ジョン・ライドン初来日の思い出
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『ミュージック・ライフ』1983年7月号、ジョン・ライドンが2度目の表紙を飾った号。
お世話になっております。ジョン・ライドン自伝、まだまだ読み終わりません。濃い内容とすごいボリュームで幸せな時間を過ごしております。というわけでライドン関係の投稿です。
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ジョン・ライドン初来日の思い出
ジョン・ライドンの自伝発売にともない、まるでライドン祭りと化しておりますこちらのブログ。さもしい顔といやらしい目付きで周囲からつねに距離をおかれている陰気な辻口さんがこれほどまでに浮かれはしゃいでブログを更新することも珍しいですが、いやいや、これ、それほどおもしろい本ですよ。寝転んで読むとなると2ページも読まないうちに腕が痺れる厚さと重さと文字の多さ。ライドンの言葉のシャワーは一風変わった生暖かさですがえらく気持ちのいいもんです、はい。
自伝を読んでいてもわかるんですが、ジョン・ライドンて人は頭の回転が速く、ユーモアやサービス精神にあふれた知的な人なんですね。ピストルズ時代はスキャンダラスな部分ばかりがクローズアップされ、危険人物としてイメージづけられてばかりいましたが、それが彼の本質でなかったことはこの本を読めば瞭然。虚心坦懐に向き合えば話し合うことのできる人であり、ユーモアも忘れない懐の深い人でもあったわけで、けして危ない人間ではなかったんですね。
そこでふと思い出したのが、ライドン初来日のときのこと。PiLとして初めて日本に来た当時の彼はやはり“危険人物”とされていて、そりゃあ日本の各方面の方々はビビリまくっていたんじゃないんでしょうか。いまと違って当時は入ってくる情報も少なく、しかもその少ない情報があまりにヴァイオレンスに満たされたものだったために業界はある種の厳戒態勢にあったような気がします。
前の方で観てたら殴られるんじゃないの? 乱闘騒ぎに巻き込まれちゃうんじゃないの? そもそも血を流さずに帰ってなんかこれないんじゃ……?
来日が決まってからというもの、なにやら物々しい空気に包まれながらのライドン一行の初ライヴ。これには自分も行きましたよ、そりゃとんでもなくビビリながら。ピリピリした空気が張り詰めた開演前の会場の雰囲気から、ライドンならではの強烈なパフォーマンスを見せつけたライヴ本編の様子までの記憶はいまだ頭に焼き付いて離れません。ま、このあたりの話は、近々企画されるでありましょうTHE DIGの「ジョン・ライドン・ムック」のためにとっておくとしますが(編註:今のところその予定はありません)、それとは別に、日本公演を前に彼がラジオ出演したときのインパクトもまた強烈に記憶に残るものでした。
初来日直前、1983年9月号目次
「全英トップ20」なるラジオ番組に出演したライドン。メイン・パーソナリティの大貫憲章にもかなりの緊張がうかがえました。そりゃそうでしょう。自分をアナーキストと呼んでイギリス社会を蹂躙してきた、危険人物としてマークされる男が来るんですから。自分もラジオの前で「大貫憲章、ボコボコにされちゃうのかなぁ」とただただナーバスになっていたことを覚えてます。
が、スタジオに登場したライドンはその瞬間から陽気に喋りまくり、まるで道化。さらに、なぜか当時ヒットしていたマイケル・ジャクソンの“Beat It”のサビをことあるごとに歌いまくるという衝撃的な展開。唖然とするばかりでした。罵詈雑言で放送を掻き乱すといったところは予想どおりでしたが、それでも聞かれたことにはユーモアを交えて答えていたし(もちろん言わなくてもいい余計なこともふんだんに盛り込みながら)、その頭の回転の速さと弁舌のなめらかさ、そして意外なサービス精神にびっくりしたことをはっきりと思い出します。大貫憲章をぶん殴り、スタジオを破壊し、メチャクチャなままエンディングへ、といったことを想像していた自分ですが、実際の彼の理知的なお茶目さには感動で鳥肌が立ちました。そうか、ジョン・ライドンて人はすごく頭のいい男なんだなぁと。PiLの音楽なんて頭よくなければ絶対できないもんだしなぁとそこで合点がいった記憶があります。
