ポール・クックもぜひ自伝を

右端がポール・クックです。みなさんご存知かとは思いますが、念のため。

 いつもお世話になっております。VKです。なんとジョン・ライドンの自伝、辻口さんが担当してらしたんですね。ビデオ・メッセージにインタビューまでしてらしたとはさすがです。ライドンさんもすごく好意的で、やっぱりいい男ですなぁ。そんなわけでライドン自伝の流れでのお話しでもひとつ。
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ポール・クックもぜひ自伝を
VK石井

 あるアーティストが自伝を書いた場合、ファンであるならばその自伝には否応なしに興味がわきます。たとえその内容が誇張されていたり真実がねじ曲げられていようとも、当の本人の言葉であるなら相応の価値があるはず。自伝を書かないアーティストも多いなかで、積極的に自身の過去を著すアーティストがいるというのはそのファンにとってはうれしいものです。まぁ、なかには“どうしようもないクズ野郎”という認識を上塗りさせる本もあったりしますが、でもどんな内容のものであれ、ファンであれば歓迎するのが自伝というものでしょう。


『ジョン・ライドン新自伝 怒りはエナジー』
ジョン・ライドン 著/田村亜紀 訳


 ただ、自伝なんてものは大抵の場合、一生に一冊書いてくれればOKなものです。が、かのジョン・ライドンはなんと二冊目の自伝を著したとか。ライドンオヤジは、パンク/ニュー・ウェイヴに多大な影響を与え、いまだ絶大な影響力をもち続けるアーティストであると同時に、明晰な頭脳と惚けた口先で音楽業界を渡り歩いてきたタフな経歴の持ち主。そんな男の半生がたっくさんの言葉で綴られている自伝はこれまた非常に興味をそそる代物です。自分はまだ一ページも読んでないんですが、えらく分厚いこの本を見るだけで語り部としてのライドンオヤジに期待せずにはいられません。なんといっても本のタイトルが「怒りはエナジー」ですよ! 言葉で世界を撹乱させまくってきた男は、まだまだ言いたいことが山ほどあって、怒りを糧にそれをぶちまけておられるってことなんでしょう。いったいどんだけ怒りが蓄積しとるんじゃいと心配にもなりますが、それも実にライドンらしくてカッコイイところです。たとえテキトーな戯言であってもそれは百戦錬磨のオヤジの金言に他なりません。多忙なPILのかたわらでせっせと言いたいことをぶちまけちゃった怒りの自伝、これ面白くないわけないですよ。

 と、そんな自伝に思いを馳せるかたわら、そういえばセックス・ピストルズ関連の本てたくさん出てるよなぁとあらためて感じてるこの頃です。やっぱりパンクの先頭を突っ走ってたバンドなだけあってピストルズの評伝は多いですね。さらに、その衝撃的な生涯ゆえにシド・ヴィシャスの評伝も少なくないのはさすがパンクの象徴といったところ。自伝でいうとグレン・マトロックも彼らしい物言いの伝記を出してますし、最近ではヴィヴィアン・ウェストウッドの自伝も日本版が出ました。その一方で、評伝が意外に少ないのがネタ満載なはずのマルコム・マクラーレン。彼はウェストウッド同様、ファッション関係の本で取り上げられることが多いようですね。でももし彼が自伝を書いていたならデタラメだらけのかなり面白いものになったはずで、いまさらながらやっぱり惜しい人を亡くしたと感じ入るばかりです……。


あれから20年、1996年の4人。……といっても、これももはや20年前なんですね。そしてここでもポールは右端です。

 スティーヴ・ジョーンズとポール・クックについての本はというとこれがまた皆無のようで、なんとも淋しいかぎり。個人的にはこの二人のどちらかが自伝を書いたら面白いんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。ライドン加入前のバンド活動からピストルズ解散、その後二人が結成したプロフェッショナルズでの活動までに焦点を絞ればかなり興味深い本になりそう。さりとてジョーンズが自伝を書いたとしても内容のほとんどが彼のコソ泥日記に終始する可能性も大……。ただクックの場合はきちんとした自伝になるのではないかという気がします。スキャンダラスなピストルズを常に背後から眺めていた男の記憶、それがもし本になるのならそれはパンクを語るうえで絶好の資料になるやもしれません。彼に文才があるのかどうかは知りませんが、ぜひともピストルズのエピソードを中心に、盟友ジョーンズの悪事も面白おかしく書いてくれたらいいなぁと。まぁもし出したとしてもライドンオヤジの罵詈雑言を浴びることは間違いないでしょうけど、それがいい宣伝になるのも確実です。今のところ、“Paul Cook”で検索すると料理本ばかりがヒットするので、クックさんの自伝が出たとしても料理本の中から見つけださなくてはいけなくなりそうですが……。


リッチ・キッズとプロフェッショナルズのジョイント公演は延期&会場変更ですのでご注意ください。画像拝借しちゃったごめんね。


 今月半ば(※)には、前述したプロフェッショナルズと、ミッジ・ユーロとマトロックのバンド、リッチ・キッズが一夜かぎりのジョイント・ライヴを行なうそうで。プロフェッショナルズにジョーンズがいないのは残念ではありますが、ピストルズで日陰の身だったクックとマトロックがこの日に共演するとなったら、最後は二つのバンドが合体して、かつてのパンク・クラシックをぶちかますことはもうお約束でしょう。“怒りはエナジー”と怒っているオヤジはこの回顧的なイヴェントをどう感じてるんでしょうか。クックさん、回顧的になるならこれから自伝でもどうですか?
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 そういえば、ブラジルのサッカー選手、ネイマールはわずか22歳で自伝を書いてることを思い出しました。22歳で人生を振り返るのもかなりなものですが、これからも有望なネイマールならあと三冊くらいは自伝を書ける濃い人生を歩むでしょうねぇ。
 辻口さんもかなり濃厚な人生を送ってきた方なので、これから過去を見詰める回顧録でも出してくれることでしょう。おそらくシンコーさんはあまりにも道徳的にリスキーな「辻口自伝」(略して“つじでん”)の刊行に難色を示すでしょう。なので出版は闇ルート。シンコーさんのホームページには案内が出ませんので、購入希望の方は直接辻口さん本人とコンタクトをとってください。よろしくお願いします。

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 つじでん書いちゃっていいの? そんなことより『狂熱のカッパ伝説 by VK石井』のが読みたい人絶対多いだろ!……ともあれ、長い長い、そしてとても遠回しな「『ジョン・ライドン新自伝』ちょーだい」な投稿どうもありがとうございました。これまでの何十回にもおよぶ執筆&投稿のお礼代わりに送ります。読んだら感想をまた投稿してね。ていうか他で宣伝しまくって5冊くらい売って来てください。ではまた!

※なお、本文中にリンクも張っておきましたが、スティーヴ抜きのプロフェッショナルズ+リッチ・キッズのダブル・ヘッドライナー公演は1ヵ月ほど延期になると共に、会場が変更になっている模様です。いらっしゃる方、ご注意ください。




『ジョン・ライドン新自伝 怒りはエナジー』
ジョン・ライドン 著/田村亜紀 訳



『シド・ヴィシャス ノー・ワン・イズ・イノセント』
アラン・パーカー 著/新井 崇嗣 訳



『アレサ・フランクリン リスペクト』
デイヴィッド・リッツ著/新井崇嗣訳

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