TV AGE発・月刊「てりとりぃ」のこと

 
TV AGE発・月刊「てりとりぃ」のこと

大久達朗

  先日シンコーミュージックが発行する某雑誌にて「ああ卒業式で泣かないと、冷たい人といわれそう」というタイトルで連載原稿を書きました。そして翌月のその連載のタイトルは「ああ卒業しても友達ね、それは嘘ではないけれど」でした。おそらくその雑誌の読者はだれもそのネタには気づかないんでしょうね……。まあそんなことはいいんですけど、春です。桜の季節です。ウチの近所の中学校にある桜の木も見事に開花しました。


 おっ、ショパンですか、笹川キャップ。ショパンといえば黒瀬真奈美「恋想曲」です。おそらく日本の音楽誌でこの曲をベタ褒めしたのは筆者だけだと思われますが(笑)、その後とあるイギリス人から「どうしてもこのCDが欲しい」とか、知ったこっちゃねーよ、なメールを執拗に送られて困ったりもしてました。「ユニバーサルがYOUTUBEにPVアップしてるから、それで我慢しろよ」と返信しておきましたが、さて紳士の国イギリスのダンディなおにいさん達は、この曲を聴いてどう思ったんでしょうね。


2008年、アニメ「ヤッターマン」がリメイクされた時のエンディング・テーマに使用された黒瀬真奈美「恋想曲」。ショパンの「ノクターン/夜想曲 OP9 No.2」のモロ使いです。バックは「12人のバイオリニスト」ですが、リーダーの高嶋ちさ子氏は不参加。

 ところで、ショパンと言えば今当方的にタイムリーなのは三木鶏郎です。日本で初めてCM音楽を作った、という日本音楽界の大御所さんなわけですが、この春「三木鶏郎リリカル・ソングス」と題された新しいコンピレイションが「TV AGE」シリーズから発売になります。
 これは単なるCMソングのヒット・コンピレイションではなくて、タイトルが示す通り、彼が残した音楽のなかから、メランコリックでリリカルな音楽ばかりを集めた、というものです。詳細はもうじきレコード会社(ウルトラ・ヴァイヴ)やTV AGEのオフィシャルHPにアップされると思いますので、そちらを参照していただければと思います。


こちらもジャケを当方が担当させていただいたCDなんです。三木鶏郎氏は野坂昭如、永六輔等が参加した「トリロー・グループ」なるものの総帥であり、同時にジョージ川口、小野満、鈴木章治等を輩出した「三木鶏郎楽団」というグループも率いたそうです。いや、当方もさっきウィキで読んで知ったばかりなんですけどね。

 その「三木鶏郎リリカル・ソングス」というCDのクロージング・ナンバーはペギー葉山&ダークダックスが歌う「泣きたいような」という曲なのですが、この曲は上述したショパン「ノクターン/夜想曲 OP9 No.2」に三木鶏郎が歌詞をつけたという楽曲です。1950年代当時の日本ジャズ界のトップ・シンガーだったナンシー梅木もこの曲をレパートリーにしている(51年録音)ことで有名ですが、やはり我々日本人にとっては、この「ノクターン/夜想曲 OP9 No.2」は琴線に触れる何かをもっていると思われます。今風にいうならば、「胸が熱くなるな」ということでしょうか(笑)。やはりショパンは偉大です。

 さて、やっと本題です。そんな貴重な音源を続々とリリースするTV AGEシリーズなんですが、その総帥・濱田高志氏はこの春新たに新しいメディアに挑戦するとのこと。それは何か、といえば、フリーペーパーなんだそうです。



 雑誌、インターネットへの寄稿は勿論、定期講義やFMラジオなどでもバリバリ露出しまくってるオイソガ氏(……死語ですね)の濱田氏ですが、その彼が徹底したアナログな手法で作ったフリーペーパー「てりとりぃ」の初回号が先日発刊されたばかりです。
 本人曰く「学級新聞、みたいなモンですね」とのことですが、題字にあの宇野亜喜良を起用するような豪華な学級新聞は存在しないでしょ、さすがに(笑)。実は執筆陣もメチャ豪華で、濱田氏の人脈には相変わらず驚かされます。

 しかし今から30年ほど前「学級新聞の鬼」と異名を持った当方。このニュースに黙ってはいられません。オラにも原稿をかかせてくれー、と無理を言い、なんとか濱田氏のご許可をいただいております。次号以降、お邪魔させていただく予定になっております。


配布の時期や場所、詳細に関してはオフィシャル・ブログ参照のこと。

 世間様からは「アナクロ」と勝手に評されそうなメディアではありますが、そこに存在するインディペンデント精神(これは資本という意味ではなく、もっとパンキッシュでアクティヴな意味です)は、今最も新しいハズの手法ですし、何より「新宿の時代」とでも呼びたくなるような、あの1960年代のアート・ディケイドを彷彿とさせる天才・宇野亜喜良のイラストを見たら、当方のような人間は熱くならざるを得ません。
 ここで「時代は繰り返す」という感想を持つことも、もちろん読者各々の自由だとは思います。が、当方的にはポール・ウェラーが放った言葉「過去から未来がやってくる」を思い出させずにはいられない、そんな「学級新聞魂」なのです。





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