今回発売された自伝も、この初来日のときに感じたジョン・ライドンの姿がそのまま書かれています。これを読んでいるとどうしようもなくPiLのライヴを観たくなってきますが、いまやっているツアーに日本の予定はなし……。ただ「日本で自伝がえらく売れてるよ」とかいうことが伝われば彼は必ず来てくれるはずです。ジョン・ライドンや彼の周辺に少しでも興味がある人は必読の本ですよ、これ。
と、まぁ辻口さんにゴマをするわけではまったくないんですが、この本はとにかくおもしろいです。なんといまライドンさんは日本のファンのために本にサインしてくれてるんですって? と、このブログもチェックしてくれてるですか? いやー、ポール・クックにも自伝書いてほしいなんて言ってるの見られてたらすごい非難されそう……。ですがライドンさん、今度来日したらぜひご挨拶させてくださいまし。好きな日本酒差し入れしますから、ね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/a5/6200f3a7089095b685a8b425392436cf.jpg)
実は「そろそろ次の投稿送ってよ」と頼もうと思ってたところでした。当面こちら発信のものは『ジョン・ライドン新自伝 怒りはエナジー』宣伝ばっかりになるから、「なるべく関係ない話で」と。そうしたら頼んでないのに送ってきてくれたのは嬉しい……んだけど、なんだまたジョン・ライドンかよ!──なーんて文句言いたくなったりはしてませんよ? ありがとうありがとう、さすが俺たちのVK石井。今でも「ヴァージン・キラー」で検索してこのブログを間違って踏んでいく人結構いるよ!
というわけで、次回投稿はジョン・ライドン以外の方向で! 『新自伝』のお話の続きは、居酒屋ですることにしましょう。なお、トップの画像は1983年7月号『ミュージック・ライフ』で、初来日直前のジョン・ライドンをNYでキャッチ!してのロング・インタヴュー掲載。さらに来日時のインタヴューは、前後編の2回に分けて次号と次々号の8・9月号に掲載されております。
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『ジョン・ライドン新自伝 怒りはエナジー』
ジョン・ライドン 著/田村亜紀 訳
お世話になっております。ジョン・ライドン自伝、まだまだ読み終わりません。濃い内容とすごいボリュームで幸せな時間を過ごしております。というわけでライドン関係の投稿です。
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ジョン・ライドン初来日の思い出
VK石井
ジョン・ライドンの自伝発売にともない、まるでライドン祭りと化しておりますこちらのブログ。さもしい顔といやらしい目付きで周囲からつねに距離をおかれている陰気な辻口さんがこれほどまでに浮かれはしゃいでブログを更新することも珍しいですが、いやいや、これ、それほどおもしろい本ですよ。寝転んで読むとなると2ページも読まないうちに腕が痺れる厚さと重さと文字の多さ。ライドンの言葉のシャワーは一風変わった生暖かさですがえらく気持ちのいいもんです、はい。
自伝を読んでいてもわかるんですが、ジョン・ライドンて人は頭の回転が速く、ユーモアやサービス精神にあふれた知的な人なんですね。ピストルズ時代はスキャンダラスな部分ばかりがクローズアップされ、危険人物としてイメージづけられてばかりいましたが、それが彼の本質でなかったことはこの本を読めば瞭然。虚心坦懐に向き合えば話し合うことのできる人であり、ユーモアも忘れない懐の深い人でもあったわけで、けして危ない人間ではなかったんですね。
そこでふと思い出したのが、ライドン初来日のときのこと。PiLとして初めて日本に来た当時の彼はやはり“危険人物”とされていて、そりゃあ日本の各方面の方々はビビリまくっていたんじゃないんでしょうか。いまと違って当時は入ってくる情報も少なく、しかもその少ない情報があまりにヴァイオレンスに満たされたものだったために業界はある種の厳戒態勢にあったような気がします。
前の方で観てたら殴られるんじゃないの? 乱闘騒ぎに巻き込まれちゃうんじゃないの? そもそも血を流さずに帰ってなんかこれないんじゃ……?
