深夜の東海道線は、くたびれたオジサンたちを乗せ、家路を急ぐ。
たぶん、平塚を過ぎたあたりから、銀河鉄道につながっているんだと思う。
ジョバンニ。
カンパネルラの切符をくれないか。
僕も旅にでたいよ。
旅といえば。
僕と母が暮らした団地の隣には、空地があって、夕焼けがきれいに見えました。
放課後の紅い夕陽の中に、スナフキンのテントを探して涙した日もあったっけ。
涙といえば。
高校生だった頃の僕は、今とおなじくらい孤独で、もしかしたらもっと孤独だったかもしれないけど、今よりずっと強かった。
国民楽派の音楽を聞いて涙が流れたときは、自分でも・・苦笑。
国民楽派といえば。
「ハーリヤーノシュノコダーイ」
コンクールの日、出番を待つ舞台袖で流れてきたメロディは、僕の心臓を鷲掴みにしたんです。
急いでプログラムを広げて、必死で覚えたコトバ。
「ハーリヤーノシュノコダーイ」
地元の小さなCDショップではついに見つけられなかった、
「ハーリヤーノシュノコダーイ」。
Z.コダーイ。歌劇、ハーリ・ヤーノシュ。
どうやらこの人も国民楽派の一人らしい、なんてことを知って、僕の前世はジプシーだったに違いない、と。
明日、弁護士のところに行きます。
30分、5千円。
夜中に、なにものかが届けた、「請求書」のせいで眠れない日々が当分続くなぁ。
社長と愛人。
友情と同情と、恋情?
まさかねぇ。
今度引っ越すレオパレスは、1ルーム・ロフト付。
「二段ベットがついているんですよ。」
なんのために・・・。
「蠍の火」の向こうにあったのは、なんだっけ?
「サザンクロス」まではまだ遠い。
おやすみ、ジョバンニ。
おやすみ、カンパネルラ。
僕の切符は・・・。
スナフキンが持ってくる。