よみがえるケインズ

ケインズの一般理論を基に日本の現代資本主義を読み解いています。
カテゴリーが多岐に渡りすぎて整理を検討中。

1-01:日本経済を読む:G7の中での日本

2021年10月04日 | 現代経済を考える
新カテゴリの大それた趣旨:ケインズ経済理論と現代資本主義分析  これまでケインズの「雇用、利子および貨幣の一般理論」を読みながら、ケインズ経済理論を検討してきた。 分かったことは、世間のケインズ経済理論理解の多くは間違っており、やはり一般理論を読み解きながらケインズ経済理論を再構築する必要があるということだった。 ケインズ理論はその性質上、分析哲学を基礎としており、いくつかのテーゼから壮麗なる上部 . . . 本文を読む

1-02:その人たちは供給側からしか物事を考えられない キャーッ!  GDPをめぐる通説はここが間違っている 

2021年10月04日 | 現代経済を考える
供給側か需要側か、それが問題だ 「日本の生産性は低い」「解雇規制が問題だ」「国際競争力は低下している」「グローバルスタンダードにキャッチアップしていかなければ日本の未来はない」「成長を妨げている規制の撤廃が必要だ」云々。いやというほど目にしてきた言葉である。 これらはすべて企業側(供給側)からみた問題の捉え方だ。企業活動がより自由に行えるようにすれば、生産性が上がり、あるいは生産性の低い企業も労働 . . . 本文を読む

1-03:こんな・・・でも・・・ 古典派・現代正統派の典型的主張

2021年10月03日 | 現代経済を考える
財務省の「指導理論」? 以下に掲げるのは財務省の広報誌ファイナンス2019年10月号に掲載された書評である。小黒氏が荒巻氏の「日本経済長期低迷の構造 30年にわたる苦闘とその教訓」を論じておられる。お二人とも元大蔵官僚⇒経済学者だ。キャリアと掲載誌からみて、財務省の指導理論(もしそのようなものがあったとしたら)である。 なかなか味わい深いので、まずは全文をご検討いただきたい。典型的な供給 . . . 本文を読む

「再分配」と「財源」の問題:お金の沼、金融資産の海に溺れる日本 1 日銀資金循環統計:「再分配」と「財源」の問題

2021年10月02日 | 現代経済を考える
 総選挙が近づき与野党ともに「再分配」の額の大きさを競っているようだ。  一方で、「『このままでは国家財政は破綻する』矢野康治財務事務次官が“バラマキ政策”を徹底批判 」 とか「桜田氏(同友会)は、新型コロナウイルス感染症対策で膨らんだ財政支出について『足元で困っている方々への支援金を含め大規模に使うことには反対しないが、将来への負担をどのように解消するのか(総選挙の論戦で . . . 本文を読む

再分配で重要なこと:お金の沼、金融資産の海に溺れる日本 2 

2021年10月01日 | 現代経済を考える
積み上がってしまった余剰資金をどうするのか?もはや業として成り立っていない銀行 今回は資金循環統計から「預金取扱機関」を分析してみよう。預金取扱機関(銀行等だが以下、銀行)全体のBSを作成した。 資産の反対側には負債がある。銀行にとって国民の預金は負債となる。 その銀行にとって 負債となる国民の預金は1660兆円まで膨れ上がっている。グラフの負債側「証券78兆円」は自己資本だ。それに対して資産側は . . . 本文を読む

1-04:国際競争力という幻、貿易立国という神話

2021年09月30日 | 現代経済を考える
 見出しから結論が分かってしまうような文章は嫌いだが、ブログの見出しはキャッチーじゃなきゃ、ということでご理解を。 「巨額の公的債務」と「国際競争力の低下」で日本は没落しつつある、というのが「識者」の共通理解のようである。なんと簡単に枕詞のように使われている事か・・・自らの無知をさらけだしているだけなのに。 公的債務は一国全体で見た過剰資金の裏返しであることはすでに見た。「国際競争力の低下」につい . . . 本文を読む

2-01:設備投資をしない企業に存在意義はない GDPの内訳

2021年09月29日 | 現代経済を考える
 「債務問題」「貿易問題」にかたを付けた(?)ので、今回から本題に入る。GDP統計の話である。今回と次回は統計自体の話となる。GDPの内訳だ。少々退屈だがお付き合いを願いたい。 国民経済計算(GDP統計)はどのようにGDP(支出側)を算出しているのだろう。これからGDPの内訳を見ていくが、その前にいくつか注意をうながしておきたいことがある。国民経済計算https://www.esri.cao.go . . . 本文を読む

2-02:投資の停滞が長期停滞を招いている GDPの内訳

2021年09月28日 | 現代経済を考える
 GDP統計は一国の経済を家計・政府・企業の三部門に分け、その三部門の消費・投資それぞれを集計し足し合わせたものである。消費と投資に大別すると下記のようになるのは前回見たとおり。消費   家計       民間最終消費支出         政府       政府最終消費支出&nb . . . 本文を読む

3-01:家計部門が抱える問題:所得は減少、可処分所得はさらに減少

2021年09月27日 | 現代経済を考える
 GDPの内訳を検討すると、総消費は漸増だが、大半は政府消費。その財源を家計に求めているため家計消費は振るわない。その状況下では、消費が伸びないのだから、企業の設備投資にも期待は持てない。・・・というのが前回までの全体を見渡した話だった。 で、今回から各部門の分析である。家計⇒企業⇒政府の順に分析を進めていく。今回は家計部門である。 消費のためには、まず所得だ。所得がなければ消 . . . 本文を読む

3-02:洒落にならん状態の家計:家計の可処分所得と消費・貯蓄

2021年09月26日 | 現代経済を考える
 前回、家計の所得は1997年と比べてマイナス5%、16.64兆円の減少であることを見た。稼得所得中の可処分所得はさらに減少しておりマイナス13.45%、31.1兆円の減少であった。それは所得が伸びないうえに、「財政再建」や社会保障費の増大の負担を家計に負わせているからである。 それに対する筆者の考え方は、雑に言えば、「眠らせている金融資産」を原資に成長を図れというものである。 今回扱う「可処分所 . . . 本文を読む