来日が決まってからというもの、なにやら物々しい空気に包まれながらのライドン一行の初ライヴ。これには自分も行きましたよ、そりゃとんでもなくビビリながら。ピリピリした空気が張り詰めた開演前の会場の雰囲気から、ライドンならではの強烈なパフォーマンスを見せつけたライヴ本編の様子までの記憶はいまだ頭に焼き付いて離れません。ま、このあたりの話は、近々企画されるでありましょうTHE DIGの「ジョン・ライドン・ムック」のためにとっておくとしますが(編註:今のところその予定はありません)、それとは別に、日本公演を前に彼がラジオ出演したときのインパクトもまた強烈に記憶に残るものでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/1a/3e/93d6209f9558566da3b3992ffa745ec6_s.jpg)
「全英トップ20」なるラジオ番組に出演したライドン。メイン・パーソナリティの大貫憲章にもかなりの緊張がうかがえました。そりゃそうでしょう。自分をアナーキストと呼んでイギリス社会を蹂躙してきた、危険人物としてマークされる男が来るんですから。自分もラジオの前で「大貫憲章、ボコボコにされちゃうのかなぁ」とただただナーバスになっていたことを覚えてます。
が、スタジオに登場したライドンはその瞬間から陽気に喋りまくり、まるで道化。さらに、なぜか当時ヒットしていたマイケル・ジャクソンの“Beat It”のサビをことあるごとに歌いまくるという衝撃的な展開。唖然とするばかりでした。罵詈雑言で放送を掻き乱すといったところは予想どおりでしたが、それでも聞かれたことにはユーモアを交えて答えていたし(もちろん言わなくてもいい余計なこともふんだんに盛り込みながら)、その頭の回転の速さと弁舌のなめらかさ、そして意外なサービス精神にびっくりしたことをはっきりと思い出します。大貫憲章をぶん殴り、スタジオを破壊し、メチャクチャなままエンディングへ、といったことを想像していた自分ですが、実際の彼の理知的なお茶目さには感動で鳥肌が立ちました。そうか、ジョン・ライドンて人はすごく頭のいい男なんだなぁと。PiLの音楽なんて頭よくなければ絶対できないもんだしなぁとそこで合点がいった記憶があります。
今回発売された自伝も、この初来日のときに感じたジョン・ライドンの姿がそのまま書かれています。これを読んでいるとどうしようもなくPiLのライヴを観たくなってきますが、いまやっているツアーに日本の予定はなし……。ただ「日本で自伝がえらく売れてるよ」とかいうことが伝われば彼は必ず来てくれるはずです。ジョン・ライドンや彼の周辺に少しでも興味がある人は必読の本ですよ、これ。
と、まぁ辻口さんにゴマをするわけではまったくないんですが、この本はとにかくおもしろいです。なんといまライドンさんは日本のファンのために本にサインしてくれてるんですって? と、このブログもチェックしてくれてるですか? いやー、ポール・クックにも自伝書いてほしいなんて言ってるの見られてたらすごい非難されそう……。ですがライドンさん、今度来日したらぜひご挨拶させてくださいまし。好きな日本酒差し入れしますから、ね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/a5/6200f3a7089095b685a8b425392436cf.jpg)
実は「そろそろ次の投稿送ってよ」と頼もうと思ってたところでした。当面こちら発信のものは『ジョン・ライドン新自伝 怒りはエナジー』宣伝ばっかりになるから、「なるべく関係ない話で」と。そうしたら頼んでないのに送ってきてくれたのは嬉しい……んだけど、なんだまたジョン・ライドンかよ!──なーんて文句言いたくなったりはしてませんよ? ありがとうありがとう、さすが俺たちのVK石井。今でも「ヴァージン・キラー」で検索してこのブログを間違って踏んでいく人結構いるよ!
というわけで、次回投稿はジョン・ライドン以外の方向で! 『新自伝』のお話の続きは、居酒屋ですることにしましょう。なお、トップの画像は1983年7月号『ミュージック・ライフ』で、初来日直前のジョン・ライドンをNYでキャッチ!してのロング・インタヴュー掲載。さらに来日時のインタヴューは、前後編の2回に分けて次号と次々号の8・9月号に掲載されております。
辻口稔之
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『ジョン・ライドン新自伝 怒りはエナジー』
ジョン・ライドン 著/田村亜紀 訳
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