賃金の上昇につながって初めて金融政策の出番となる。つまり異次元の金融緩和からの出口である。度々書いているが日銀もこのように考えていることは間違いない。

最近の金融経済情勢と金融政策運営 日本銀行総裁 植田 和男 2023年11月6日
賃金・物価の相互連関を巡る最近の状況について 2024年2月26日

 この間の物価上昇を賃金の上昇につなげる上で政府は重要な役割を持っている。それは「賃上げ企業に減税」といった枝葉のことではなく本質的な問題である。

次回は、サービス価格と政府支出の関係について

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